FC今治が心配

FC今治が少し心配だ。

今シーズン2回目の監督交代である。

岡田オーナー自身も言及しているように、サッカークラブとして異例の事態だ。

成長するクラブはあまり監督交代をしない。

継続が生み出す力は大きい。特にこれから成長していこうとするクラブには、腰を据えてじっくりとチーム力を育てる監督が不可欠だ。

そういう意味では布前監督にはかなり期待していた。

まさかの4ヶ月で事実上の解任。

岡田オーナーは大鉈を振るうことを厭わない人物だ。

サッカー界において刷新はギャンブルといえる。

岡田オーナーはこれまでそのギャンブルに勝ってきた経験がある。

そうした経験を持つ人物にとって1シーズンに2回くらいの監督交代はどうってことないのかもしれない。

私が危惧したのは岡田オーナーの次の発言である。

「来季は絶対に昇格します」

いやいやいや、J3ってそんなに甘くないのあなたが一番よく理解しているでしょうに。

それが実現できなかったとき、岡田氏の求心力は急激に低下するのではないか。

ほとんど何もないところからJリーグに参入し、スタジアムまで建設した。

急激に成長したクラブは、一つ歯車が狂えば急激に衰退する。

来季J2に昇格できればいいが、できなかったときの反動が怖い。

岡田さんは、もしかしたら来季失敗したら自分が退任すれば良いと考えているのかもしれないが、岡田さんが引いた後、今後の今治の里山スタジアムプロジェクトなどを牽引していける人物が育っているのだろうか。

「失敗したら俺が辞めれば良いんだろ」

このスタンスはあの人に似てる。

長沼健元日本サッカー協会会長である。

1997年秋に岡田さんをコーチから日本代表監督に引き上げることを承認し、「岡田で(ワールドカップに)行けなかったら俺が辞めれば良いんだろ」と捨て台詞をお吐きになられた。

日本中のサッカーファンが「あなたの進退なんてどうでもいい」と総ツッコミしたのが懐かしい。

今の岡田オーナーに、当時の長沼健会長の影が重なる。

「俺が辞めたら良いんだろ」じゃなくて、岡田さんには辞めて欲しくない。

今治に骨を埋めて欲しい。

J2昇格をそんなに焦らなくても良いでしょう。

ゆっくり着実に本物の力をつけて欲しい。

それはチームだけじゃなく、クラブも、街も含めて。

それには時間がかかる。

岡田さん、一度立ち止まって、クラブの成長目標を見直してみてはいかがでしょうか。