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日記:1月16日(月)「俺 VS YMO『BGM』」

前に高校生の頃に初めてYMOのアルバムを買ったと書いたことがあるが、1番最初に聴いたのは1stアルバム「イエロー・マジック・オーケストラ」だった。

1stアルバムはブックオフでたまたま見かけて買ったのだが、まさか日本版とUS版があるとは思わず、よく知らずに電線芸者でお馴染みのUS盤を買った。当時の自分は1曲目の「コンピューター・ゲーム”サーカスのテーマ”」の印象から、この1stアルバムをチップチューンの解釈で聴いていた。

チップチューンからテクノへと印象が変わったのが2ndアルバム「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」だった。YMOをよく知らなくてもどこかで聴いたことがあった「TECHNOPOLIS」や「RYDEEN」といったテクノポップの名曲に加え、細野晴臣の趣味全開の「ABUSOLUTE EGO DANCE」やおどろおどろしい「CASTERIA」、「INSOMNIA」など最初から最後まで聴きごたえがある楽曲が揃っている。・・・なんて私がいちいち説明するまでもなく邦楽を代表する名盤だ。

順番通りに行けば次に聴くのは「増殖」という事になるが、自分はそれより先に「BGM」を聴いた。そして挫折した。RYDEENのノリで聴いたら何が何だかさっぱり分からなかった。

冒頭の「バレエ」や「音楽の計画」といった楽曲からそうだが、まず全体的に暗い。そしてこのギスギスしたムードが最後まで続く。「ハッピーエンド」にはメロディらしいものが無いし、「来るべきもの」に至っては音楽なのかどうかも初めて聴いた時には理解出来なかった。アンビエントというジャンルを知ってから自分なりに飲み込めるようになったのはまだ先の事だ。

自分は理解出来ないものはまともに向き合う事なく、分かる事はないと決めつけて理解を諦めてしまう悪癖があるが、この時ばかりは違った。何とかこの「BGM」を飲み込もうと何度も聴き返し、色々調べたりした。当時のYMOが置かれていた状況とか、背景とか、使っていた機材とか、ソリッドステイトサヴァイヴァーの頃と何が違うのか、勉強や仕事もこれくらい真面目ならいいのにねと自虐的になるほど真剣に向き合った。

今もこのアルバムについて完全に理解したわけではないし、聴くたびに分かった、やっぱり分からない、と思う事ばかりだ。でも音楽の聴き方を変えてくれた、理解出来ないアルバムも諦めずに聴こうと思うようになったのは、YMOの「BGM」がきっかけだったと思う。



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