【たわごと#262】女性が活躍する将棋界も見てみたい
将棋は頭脳戦のゲームなので男女差は無いと思う方もいると思うけど、実際はかなりの差がある。女性でも将棋の棋士として仕事している人は沢山いるけども、みんな「女流棋士」であって、藤井聡太二冠や羽生善治九段などの「棋士」とは明確な違いがある。そもそも「棋士」になるには奨励会という育成機関に入り、この中で昇級、昇段して四段になる事でプロの「棋士」となる。女流棋士もかつて何人も挑戦したが、プロ手前の三段まではなれたものの、最後の関門である三段リーグが突破できずに未だ棋士と名乗れる女性棋士は出ていない。
そんな女流棋士界の状況なのだが、上田初美女流四段が「「なぜ女性棋士はまだいないのか」女流棋士の私が考えてみた」という記事を書いているのを見かけた。上田女流四段は女王のタイトルも取ったことのある強豪の女流棋士である。ちなみに旦那さんもプロの棋士だ。
この記事の内容だけど、なかなか直球勝負で書かれていて面白かった。この男女の棋力の違いは何かという点について、男女の脳の作りの違いによるものだとか医学的な話、男女の興味の持ち方の違いなどにも触れつつ、女性の体調の問題、生理の問題まで踏み込んでいる。
なかなかタブーな部分でもあるし、そんなの女性の甘えだという人もいると思うが、将棋は朝から晩までフル回転させて闘う頭脳戦の極みみたいなもので、この差が棋力に影響しないとは言いきれない。しかも年々女流棋士も力をつけていて、男性の棋士に勝つことも特別なことではない。対戦相手の過去の棋譜を分析して、コンピュータを使って対策を練るというのも普通に行われているし、これから女流棋士が勝つ確率は高くなってくると思われる。そんな状況下で、生理が理由で勝率が下がる可能性があるなら、それは対策すべきだと思うのだ。
こういった男女の差、障害の有無の差を人為的に埋めるのはとても難しい。最近は陸上界で義足の選手が健常者の記録を上回ることもでてきたが、なかなか一緒にレースしようという流れにはならない。どうしても義足の性能が個人の能力を助けているのではないかという懸念が拭いされない。様々な研究結果が出ても、心理的に受け入れられないといった点もあると思う。
ただ将棋界はこういうのにチャレンジする地盤が出来ていると思っている。数年前、将棋界はコンピュータに敗北するという事が起こった。正直ショックで、結局パソコンが強いのにプロ棋士の対局を見る意味あるのか、なんて気分もしたが、ご存知の通り今は藤井聡太二冠の活躍を筆頭に、空前絶後の将棋ブームが来ている。決して表面的な人気だけではなく、勝負の内容も進化している。プロ棋士も研究の中でコンピュータを利用し、最善手を探す努力を怠っている訳では無い。そういうプロ棋士の努力あってこその将棋ブームなのだ。
これだけの問題を乗り越えた将棋界なので、男女の差を乗り越える事も出来るんじゃないかと思っている。そろそろ「女性棋士」が現れて、男性棋士をなぎ倒す姿が見られるのもいいんじゃないか。藤井聡太二冠を倒すのが女性だって悪くない。将棋界が他の業界の先に出て、数々の問題をクリアしていくところを見てみたい。
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