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TOWER VINYLでしか得られない栄養がある

昔からタワレコにはどこか憧れがあった。
近所のゲオのレンタルCDしか音楽を吸収する方法を知らなかった私にとって、独立したCDショップという存在自体を遠いものに感じていた。

大学生になりある程度の行動力とお金を手にすると、東京のライブハウスに時々行くようになり、それが渋谷に近いときは必ず渋谷のタワレコに寄るようにしていた。
初めてBiSHを生で観たのもタワレコ渋谷B1階のライブスペースで、そこから私はBiSHにどっぷり浸かっていくことになる。
完全に余談だが、その時に書き殴ってRockin'onに寄稿した文章がサービス終了で消滅していた。ギャーーー!

渋谷にでかでかとそびえ立つタワレコ渋谷だが、私はその中の3階のJ-POP,J-ROCKのエリアにしかほとんど行っていなかった。3階に行っても何か買うわけでもなく、「ほ~ん今はこんなのが流行ってんのね~」とぼんやりインプットして手ぶらで店を出る。ブックオフでひたすら立ち読みして帰るようなもんである。

社会人になり、渋谷に行く機会が増えた。空き時間にふらっと真っ黄色のタワレコに入り、いつも通り3階を物色したのち、微妙に時間が余っていたので上の階へ上がることにした。
アイドルエリア・K-POPエリアを過ぎた6階に行くと、明らかにそれまでの階とは違う雰囲気が漂っていた。
TOWER VINYL SHIBUYAと銘打たれたそこは昨年9月にTOWER VINYL SHINJUKUから移転する形で新設されたもので、新旧7万枚のアナログレコードを保有しているという。

「なんか分かんないけどイイ!!」というのが第一印象だった。
音楽界隈のTwitterの影響でわずかながら洋楽も聴くようになり、知ってるジャケットを見つけると嬉しくなってしまう。「あ、サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンドじゃん」とクソキモ知ってるぞアピールが脳内で止まらない。
なにより楽しいのが、普段スマホの小さい画面で眺めているあのジャケットが30センチ四方のバカデカサイズで並べられている光景だ。
美術館で絵画を眺めるような感じでフロアをぼんやり歩いているだけでもかなり楽しい。最近だとSpoonの新譜のジャケットがかなり好きで、それが「デケー!!」ってサイズで陳列されていて嬉しかった。

Lucifer On The Sofa / Spoon

もう一つの魅力はフロアのBGMである。
フロアの数か所に、古めのライブハウスに置いてあるようなクソデカ据え置き型スピーカーが設置されており、そこから爆音で店員が選んだレコードが流れている。スピーカーのそばには「NOW PLAYNG」と書かれたモニターがあり、リアルタイムで何を流しているのか分かるようになっている。Shazamいらずでありがたい、と思ったが結局何曲目の曲なのか分からないため、何度かShazamっている自分がいた。
全身で爆音を浴びる機会が減ったため、店員選りすぐりの曲を爆音でかけてくれるのはとても嬉しい。

紙ジャケットの独特のにおい、「音楽こだわってまっせ」と言わんばかりにディグる客、壮観な名盤ディスプレイなど魅力ばかりのTOWER VINYLに完全に魅了されてしまっているが、私はまだレコードはおろかレコードプレイヤーすら持っていない。
欲しいレコードを手にすると飲み会1回分ぐらいの価格のものがほとんどで、まだ踏み切れていないのが現状である。
「買えなくないけど家で聴くのか、、?」というのが正直なところだ。まだ思考がガキなので、大人の趣味として今後にとっておくことにしている。

そしてこの記事を書くにあたり色々調べていて知ったが、TOWER VINYLは"タワーヴァイナル"と読むらしい。レコードむず~

脳内の引き出しが足りないので外付け脳みそとして活用しています。