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左近の桜、右近の橘


七段飾り

お雛様の七段飾り。
七段飾りにも色々な意味合いが隠れていて、解明すると楽しい。
四段目の弓矢を持つ二人。お内裏様とお雛様の護衛をしている随身は、左大臣と右大臣です。
左大臣はお年寄り。
右大臣は若者。
左上位の時代ですから、左大臣の方が上の位です。
服装の色でも位がわかります。
緋袍は五位。黒袍は四位以上を表しています。
したがって、位の高い左大臣が黒い服。
緋色の服が右大臣となります。

そう思って、お内裏様とお雛様を眺めると左上位のはずなのに、お内裏様右側に座っているけど、となる。
これは明治時代以降、外国のしきたりに習い女性の右側に男性が立つことに習ったためです。大正天皇が女性の右側に立って外国の要人を迎えたのが始まりです。今では洋式のマナーに従い、結婚式の並び方も右側に新郎が座っています。
立ち雛は座り雛よりも古い形なので、左側にお内裏様がいます。関西地方も昔ながらの伝統を大切にしていて、左側にお内裏様がいます。

さて、左大臣と右大臣、二人の前の五段目には桜と橘が置かれます。
「左近の桜、右近の橘」と言って決まりごとです。
これは、京都御所前に植えている左右の樹木がお雛様にも飾られました。この二つの木は霊力があり、魔除けの意味があるとされています。
この二つの右側の橘の木。よく見ると花と実が両方ついています。実際の木で花と実が同時につくことはありません。橘は蜜柑のことです。『古事記』には不老不死の理想郷である「常世の国」に自生する植物と記されています。常世の国にある橘は、つぼみと花、果実が同時になる植物とされ、花と果実が一緒に木になっているのです。
着物の文様などにも、花と実が両方描かれたりしています。


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