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久しぶりに痺れた話~SARM「BONBON GiRL」を聴いて~

強い女とは

強い女の定義とはいったい何だろうか。

広辞苑によると【強い】の上位5つの意義とは

つよ・い【強い】 〔形〕[文]つよ・し(ク)
①力がすぐれている。勇猛である。
②丈夫である。頑丈である。すこやかである。
③気丈である。屈しない。きつい。
④堅固である。ゆるみがない。
⑤程度が激しい。きびしい。

強い女とは……霊長類最強のような勇猛な女でもあり、健康で丈夫な女でもあり、どんなことがあっても屈しない女だったり、筋がピッと通った頑固な女でもあり、厳しい女のことを指すのかもしれない。

……その考察については最後にまた述べたいと思う。

さて、前置きが長くなってしまったが、「強い女」がキャッチフレーズ?なSARMさんのライブに6月10日行ってきた。
もちろん、お目当て曲は「BONBON GiRL」。

配信は2020年10月11日と前になるが、つい最近5月27日にMVが公開されたのだ。タイトルにもある通り、そう。私は痺れたのだ。この楽曲の虜になってしまったのだ。

百聞は一見に如かず。まずは目と耳で堪能してほしい。

■ Music Lyrics : SARM Music : SARM, Kimito&McD
※MVのディレクターは「グッド・ドクター」や「コンフィデンスマンjp」なども手掛けた、ドラマ、映画監督の金井紘さんである。

日本人になじみ深い五音音階で作られるメロディー

ここまで読んだあなたは、おそらくYouTubeで「BONBON GiRL」をしっかりと視聴してくださっただろう。

この楽曲をちょっとばかり分析すると、イントロから使われている音が決まっているのである。まずは、鍵盤を弾いている様子を見てほしい。

原調(cmoll/ ハ短調)だとフラットがあるので、移調して調号なしのamoll/イ短調にして、楽譜から見てみよう。

「BONBON GiRL」で使用されるニロ抜き音階

このように、音階の2番目と6番目がカットされた通称ニロ(26)抜き音階でこの楽曲は作られている。2つ音がカットされているため、5音で作られているのだ。

この5音音階を聴いてどこか昔懐かしい感じがするのは、日本の民謡の多くが5音音階で作られているからであろう。日本だけでなく、東洋の民謡全般的にも同じだ。この「東洋の雰囲気」を出すために、西洋音楽でもその技法が用いられたこともあった。中でも一番有名なのはフランスの作曲家クロード・ドビュッシーの「版画」より「塔」だ。

このように、5音音階はどこか日本人(東洋人)の心のコアに訴えかける「なにか」をもっているのであろう。落ち着く、懐かしい、聴きやすいなんて気持ちになったのではないか。

実は売れる曲って5音音階?

実は、「BONBON GiRL」に始まったことではない。「千本桜」も「恋」(星野源)も「パプリカ」(米津玄師)もヒットした楽曲を分析すると5音音階で作曲されているのだ。きっと、知らず知らずのうちに、我々日本人が惹かれるものがあり、ヒットに繋がる要因のひとつになったのかもしれない。

MVの日本らしさ

ここまでの記述で、どうやらこの楽曲が日本人が好きなメロディーであると知ったあなた。もう一度MVを見てほしい。まばたきと音ハメの細かな設定なんかも素晴らしいところでもあるが、日本家屋で掛け軸に襖、着物風ドレスを着てゆらりゆらり歌い踊るSARMさんやダンサーの姿はまさに粋である。

しかし、ただの日本らしさだけでなく、極彩色のドレス、最後はダヴィンチの「最後の晩餐」を彷彿させるようなシーンだ。西洋のエッセンスも取り入れているのである。そこに流れる5音音階で作られたメロディー。

痺れませんか?

GRIT at Shibuya「Intersection」LIVE

ところで、冒頭に述べた通りLIVEに行ってきたのである。渋谷のGRITはとてもきれいなライブハウスだった。
ステージに立ったのはキーボードとドラムにSARMさん含め強い女3人!
というか、めちゃくちゃかわかっこいい(語彙力よ)3人だった。漫画やアニメからそのまま出てきたような、2次元味の雰囲気が素敵だった。

どの楽曲も身体が知らず知らずのうちに揺れ、(あれ、この曲聴いてる私ってオシャレ?)と勘違いしてしまうような楽曲ばかりだった。
SARMさんの歌声は、力強くもあり、時には水に入れた水彩絵の具のようにゆらゆらと色(音)が広がっていく歌い方だった。それもまた、「オシャレ」さを出す要因なのかもしれないと感じた。

……ということで、「BONBON GiRL」にハマってSARMさんを推すことになり、速攻Spotifyプレイリスト入りになったのだが、

どうしてこの曲が好きなのか?

を考える良いきっかけになったと思う。是非皆さんも自分のお気に入りの曲、何で好きなのか。何の要素が自分を魅了させるのかを考えて聴いてみてほしい。

結論、強い女とは

冒頭に述べた「強い女」。SARMさんのYouTubeのハッシュタグにも付いている。私はどちらかというと強い女とは全くもってかけ離れていると思う。ここ最近も心がぽっきり折れることばかりで、自己嫌悪の毎日だ。

しかし、ぽっきり折れるのは素材が強すぎたのかもしれない。
仮にしなやかで柔軟性のある素材であれば、ぽっきり折れることは無かったのではないかと今になって感じる。

孫氏の兵法では、

戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり

孫氏の兵法(謀攻篇)

という言葉がある。簡単に言えば、戦わずして勝つのが、真の勝者であるということだ。

戦国時代の武将、真田幸村(信繁)の父、真田昌幸も徳川家との2度の戦いにおいて大きな戦力の差(第二次は真田約3,000人対徳川38,000人)にもかかわらず、直接対決をしないように策を練って2度も勝利したのである。(川の水攻めとか笑)

戦うだけが強いものではなく、それをひょいっとかわせるようなしなやかさを持った女性が本当は強いのかもしれない。
MVのSARMさんの手縄をするっと外すような、ゆらりゆらりと歌い踊るような。

そんな発見をした、午前6時。

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