第10回ど文系のお金の話

第10回ど文系のお金の話。早いものでもう10回目の投稿です。
いや〜こんなに続くと思ってなくてちょっと自分でもびっくりしています。
今日のお話はデフレーションについてです。
昨日お預けしたお話ですね。

デフレーションといえばインフレーションの対となる概念のお話です。
インフレとは物価が総じて高くなることにより貨幣の価値が相対的に下がってしまうことでしたよね。
デフレとはその逆、物価が総じて下落し貨幣価値が相対的に上昇することを言います。

一見、デフレーションって物価がやすくなるしなんだか良さそうな感じがしますよね。
しかしデフレーションが続くと賃金も下がってしまい結果として生活の苦しさは変わりません。
また、借金をしている人にとっては相対的にお金の価値が上がっているので借金返済が難しくなります。
借りた時よりもより多くの価値を返さないといけなくなるからです。
また、債務を抱えている人や企業が支出や投資を抑えることによってさらに経済は縮小しデフレが加速します。
この状況をデフレスパイラルと言います。

経済が縮小してしまうと給料が十分にもらえなかったり、商売がうまくいかなくなったりとみんなが困りますよね。
そんな状況にさせないために中央銀行が金利を下げてインフレ率が上がるように経済を調整します。
市場に流れるお金を増加させて投資を刺激し経済を活発化させるのです。
金利を下げ市場に流れるお金を増やすことを金融緩和と言います。
インフレーションの際と同様に公開市場操作や、公定歩合、補完貸付制度などによって金融緩和は実行されます。

通常のデフレだったら金融緩和が行われればある程度インフレ率が上昇します。
しかし、近年の日本ではずーっとマイルドなデフレ状態が続いています。
そうすると金融緩和の効果が薄くなりなかなかデフレを脱却することができません。
実はこの長いデフレを経験しているのは21世紀に入ってからは先進諸国の中では日本だけです。
このずっと続くデフレから脱却するために日本銀行が開始したのが非伝統的金融政策です。
これまでの伝統的金融政策にはない金融緩和を実施しました。
それがマナス金利政策、時間軸政策、量的緩和政策の三つです。

マイナス金利政策とは現金を貸し出す金利をマイナスに設定するということです。
これにより企業は資金を借りやすくなり投資が活発化すると考えられ、日本だけでなく欧州の中央銀行でもこの政策が取り入れられました。しかし、この政策では銀行が儲からなくなり困ってしまいます。というのも銀行はお金を貸し出す時の金利と預金者からお金を預かる時の金利差で利益を出しています。
マイナス金利政策に従い利益を出すためには、貸出の金利を下げてると同時に預金の金利を下げるなければ同じ利益は維持できません。しかし預金の金利を下げると預金者はお得感を感じず離れていってしまうので、預金の利率は変えられません。
なので貸出の金利を下げても預金の金利が下がらないので、貸出と預金の金利差が縮まり利益が小さくなってしまうのです。
デジタル通過やクレカなどの技術を用いて金利をマイナスにすることも可能ですが、貨幣は価値が安定しているという理由からカードが発展した今でも現金は国内では好まれています。なので、現金の金利を引き下げてしまうと貨幣の信頼が低下し、交換経済が立ち行かなくなる可能性があります。
こうした理由かマイナス金利政策は人気がありません。

これは私の考えなのですが、近頃クレジットカードの普及を推進したりキャッシュレス化を政府が進めたがっているのは、東京五輪に向けて海外観光客へ買い物の利便性向上を進めたいと言うこともありますが、現金の金利を実質的にマイナスにする狙いも含まれているのではないかとおもいます。

時間軸政策とは短期金利を下げる余地がないのでデフレ脱却まで長期金利を0%とし長期金利を引き下げようとすることです。
この金融政策はバブル崩壊後の日本で誕生しました。バブル崩壊後、中央銀行は投資を刺激するためにと短期金利を引き下げようとしましたが短期金利はすでに0%に近く引き下げる余地がありませんでした。
そこで、デフレ脱却まで長期金利を0%にすると約束し、短期金利も上がることはないと投資家の方を安心させることで投資の活発化を狙ったのがこの政策です。

量的緩和政策とは、金利を下げる代わりにベースマネーを増やし投資を刺激しようとすることです。
長期国債などの資産を日本銀行が大量購入して長期金利を下げることによりリスクプレミアムが低下し、結果としてベースマネーも増えます。リスクプレミアムについては次回以降詳しく説明しますが、ざっくり言うと投資家がリスクを取りやすくなります。
なぜベースマネーが増やすかと、貨幣の中立性に基づいてお金が増えたら増えた分だけ物の購入も増えると考えられているからです。そのため、量的緩和を行いベースマネーを増やせば経済が活発化するだろうと考えられています。

しかし、今の所どの政策も成功したとは言いがたい状況です。
この背景として長期停滞論の影響が考えられます。
投資の対象となる技術革新のタネが枯渇しているのか、リーマンショックで打撃を受けた投資家が投資を控えているのか、はたまた他の影響か物価の上昇は停滞しています。
この状況が日本だけでなく世界に拡大すると世界の経済は縮小してしまい大変困ったことになるので対策が急がれます。

ここからは完全な私の主観であり個人の勝手な意見です。
現在の日本では量的緩和を中心とした金融緩和によって市場に資金が余っている状況です。
東京オリンピックの前後なのか、それともさらにその先なのかいつになるかはわかりませんが、新たな投資対象の出現により
一気に投資が行われればバブルのように経済が活性化するタイミングがくると思います。
そのタイミングの波に乗るために今のうちから投資や金融について学んでおくことが大事になんだと思います。

ちょっと長くなりましたが今日はここまで。お付き合いいただきありがとうございました。
次回からはいよいよ投資の基本的な成り立ちについて解説スタートしたいと思います。