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冬の空が一番好きだ

空が青い。

青いというか、蒼い。

私は冬の空が好きだ。木枯らしの吹く秋の空も好きだが、吐く息が白くなるような、寒さをたたえた冬の空が何にも増して好きだ。

衣類棚から冬物のコートを引っ張り出し、玄関先で羽織って外に出るとピリッとした空気が頬に触れて気持ちが良い。

少し歩けば手も悴んで思わず寒さに身を丸くしてしまいそうになるが、それでも背筋を張って一歩々々歩みを進めていく。

近くを通る電車の音も、ひっきりなしに往来する車の音も、行き交う人々の足音も、皆一様に乾いた音が聞こえてくる。

夏は虫の音が邪魔だし、秋は枯れ葉が入り交じる。春は陽気な鳥の鳴き声となによりも花粉が、音を聞かせない。

冬はいい。余計な物が何もない。

寒さに震えながら歩く時、ふと顔を上げて見てみるといい。その空は他のどの時よりも高く蒼く、また抜けるように広がっている。

晴れていれば。

ちなみに写真は夏空である。


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