スタートアップの成長を後押しするCSチームの目標の立て方 (4タイプから選定)
「スタートアップの"オペレーター"に届けるCSノウハウBook」の6回目の記事です。前回の記事の中で、カスタマーサポートをプロフィットセンターにするには、「カスタマーサポートの目標を、組織全体の目標と一致させましょう」という話をしました。今回はより具体的に、CSの目標を立てる際に考慮すると良い点について紹介します!
1回目:オペレーターの職種
2回目:会社で愛されるオペレーターの実務者としてのノウハウ
3回目:CEOが知るべきカスタマーサポート運営の基本原則
4回目:カスタマーサポートのマネージャーが知るべきTips4つ(KPIと心得)
5回目:カスタマーサクセスだけじゃない!サポートをプロフィットセンターするマネージメント
目標はシンプルに1つ選定しょう
✔️1,000件のお問い合わせを全て10分以内に処理する
✔️2週間以内に顧客対応マニュアルを用意する
✔️お問い合わせから月10件のコンバージョンを達成する
まだ、整備されていないスタートアップのカスタマーサポートチームに与えられた目標です。スタートアップのカスタマーサポートは、それだけやっているわけではもちろんありません。オペレーターとして、顧客対応をしながら、マニュアルを作り、セールスまでする。3つの目標とも妥当なようで、全く方向性の異なる目標です。
CSチャットを提供するスタートアップのチャネルトークでも同じです。目標設定をするために、ワークショップを開いたことがありました。メンバーみんなが異なる目標を持っていました。
チャネルトークでは、ベラが顧問に参画したあと、従来のカスタマーサポートを超えたカスタマーサクセスの一環としてのカスタマーサポートをはじめました。
顧客とプロダクトとの関係に応じたCS目標設定をしよう
オペレーターは顧客とプロダクトとの間に立って、両者を繋げる役割をしなくてはなりません。顧客とプロダクトの間の仲介役であるため、顧客とプロダクトの関係が異なれば、目標も異なるのです。重要なポイントは2つです。
✔️お金を支払ってくれるのは誰か
✔️オンラインのサービスかオフラインのサービスか
(1) Slack型
ユーザーがお金を支払う、オンラインサービスです。SlackのようなSaaS(Software as a Service)モデルの場合、プロダクトの中でほとんどの顧客体験が完結するため、問題をその中で解決すれば良いです。そのため、サービスの成長に合わせて、問い合わせが増えないよう、エフォートレス(不便さの除去) をプロダクト内で実現する必要があります。
オペレーターは、顧客フィードバックを素早く開発チームに共有し、プロダクトの改善への貢献を目標とするべきです。
(2) Google型
ユーザーではなく、広告主であるパートナー会社がお金を支払う、オンラインサービスです。facebookやYahooなどの検索ポータルサイトもこれに属します。ユーザーはお金を支払わないため、ユーザーからのお問い合わせは少ない方です。ただし、プロダクトのクオリティが競争力になるため、プロダクトへの開発への集中と素早いアップデートが必要です。
そのため、オペレーターは、なるべく問い合わせ対応のコストを減らすために自動化を目標にすべきです。
(3) Airbnb型
ユーザーは、直接お金を支払わず、ホストが手数料を支払うオフラインサービスです。いわゆるプラットフォーム型で、Uberなどもここに属します。この場合には、顧客の問題をプラットフォームが直接解決するのは難しいです。顧客の問い合わせの増加を抑えるのを直接コントロールすることはできないため、素早い問題解決へのアクションを心得るべきです。
オペレーターは、不便さを感じたお客様の不満を素早く解決できるように、権限を持って顧客応対ができることを目標にすべきです。
(4) Zappos型
ユーザーが直接支払うオフラインサービスです。この場合には、お問い合わせから直接コンバージョンに繋げることができます。Zapposは、特にカスタマーサポートが顧客を感動させて、ブランディングまでする成功事例で有名ですよね?問題に対する返答だけでなく、セールスやマーケティングチャネルとしてカスタマーサポートを運営するべきです。
オペレーターは、顧客のニーズを把握して積極的に価値提供するカスタマーサクセスマインドを持つべきです。
【事例】 チャネルトークにて、顧客とプロダクトの関係性によって、オペレーターの目標を決めてみました
1. 私たちの顧客を定義しよう
チャネルトークは、熱狂的ファンを作るためのカスタマーサクセスチャットです。お客様と中長期的な関係を築くには、顧客をファンにできなくてはなりません。なぜなら、Slackにzoom、Huaweiなどユニコーンスタートアップの共通点も熱狂的ファンがいることです。それを実現するために、目の前のお客様をファンにする接客チャットと、より多くのお客様をカスタマーサクセスさせるためのカスタマーマーケティング機能があります。
そして、ユーザーがお金を支払うオンラインプロダクトである(1) Slack型であるため、問題が起きればすぐに対処します。また、問題の起因がプロダクトにあるため、顧客フィードバックは有機的に素早くプロダクトに還元される必要があります。
2. オペレーターの目標を定義しよう
よって、チャネルトークのCSチームの目標は、直感的でエフォートレスなUX/UIとチャネルトークの強みである高速で安価なバックエンドシステムを提供して、問い合わせを減らすことです。
オペレーターは、プロダクトの改善にもっとも集中しなくてはなりません。顧客フィードバックをもらって、優先順位をつけて整理し、開発チームのプロダクトのアップデートを促進するのが目標です。
3. オペレーターの究極的な目標を定義しよう
顧客は問題が起きた時に、お問い合わせをします。問題がなくなるほど、プロダクトを改善して、お問い合わせがない世界を作るのが最終的な目標です。
4. 目標を整理するスローガンを掲げよう
冒頭でも言いました。目標は一つにと。そして、いつもそれを意識しながら仕事をする必要があります。スローガンを作りましょう。そして、選定されたスローガンが
答えは顧客にある
プロダクトの方向性に悩んだら、マーケティング戦略、セールス戦略、全てです。常に思い浮かぶ「答えは顧客にある」というスローガン。CSでは、答えは顧客にあると思いながら、顧客が教えてくれたフィードバックを社内に共有する日々を送っています。