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ニガヨモギについて、まとめて調べたよ

酒は飲まない。中毒性が強そうだから。
でも食わずぎらいだと言われないように、酒の事には詳しくなりたい。

こんな理由で、息子は酒にはどんな種類があるか知りたいそうです。
彼の希望をかなえるべく、お酒の名前を家族みんなで挙げているうちに、最後にアブサンというお酒に行きつきました。

「ニガヨモギで作られてるらしいよ、なんかヤバイお酒みたい。」
「ニガヨモギってさあ、聖書で落ちてくる星の名前だと大学で習ったよ。」
「チェルノブイリのことだよね。」

と、話があちこちにとび、じゃあ、まとめて調べてnoteに書いとこうか、となりました。
ということで、今日はニガヨモギの話です。

ニガヨモギ

和名:ニガヨモギ(苦蓬)
学名:Artemisia absinthium
ヨーロッパ原産、キク科の多年草

ヨモギというなじみのある名前がつけられていますが、日本には自生しておらず、ヨーロッパ、アジア西部、北アフリカに分布します。

強い苦みと独特の香りを持ち、様々な薬効を持ちます。

古代ローマで薬用に用いられ、聖書にも登場するなど、古くから人間と関わりが深い植物のようです。

学名の由来

学名のArtemisia absinthiumの最初の部分、Artemisiaは、ギリシアの女神アルテミスに由来する説と、アナトリア半島南西部にあったカリアの女王アルテミシアに由来する説があります。

アルテミスに捧げられた植物

ニガヨモギがアルテミスに捧げられたことからArtemisiaという学名がつけられた、という説があります。
アルテミスは、貞潔の女神ですが、豊穣と多産のシンボルともされるなど女性全般を担当しています。そのため、月経や分娩関連の薬効を持つニガヨモギがアルテミスに捧げられたというストーリーが生まれたのかもしれません。

サラミスの海戦の英雄アルテミシア

アルテミシアは、ペルシア戦争でクセルクセス大王軍に従軍し、サラミスの海戦で勇猛果敢に戦った女傑です。そのアルテミシアが夫の死を悼んで、遺灰をニガヨモギの飲物に混ぜて飲んだといわれます。
残念ながら、ニガヨモギの飲物にどういう意味があるのかまでは、調べられませんでした。

存在しない草

学名のArtemisia absinthiumの後の部分、absinthiumは英語のabsenceの語源となった言葉です。
聖なる草を意味するエルブ・アブサントからきている、という説がネットにたくさん書かれていましたが、そのストーリーがどこからきたのか特定できませんでした。
スペルはどうやらHerbe Absintheのようです。absent herb、つまり存在しない草という意味でしょうか。

ニガヨモギは中枢神経に作用する成分を持っています。
ニガヨモギが材料の1つになっているアブサンというお酒は、幻覚作用などを引き起こすとされ、一時期製造禁止になったそうです。
幻覚作用、つまり理性が不在になる、ということかと想像したりしています。

脱線しますが、学名って、正式名称のことだと思うのですが、その由来になぜ諸説があったり、よくわからなかったりするのか不思議です。
命名の由来は記録されないのでしょうか?
ネットで探そうとすること自体が、そもそもの間違いかもしれませんが…。

薬効

ニガヨモギ、生薬名は苦艾(クガイ)です。

効能
苦味健胃、芳香健胃、強壮、解熱、駆虫剤。
長期乱用すると、てんかんになる恐れあり。

出典元:学校法人 東邦大学 薬学部付属薬用植物園

聖書の世界

聖書には、旧約聖書に7回、新約聖書に1回、にがよもぎが登場します。
Word Project Searchサイトで「よもぎ」と検索すれば、該当箇所を参照することができます。(にがよもぎ、苦よもぎ、と表記のゆれがあります)

旧約と新約から1か所ずつ引用します。

しかしエルサレムの預言者のうちには、恐ろしい事のあるのを見た。彼らは姦淫を行い、偽りに歩み、悪人の手を強くし、人をその悪から離れさせない。彼らはみなわたしにはソドムのようであり、その民はゴモラのようである」。15 それゆえ万軍の主は預言者についてこう言われる、「見よ、わたしは彼らに、にがよもぎを食べさせ、毒の水を飲ませる。神を汚すことがエルサレムの預言者から出て、全地に及んでいるからである」。

出典:旧約聖書 エレミア書23章15節

第三の御使が、ラッパを吹き鳴らした。すると、たいまつのように燃えている大きな星が、空から落ちてきた。そしてそれは、川の三分の一とその水源との上に落ちた。この星の名は「苦よもぎ」と言い、水の三分の一が「苦よもぎ」のように苦くなった。水が苦くなったので、そのために多くの人が死んだ。

出典:新約聖書 ヨハネの黙示録8:10-11

エデンの園から追放された蛇が這った後ににがよもぎがが生えたという伝説もあるそうですが、楽園追放について書かれている創世記3章にはそれらしき記述がみあたらず、あくまで伝説なんだろうな、という気がします。

名前だけは知っている、なんとなく気になっていた植物、という位置づけから少しだけ進みましたが、まだまだ遠い世界の植物という感じが抜けません。
どこかの薬用植物園にありそうな気がしますので、ぶらっと行ってみてこようかな。

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