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「人間万事塞翁が馬」的なこと

カメラが壊れた。
昨年の秋ぐらいに買ったばかりなのに。

PapersShootという台湾カメラ。

フィルムカメラのように撮れるし、デジタルなのに撮った写真がすぐ見れないところも愛おしい。
なんならファインダーが付いているけれど、レンズでもなんでもないので、ただのノゾキアナ。

そういうわけで、覗かずにここらへんかなという角度でバシャバシャ撮っている。
意外と良い角度で撮れているから問題がない。

スマホでもフィルムカメラ風のアプリを有料で買ってるけれど、立ち上げに1秒くらい時間がかかる。
たった1秒。されど1秒。
“瞬間”が欲しい私にとってその1秒が煩わしい。

そんなこんなで、やっと休みが取れたので彼と二人で出かけた。
初詣で写真を撮ろうと意気込んで。

彼も私が昔買ったRICOHのGRⅡを持ち運ぶようになった。

私自身、全然写真のこともカメラのこともわからない状態で、

“単焦レンズ”
“自分の足で距離をとって撮る”

といったところに惹かれてこのカメラを買ったのだけれど、撮りたい写真が分からなくてあまり使っていなかった。
そのうち、撮りたい写真が分かるようになるとこの始末。
ずっと心残りだったこのカメラを、彼が使いたいと言ってくれてうれしい。
めんどくささは時に愛おしくなる。

いざ撮りに行く道中、ペーパーシュートで写真を撮ったのだけれど、青い点滅とジーッという音がして撮れた気がしない。
何枚か撮った後、電車でこの状態がどういう状態なのか検索したけれどまったく出てこない。
台湾の公式?HPを翻訳しながら読んでみたけれど、原因が分からないまま目的地へ到着。

SDカードの不具合なのか何なのか。
SDカード変換機を使ってiPadで開くと一枚も撮れていなくて泣きそうだった。

一方、彼はいろんな場所をパシャパシャカメラに収めていく。
ホワイトバランスやISO感度を変えたりしながら。

おみくじの結果は、私が凶で彼は大吉。

思い返すと凶なんて出たことがない気がする。

不安を抱えながら、帰宅。

お気に入りのペーパーシュート。
故障かどうかを調べることもできないし、そもそもどこに持ち寄ればいいのかわからず途方に暮れた。

ただ、ここで故障かどうか調べるために色々調べた結果、翻訳ではわからないことが多いので、台湾語を学ぼうと思った。
正確には台湾華語なのか…?
台湾について調べ始めた私は初めて海外に行きたいと思った。

まさかカメラの故障からこんな発想になるとは。

それから語学についてや渡航方法も調べた。
現状行けないけれど、行ってみたいと初めて思ったのだ。

“撮りたい”

そういう風に思うと、カメラが“場所“に連れて行ってくれる。
この日は、私はアプリのカメラで数枚撮っただけだった。

いつもGRⅡで撮った写真はディスプレイで見ていたけれど、撮った写真を初めてPCに読み込んで、見てみた。
ディスプレイより大きく引き伸ばした写真は思っていたよりも、とても綺麗だった。
パシャパシャ彼が撮っていた写真には、ふらふらとしている私が笑ったり、真面目そうな顔をしていたりと、マスク越しでもわかるようなその雰囲気が収められていた。
いつもは私が彼をたくさん撮るので、私の写真が多いのは珍しい。

この記事を書いているうちに、ふと思いついた。

まだ電池の入れ替えをしていない。

記事を書きながらおもむろにペーパーシュートの電池を入れ替えるといつも通りに写真が撮れた。

“なんだ、電池切れだったのか”

ほっと胸をなでおろした。
これでまた写真が撮れる。

たくさん撮ったのに一枚も残っていないのは悲しいけれど、

台湾に行きたいと思った気持ちや、語学を学ぼうと思えた。
写真を撮っていない代わりに、たくさん写真を撮ってもらえた。

結果オーライ。

おみくじは凶だったので気持ちを取り直して、開運の鈴を買った。
初めて聞いたシャラシャラと得も言われぬ音色は、この先を明るく照らしてくれそうだ。


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