日本酒を貰ったAさんの話

 お土産で貰った日本酒を飲んでいる人に出会った。その人をAさんとする。
 その日本酒は友人からのお土産であるらしい。その友人をBさんとする。
 お土産で日本酒を授受する間柄であるので、Bさんは「Aさんは日本酒が好き」あるいは「Aさんはお酒を嗜む」という認識があるのだろう。もしくはAさんが何を好むかは考えずにBさんが何となく決めたかもしれない。それは嫌がらせかもしれないし、日本酒党として布教活動をしたかもしれない。どちらにしてもBさんが個人的事情で行ったのだ。
 しばらくしてAさんが「日本酒も好きになれると良いなぁ」と発言した。Aさんは日本酒が苦手なようだ。Aさんが日本酒を苦手だとすると、Bさんが「Aさんは日本酒が好き」と勘違いをしていたか個人的事情かどちらかだ。
 そもそもAさんが日本酒好きだとして、このタイミングでBさんから貰うことが喜ばしいかは不明だ。お土産全般において、渡す側が他者へ配慮なしに行われることが少なくないと感じる。
 お土産が持つ迷惑について苦言を呈してみた。他者へ働きかけることは一般的に迷惑を孕んでいる。「一時的には迷惑でも共同体存続には必要」など反論もあるだろう。「迷惑」について考える必要がある。迷惑とは何ぞや。迷惑は避けるべきことなのか。迷惑は悪なのか。悪は避けるべきことなのか。避けるべきことを「悪」と呼んでいるのか。

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