ミスiD2022卒業式

ずっと泣いている。面白いほどにずっと泣いている。ずっとというのは言いすぎかもしれない。真面目に言うと昨日から3時間ほどの間隔で泣いている。2時間しか寝てなーい、の言葉が本当に言える状態なので、たぶんその間隔は正しいと思う。子供を育てたことがないのでわからないが、赤ちゃんってこんな感じなのかな。赤ちゃん、わりとつらいな。

ミスiD2022で受賞できなかった反省点でも書いてやろうかと思った。考察でもしてやろうかと思った。わかったこと、とまでは言えないが、わかった気がしていることならいくらでもある。それくらい、私は自分に、ミスiDに向き合ってきたと思う。でも今、私の中には新鮮な感情があるので、今このときだけの物である感情について書こうと思う。

あなたのことは喋らない。上手いまとめなんてできやしない。そもそも私は文章が上手くない。上手くないんだよ、私、そろそろ認めてくださいね。

私が泣き出したのは、文藝賞が発表されたときだ。わかっているのに、重々わかっていたのに、どこか期待していて、期待している私を睨む私がいて、ダメだと思う私と、ダメなんて思うなよと言う私がいた。呆気なかったなあ。ツイートの下書きには、当日の朝に書いた「今日の目標は文芸賞のスピーチのときに顔を上げてステージ側をちゃんと見ること」なんて文が残っている。取れるかもなんて希望がほぼなかったことも確かだったけど、取りたいと思っていたことも確かだったらしい。そしてその気持ちは、私が思っているより遥かに大きかったらしい。

素敵な言葉へ送られる賞が次々と読み上げられた。そこでも私が呼ばれることはなかった。涙が止まらなかった。ただ単純に悔しかった。文章を愛せない、言葉を手段としてしか使えない、拙い技術の持ち主に悔しいなんて思う権利もないのかもしれないが、やっぱり悔しかった。私は今まで何を書いてきたんだろう。何で伝えてきたんだろう。

でもこれだけは大きな声で言っておきたい。卒業式で一番悔しかったのは私がなにも受賞できなかったこと。そして卒業式で一番嬉しかったのは文藝賞がにちきさんだったことだ。

書類選考も終わっていないとき、同じくエントリーした子と、今年の文章の人で良い感じの人って誰だろう、という話をした。隠す必要もないので言ってしまうが、私はそこで「にちきさんと椎井しぇるさんかなあ」と言った。お二人とも、本当におめでとうございます。

文藝賞の発表後、優子ちゃんがすかさず渡してくれた箱ティッシュを抱えながらひとしきり泣いて、式中なのに駆け付けてくれた03ちゃんをスタッフさんと間違えて丁寧にお礼を言って、その後は鼻をすすりながら卒業式を見ていた。もう終わりだと思う度に泣きながら、それでも頭の片隅には「文藝賞で呼ばれなかったとき、終わったと思って」なんてことを壇上でスピーチする私がいた。期待をしていたんだ。私は賞がほしかったから。

認めてほしかった。ミスiDに勝ちたかった。この期間、大好きな人が一人また一人と減っていくなか、大好きな自分で受賞することで「あなたは物語だ、どんなあなたでも」というキャッチコピーをミスiDに叩き返したかった。だってそんなこと言うなら、私だってあの子だって物語でしょうが。

「分かりにくい物語も棚の端で売れ残った物語もブックオフに出された物語もちゃんと物語だと叫びたい」

最終面接のこの言葉は伝わった上でどうにもならなかったんだと思う。それでも「わかってほしかった」と思ってしまうよ。ごめんね。私が悪かった。これは私に対して謝りたい。最高に面白いあなたのこと、ミスiDに伝えきれなくてごめんなさい。

私が本を読める人だったらよかったんだろうか。もっと感情の数を絞れる人だったらよかったんだろうか。堂々と意見を言える勇気を、遅い時間まで物事を考えられる脳を、美しくなりたいという意識を、持った人だったらよかったんだろうか。もうそれは私じゃないよ。私は私のままで、賞がほしかったよ。

悔しいなと思う。本当に本当に賞がほしかった。あなたにとってはおまけでも、私はそのおまけのために7年間ミスiDに執着してきたんだよ。おまけのためにたくさんの時間と人生かけてきたんだよ。くだらないですか、恥ずかしいですか、私のnote、何個読んでくれましたか?

「無限ちゃんは理解されたい人なんだと思う」という言葉をこの間いただいた。これについてはきちんと考えてまた別のnoteにしたいが、私はミスiDにわかってほしかったんだと思う。私が伝えることの上手い人だったら、わかってもらえたら、きっと私は「文藝賞で呼ばれなかったとき、終わったと思って」なんて言えたんだろう。

卒業式は終わった。そしてミスiD2022も終わった。到底信じられないが、本当に終わってしまった。賞、ほしかったな。今からでもいいからくれませんかね。30秒のスピーチで「賞がほしいです」って言ったの、たぶん私だけですよ。それくらい本当に本当に欲しかったんですよ。

でもあの場所で震えながら「勝ちに来ました」と、「賞がほしいです」と、はっきり言える私でよかったなと思う。そしてはっきり言える私のまま、卒業できて本当によかったなと思う。「大好きな私のまま」はほんの少しだけ、叶ったのかもしれない。ステージ上で俺たちが1位だ!と言うことはできなかったけど、全人類が振り向くレベルの革命は起こせなかったけど、『革命を起こそうとしたその瞬間だけは変わらない事実』なんだよね。

私も含め卒業生のみんな、卒業おめでとうございます。そして本当にお疲れさまでした。疲れたね。生き抜けてよかった。最後に会えてよかった。一緒に泣いてくれて嬉しかったです。お風呂入ってあったまってね。そして受賞した方々、本当におめでとうございます。私は死ぬほど悔しいけど、輝いている人が輝きに見合った賞をもらっているところが見れて本当に幸せです。

あーーーーー悔しい!

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