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2023年に出会った本のはなし。

カンムという会社で人事をしているちゃんよこです。
こちらはカンム Advent Calendar 2023の 25日目の記事になります。

2023年はカンムへの転職をはじめとして色々な変化のあった1年でした。
そんな自分の学びになった、珠玉の2冊ご紹介します。ではいってみよう!


①モダンエルダー

世界第2位のブティックホテルチェーンを築き上げ、24年間CEOを務めた後、52歳でAirbnbに入社し、CEOのブライアン・チェスキーのメンターとして成長を支えた著者が、「年長者」が持つ価値とは何かを示し、年長者としての成果の出し方と働き方を示唆する一冊。

年長者が持つ価値とは

デジタルスキルに秀でた若者たちの多くが、経験も指導も受けないままに責任のある地位に押し上げられ、急拡大中の企業や組織を運営しなくてはならなくなっていることが指摘されていました。

若くして身につけられるDQ(デジタル知能指数)対して、EQ(心の知能指数)のように時間をかけて身につく能力もあり、年長者には長年かけて培った「人間関係の知恵」などを持っていると言われています。

モダンエルダーに共通する5つの特徴として、次のようなものが挙げられています。

  1. 優れた判断カ…ベストな解を長期的視点で選ぶ、または、起こりうる問題を予知する力が高い。人生の前半で多くの経験をした人は、全体像を素早く把握できるので、判断力も向上している。

  2. 本物の洞察カ…物事を見通す力、つまり雑多な情報の中から注意を向けるべき課題をとっさに見分ける。瞬間的な編集能力。

  3. 心の知能指数… 自分の感情を抑制しながら、他人の感情を忍耐強く読み取り、相手がどんな人でも瞬時にダイヤルを合わせて聴き入ることができる。

  4. 俯瞰的思考力…記憶力と処理スピードが落ちる代わりに、点と点を結びつける力は伸び続け、冷静にパターンを認識できる。

  5. 奉仕の心...未来の世代に前向きな影響を与えたいという気持ちが芽生え、これまでは「Get」することで喜びを得ていたものが、「Give」することで喜びを得るようになる。

また、モダンエルダーとなるための重要なアクションとして次の4つが挙げられています。

変化を恐れない

  • 40代以降はスタミナやスピード任せから、判断力や落ち着きを武器にするほうに移る必要がある。

  • 新たな価値貢献を確立するための行動規範を作る。(アイデンティティ・ダイエット)

新人の気持ちで学び続ける

  • 個人でも組織でも、好奇心を呼び覚ますには、謙虚さと自信の適度なバランスに加え、相手への深い敬意が必要。

  • 話す姿勢以上に聞く姿勢が重要であり、質問する際は会話の中で自然と浮かんできたものにする。会話の流れを無視し、あらかじめ用意した質問で問い詰めるように振る舞ってはならない。

仲間と知恵を交換する

  • 年長者の貢献は、従来の個人のパフォーマンス(1時間あたりの個人の生産力)よりも、グループ全体のパフォーマンスに表れる傾向にあるといわれている。

  • 個別に問題を解決できるよう、グループで揉めている人や困っていそうな人に声をかける。

アドバイスの能力を磨く

  • 自分の人脈やノウハウを前向きに共有すること。

  • 質問を通じて本質的な気づきを促すこと。

  • 相手が本当に求めているものを読み取る力を身につけること。

感想

約400ページの大ボリュームではありましたが、カンムに入社する直前の有休消化時期に読み終え、自分が組織にどのような形で貢献していくかを考えるきっかけとなりました。

健康寿命が延び、昔と比べて働く期間が長くなっているからこそ、50歳前後でキャリアの整理と方向性の調整が必要、という話にはめちゃ納得。
良い形で50歳が迎えられるよう、常に進化し続けられることを信じ、そのために前向きにリスクを取っていこうという貪欲さが増しました。

人生の後半戦への向き合い方のヒントが沢山つまった、アラフォーの皆さんにお勧めの一冊です。

②一気読み世界史

紀元前から現代までの人類5000年の歴史の大きな流れがにつかめる一冊。
その時代の世界各地で起きた出来事のポイントが語り掛けるような文体で書かれており、授業を受けてるような感覚でどんどん読めました。

歴史を一気に見ることの何がいいのか

僕らが、自分の生きる世界を見るとき、大きな目と小さな目の両方で見られるといいですよね。
大きな目で見れば、プーチンは、何者でもありません。
小さな目で見れば、プーチンがもたらしている現状は大変で、必死で対応を考えなければいけません。
どちらの視点も大事です。 世界史を一気読みするにあたってはぜひ、大きな目と小さな目の両方で、人類5000年の歴史について考えてみてください。世界史の一気読みには、大きな目と小さな目、両方を育ててくれる効用があります。
大きな目を持つことで、小さな目の鋭さが増します。大きな流れや文脈のなかで、小さな物語をとらえることで、個別の事象や登場人物の意味や造形がくっきりと浮かび上がります。 目に映る世界の解像度が上がります。

『一気読み世界史』より

俯瞰することと、細部にまで目を向けることは両方大切で、これは日々の仕事にも通ずるところ。大局観を養うのに歴史がこんなにも役に立つとは思ってもみなかったです。

個人的「へぇ~」ポイント

個人的に印象的だったポイントの一部をご紹介。

産業革命の凄さは「気候変動の関数」を打ち破ったこと

産業革命の何がすごかったかというと、「気候変動の関数」を打ち破ったことです。19世紀までの大国の攻防には、気候変動の関数が大きく作用していました。
要は、地球が寒冷化すると、北からさまざまな部族が南下して混乱が始まり、大国が分裂する。そして温暖化すると、大国が復活し、政治が安定するといった具合です。世界史の大きな流れを概観すれば、その繰り返しだったことがよくわかります。しかし、産業革命によって生まれた工業の力は、気候変動の関数を打ち破ります。工業の力によって、温暖化を待たずとも、大国を形成することが可能になりました。

『一気読み世界史』より

そもそも、気候変動がきっかけで世界のパワーバランスが変化していたことを知らなかったので目から鱗でした!(92へぇ)

アルファベットは怠け心が生んだイノベーション

最古のアルファベットは、シナイ半島で生まれました。シナイ半島は、メソポタミアとエジプトの交差点です。メソポタミアはくさび形文字を使い、エジプトは象形文字(ヒエログリフ)を使っていました。
メソポタミアとエジプトの交差点であるシナイ半島では、人々は両者と交易していて、くさび形文字と象形文字の両方を覚えなければ、高収入になりません。面倒ですよね。「こんなややこしい文字を2つも覚えるなんて嫌だ」と考えてシナイ半島の人々はアルファベットを生んだのです。アルファベットはあらゆる言葉をわずか二十数文字で表現できます。イノベーションです。イノベーションというのはサボりたいという気持ちから生まれるのですね。

『一気読み世界史』より

まさか、アルファベットの誕生が「面倒くさいから」だったなんて笑。
二十数文字というシンプルさが、3000年以上使われ続けている理由なんだと思います。「シンプルであること」ってやっぱカッコイイ。(89へぇ)

感想

一気に世界史を読むことで、社会の動きの特徴、人間の動きの特徴が掴めたような気がします。
現在、自分は人事として組織開発なども仕事にしていますが、歴史から学べることは沢山あると改めて気づけた一冊でした。

歴史を知ることで、昔の常識が今の常識でないと知れるし、今の常識が未来の常識とは限らないということにも同時に気づける。
当たり前のようでついつい忘れがちな視点、気を付けよう。


長文になりましたが、自分自身の2023年の振り返りができた気がします。
よいお年を!

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