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アートって誰のもの?突然ですが和樂web、「#誰でもミュージアム」はじめます。


こんにちは。和樂web編集長のセバスチャン高木です。最近夏バテでnoteの更新を怠っていましたが、スッポンの生き血を飲んで疲労回復どころか眠れなくなってしまったのでビールを飲みながらnoteを書くことにしました。

このたび和樂webからスーパー重要なお知らせを発表させていただきます。

それは!ってタイトルに書いてあるので「それは!」でもなんでもないのですが、「和樂web、#誰でもミュージアム はじめるってよ」です。

「誰でもミュージアム」って何?

ですよね。一言でいうと誰でもミュージアムとは「パブリックドメインを利用してバーチャル上に自分だけの美術館をつくっちゃおうぜ!」という試みです。

世界中でCOVID-19が流行して、私たちは以前のように世界、あるいは日本を自由に旅行して美術館や博物館を訪れることが難しくなってしまいました。

そんな中、各美術館では「バーチャル美術館」と称して、所蔵する作品の画像を公開したり、VRなどで実際の美術館をバーチャル空間で体験できるオンラインツアーを開催したりしています。こんな状況下でもアートを楽しんでもらおうとする各施設の努力には本当に頭が下がります。

世界のバーチャルミュージアムをまとめた「VIRTUAL MUSEUMS」。地図に記されたピンをクリックするとその国や地域のバーチャルミュージアムに飛ぶことができます。

「バーチャルミュージアム」「日本」で検索すると日本でも数多くの施設がバーチャル上で作品や展覧会を公開していることがわかります。

本当の意味でのバーチャル美術館ってバーチャル上に自分の美術館を建てることなのかもしれない

さまざまな美術館が展開するバーチャルミュージアムを見ていた私はふとこんなことを思いつきました。「わしもバーチャル上なら自分の個人美術館持てるんじゃね」と。

根津美術館、山種美術館、五島美術館etc.etc....。日本を代表する個人美術館はビジネスで成功し巨万の富を得た実業家が自身のコレクションを管理し、公開するために設立されたものです。

当たり前のことですが、好きな美術品を蒐集し、美術館を建てるなんて並大抵のことではありません。ましてや東京に美術館を作るなんて、toto bigが何十回当たってもできそうもありません。本当にごく一部の限られた人物に許された特権なのです。

青山に自分のコレクションをひけらかす、いや失礼、公開する「セバスチャン高木ミュージアム」を設立するなんて夢のまた夢。個人美術館を作るというアート好きなら一度は夢想する男の夢(すみません!私が男なのでここでは男の夢とさせていただいています)は一介のサラリーマンの私には永遠にかなうことはないのです。

But!今、世界の美術館ではパブリックドメインという考え方がかなり進んでいます。それに追随するように日本の美術館(博物館も)でも以前では考えられなかった、所蔵する美術作品をインターネット上で公開しようという動きが加速しています。

これを利用すれば、実際の美術館の展示をバーチャル上で見せるバーチャル美術館ではなくて、自分だけの個人美術館をバーチャル上に作るという、違った意味でのバーチャル美術館ができるんじゃない?

ほんの一握りの人にしか実現できなかった個人美術館を作ることが誰にでもできるんじゃない?

これってアートの民主化運動じゃん!なんて思ってしまったのです。

日本における美術作品をインターネット上で公開しようとする動きの代表的なものとしてColBaseとジャパンサーチがあります。これらはあくまでも日本の美術作品を検索、アーカイブしようとする試みであり、パブリックドメインを利用してばんばん遊んじゃおうぜ!というものではないのでご注意ください。ただし、活用法次第ではめちゃくちゃ面白いことができそう。


ところでパブリックドメインって何?

パブリックドメインとは詳しく説明しだすとそれだけで5000字くらい費やさないといけないのですが、バクっと美術作品に関してだけいうと「作品をつくった人が持っていた著作権から自由になった状態」のことです。

つまりパブリックドメインの作品は許可を得ずに営利目的で利用したり、あるいは、改変したり、複製したりすることができるんです。

作品には著作権以外にもパブリシティ権や肖像権があるので注意が必要ですが、世界の美術館が「うちの所蔵作品パブリックドメインとして公開するよ」というものに関しては、それらを活かして「セバスチャン高木ミュージアム」をバーチャル上に建設することができるのです。

パブリックドメインとして所蔵作品を公開している代表例としてはメトロポリタン美術館シカゴ美術館があります。この二館はものすごい浮世絵のコレクションを持っているので、バーチャル上に浮世絵の個人美術館を作ろうと思えばすぐにできちゃいそうです。

和樂webがつくる誰でもミュージアム

では実際に和樂webは何をしようとしているのか?を説明しましょう。

今、和樂webでは、スタッフ全員が世界の美術館のパブリックドメイン、特に浮世絵を中心に徘徊して気に入った作品を集め、バーチャル上で自分の個人美術館を設立し、展覧会を開こうとしています。

たとえばTikTok担当のとま子は、キングオブチラリズム!「歌麿チラ見せ美女図鑑」として、美人画の天才絵師である喜多川歌麿のちょっとお色気作品を集めた展覧会を開催(近日公開予定)。

また、TikTokやtwitterでもパブリックドメインを使ったミニ展示を投稿しています。今後はこれらの投稿を「#誰でもミュージアム」でまとめていって、バーチャル上で個人美術館を誰もが設立できる世界の実現という野望に向けての第一歩を歩み出そうと思っています。

和樂webのTikTok面白いから見てね。
小学館浮世絵部のtwitterも和樂webが運営。パブリックドメインを駆使して浮世絵の魅力を発信中!

アートって誰のもの?

世界中で進むパブリックドメインの流れ、それを利用して「自分だけの美術館を作っちゃえ」という思いつきを通してあらためて感じたのが、「アートっていったい誰のものなんだろう?」という素朴な疑問です。

アートという概念が明治になるまでなかった日本は、「アートは公共のもの」という認識が強い西欧諸国にくらべて、「アートは所有者のもの」という意識がまだまだ高いように思えます。

今回企画した「誰でもミュージアム」はそんな日本のアートに対する認識に小さな小さな一石を投じることにならないかなぁと願っています。

だってパブリックドメインを使えば誰でもバーチャル上に自分の美術館を作れるとなったら、アートの存在が少し変わるように思いませんか?

誰かが作った展示や展覧会を観賞するのではなく、自分が選んだ作品で個人美術館を作って、展覧会を開催するなんて!めちゃくちゃ楽しそう!

「誰もが個人美術館のオーナーになれる世界をバーチャル上で作っちゃうぞ!」。和樂webはこの野望に賛同してくださる方をお待ちしています。





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