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松葉杖の苦労

 「松葉杖って、片足歩行の補助でしょ。いけるいける」

 例によって当初の楽観を経験によって木っ端みじんにされることをしております。

  退院から4日目。松葉杖を使う生活4日目。想像以上に松葉杖の生活が難しくつらい。

 松葉杖による歩行と階段昇降は病院で教えてもらったので、屋内での移動は多少不便があるが比較的ストレスなくできる。ここは想像通り。

 問題は、手 だ。

 両手が松葉杖でふさがっているため、物をもっての移動ができないのだ。

 洗濯から皿洗いもできなければ、料理もできない。コンビニに行けても商品をレジに持っていけない。すなわち、コンビニで買い物ができない。

 松葉杖の人間は1人ではできないことが多すぎる。健康で文化的な最低限度の生活が送れないのだ。

 さらに松葉杖の移動は、屋外では屋内と勝手がちがう。上り坂はもちろんきついが、下り坂は意図せずスピードがあがり前傾姿勢になるので危険だ。傾いたアスファルトは姿勢が崩れるので体力を消耗する。休憩なしの移動は、手のひらに負担がかかる。松葉杖の移動はとにかくつらいと外を歩く度に再確認する。

 松葉杖での生活は、できないことづくめだ。猿の方ができることが多いと思う。思い返せば、松葉杖で町を歩いている人を見たことがない。それもそのはず、できないんだから。

 今、寮に住んでいて本当に良かったと思う。同期や後輩の寮生に助けてもらって生活できている。本来なら1人でできることを頼むことは申し訳ないが、断らずやってくれてありがたい。感謝マジック。

 なんでも用意してくれた入院中の生活、ラクチンだったなー。

                               渡辺 光

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