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ノンノンフィクション「漫才賞レース」

男2人によるお笑いコンビ「ゴールデンカリウム」

結成9年目の今年、年末に行われる漫才賞レースのファイナリストに初めて選出された。ボケ担当の四十形(しじゅうかた)はこう語る。

四十形「俺たちで漫才の常識を覆したいと常日頃考えています。いずれ漫才の歴史はゴールデンカリウム以前以後に分けられる。そう後世で語られるほど漫才を変えてやりたいんです」

ツッコミ担当のナトリウム加藤はこう語る。

加藤「優勝は通過点でしかないですね。俺たちが漫才のレベルをあげる。俺たちで漫才をぶっ壊して再構築してやろうと毎日考えています」

さあ舞台は整った。面白い者だけが勝つこの舞台で歴史を塗り替えろ!

ゴールデンカリウム!

(登場SE)

加藤「どうもーゴールデンカリウムです」

四十形「よろしくお願いし・・・マンドリル!」

加「何だよお前それ!」

四「俺さあこの間腸がはみ出てた犬を見つけたんだよね」

加「どういう状況だよ!」

四「とりあえず保健所に通報して事なきを得たけど、あの時俺にも何か出来る事があったんじゃないかと後悔してるんだよね」

加「いやねえよ!保健所に通報しただけでも十分だわ!あと腸がはみ出た状態からどうやって事なきを得たんだよ!」

四「あの時何が出来たかを検証したいからさ、お前腸がはみ出た犬やってくんない?俺はマンドリルやるからさ」

加「冒頭のマンドリルここに繋がってるのかよ!・・・まあやるけどさ・・・」

加「ウー、ワンワン!」

四「ちょっと待って」

加「何?俺すっかり犬の気持ちになってたんだけど」

四「いや、ワンワンって鳴く感じの犬じゃなかったんだよ」

加「拘るところそこじゃねえだろ!じゃあ何て鳴けばいいんだよ」

四「びょうびょうがいいかなって」

加「江戸時代の解釈じゃねえか!令和の今通じねえって!」

四「じゃあ折衷案ということでバウバウで頼むわ。俺は引き続きマンドリルやるから」

加「おう、ウーバウバウ!」

四「ウホー!ウホウホ!」

加「え、ちょっと待って」

四「何?俺今完全にマンドリルが降りて来てたんだけど」

加「いや、マンドリルの鳴き声ってウホーでいいの?」

四「逆にお前知ってるわけ?マンドリルの鳴き声」

加「いや・・・知らないわ・・・中断して悪かった。続けよう」

四「ウッホー!」

加「バ・・・バウバウ・・・」

四「ウホ?」

加「バ・・・バウー!バウ!」

四「ウッホウホ?」

加「バ・・・キャインキャイン!チョウデテルキャイン!」

四「・・・ブフッ・・・ウホー!ウホホー!」

加「キャイン・・・チョウハミデデテメッチャイタイキャインバウバウ!」

四「ブフフッッッ・・・おま・・・しゃべって・・・ウホ・・・タイヘンウホ・・・」

加「ブハッ・・・バウバウ!」

四「ジュウイサンヨブウホ・・・」

加「ブフッ・・・おまえも喋って・・・バウバウ・・・タノムバウ・・・」

四「ウホ・・・ハナシツウジルカフアンウホ・・・」

加「イッショニツイテイクバウ・・・」

四「オマエチョウハミデテル・・・ムリハイケナイウホ・・・」

加「クルシイケドイクシカナイバウ・・・」

四「イヤ・・・オマエハノコレ・・・オレガイクウホ・・・」

加「クソッ・・・!ソコマデイウナラマツバウ・・・」

四「マサニ“ダンチョウノオモイ”ウホネ・・・」

加「イヤ・・・マダカロウジテツナガッテルバウ・・・」

四「イッポントラレタウホ」

加「イイカゲンニシロバウ」

2人「「どうもありがとうございましたー!」


この漫才で賞レース史上最低得点を叩き出し、悪い意味で歴史に名が残った。

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