第19回ど文系のお金の話


第19回ど文系のお金の話。今日のお話は国際金融のトリレンマについてです。
トリレンマって聞いたことありますか?私は金融勉強しはじめて初めて知りました。
ジレンマは聞いたことがあると思います。ジレンマとは二つの物事の間で板挟みになって、どちらとも決めかねる状態のことです。ではトリレンマとは?ジレンマをもじってできた金融用語です。国際金融の3つの要素のうち、全てを取ることはできず2つの要素しか選べないことからトリレンマと呼ばれています。

では3つの要素とはなにか、それは為替レートの安定性、自由な国債資本移動、独立な金融政策のことです。この3つの要素のうち1度に2つの要素しか金融政策に取り込むことができないことを国際金融のトリレンマと言います。為替レートの安定と自由な国債資本移動を望むとき、独立な金融政策を金融政策に取り込むことはできません。自由な国債資本移動と独立な金融政策を選べば為替レートの安定性は選べず、独立な金融政策と為替レートの安定を選べば自由な国債資本移動は諦めなければなりません。

ここから3つの要素の中身を見てきましょう。為替レートの安定性とは、日によって為替レートが変わらないということです。為替レートが安定しているということは、輸入にしろ輸出にしろ外貨の変動による損失を気にせず安定した取引を行うことができます。自由な国際資本の移動とは、国内外の株や債券を自由に取引できることです。国際資本移動が規制されると投資家は外国資産の売買ができなくなります。独立な金融政策とは他国に影響されず自由な金融政策を打てることです。

ではなぜ国際金融のトリレンマは発生するのでしょうか。それは一つの国が国際金融において取れる行動は一つだけであり、各行動は三要素と必ず矛盾を含むからです。各国が取れる行動とは固定レート制、変動レート制、資本移動規制の3つです。

それぞれ見ていくと、変動レート制では自由な国際資本移動と独立の金融政策を可能にします。しかし日々為替レートが変動するため、為替レートの安定性という要素は諦めなくてはなりません。そのため、輸出入や外貨の取引において為替の変動のリスクが発生することになります。現在主要国のほとんどが変動レート制を実施しており、第16回ど文系のお金の話でお話ししたような為替リスクを軽減する関連商品が誕生しました。

固定レート制は為替レートの安定性と自由な国際資本移動を可能にします。しかし固定レート制を取ることで独立の金融政策を保つことができなくなります。というのも、低金利政策によって国内外の金利差が広がると、国内の投資では利益が出にくいため大量の資金が外国に流出します。銀行は流出による金利変動の効果を打ち消すため外貨の販売と自国通貨の購入を行わなければなりません。しかし資金は無尽蔵ではないためいずれ資金が尽き、金利を元に戻さざるをえないため自国だけで金融政策の効果を維持することができなくなるのです。

自国の金融政策の独立性を維持しつつ為替レートを安定させる方法として資本移動規制をかけてしまう方法があります。海外に資本が流出しないため固定レートでも金融政策の効果を維持することができますが、資本を規制するというだけあって自由な国際資本移動の要素は諦めなければなりません。

以上のようにどれか一つの政策をとれば、国際金融の要素のうち1つを諦めなければいけません。全部の要素を取り入れられたら最強ですが対人関係ならぬ対国関係がある限りこのトリレンマは解消されません。

さて、ここまでが今日の解説範囲となります。次回は資本主義経済の中心地、アメリカのお金の歴史のお話しをざっくりします。アメリカのお金の歴史は後々のリーマンショックやバブル崩壊へと通じる要因です。ぜひチェックしてくださいね!
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