ミスiD2022卒業文集

すなねこちゃんの卒業文集を読んで、私も書きたくなってしまった。ミスiD2022のまとめは卒業してから書こうと思っていたが、たしかに卒業文集は卒業前に書いておくものだ。このタイミングはおそらくもう来ない。最高の卒業式を迎えられるように、今文章にしようと思う。

俺たちが1位だ

8ヶ月。文集として振り返るには書くべきことが多すぎて、スマホを打つ手が止まってしまうくらい濃厚な8ヶ月。それでいて、今この瞬間目覚ましが鳴って「全部夢でした」なんて漫画のようなオチが付いたとしても、納得してしまうくらいの現実味のない8ヶ月。私はミスiDを来週卒業する。

たくさんの文章を書いてきた。小説を18作(復活戦のときチアズに載せたものも入れれば19作)、それも含めたnoteが80記事ほど、29年間のちっぽけな人生で得たものをこれでもかと詰め込んで文章を書いた。短期間でこんなに文字を打ったのは人生で初めてかもしれないな。復活戦のときは手を痛め、慢性的に肩が凝るようになった。やわらかい痕。

この8ヶ月、私はずっと泣いていたような気がする。過去のことをnoteに書いては泣いて、周りの天才を見ては悔しくて泣いて、バラバラな方向を向く自分の気持ちを泣きながら喋って、泣きながら前に進んだ。もしミスiD2023が開催されるなら、本当に偉そうな発言にはなるが、手放しで「楽しいところだよ」「得るものだらけだよ」とは言えないと思う。ここは本当にぐちゃぐちゃな場所だ。ぐちゃぐちゃでドロドロで、その泥に太陽の光が反射して眩しい。キラキラしている。とてもあたたかい。

たぶん、一生のなかで一番自分を見つめた8ヶ月だった。過去、現在、未来。自分の感情、心、気持ち、障害、特性、外見。できること、できないこと。得意なこと、苦手なこと。好きなもの、好きじゃないこと。専門学校のとき、デッサンの授業で自画像を描いたことがある。穴が開くくらい鏡を見つめて、自分の見た目を鉛筆の濃淡で紙に移す。ミスiD期間、私はずっとデッサンをしていたんだなと思う。noteやツイッターという紙に言葉という鉛筆で自画像を描く。技術はないに等しい。拙い言葉で濃淡をつけて描く自分。Aなんかもらえなくても、全部が愛おしいと今なら思える。

承認欲求と自己顕示欲が強いこと。約束が怖いこと。特別になりたいから人間関係がうまくいかないこと。大丈夫になってもぐちゃぐちゃは消えないこと。普通も大人も存在しないと思うこと。うまくいかなかった自分。うまくできるようになった自分。私の周りを宝箱が囲んでいる。知らなかった私もわかっていた私も、箱の中でゆっくりとした時間を過ごしている。バラバラだった私はひとつずつ箱に詰められて、なんだか心地良さそうに見える。良かった。ミスiDに出て良かった。

私はこのミスiDで二回不通過を経験している。自慢にもならないことだが、あの最悪な「一覧に名前がない瞬間」を二回味わっている。二回の復活戦で私は同じことを繰り返した。「1位になります」という言葉を、狂ったように繰り返した。結果は29位と6位。1位になると言って1位にはなれなかった。

正直、一等の出てしまった福引きを回し続けているような気持ちだった。諦めたくなかった。可能性をないと認めたら本当にそこで終わりだと思った。30位辺りで「1位になる」「俺たちが1位だ」と喚く私を、それでも信じてくれた人がいること、手を貸してくれた人がいることを、絶対に忘れたくない。いつか忘れてしまうなら、なるべく長い時間覚えていたい。捨てたもんじゃないんだよなと思ってしまった。この世界も、私のことも。

俺たちが1位だ、と本当に思う。信じていたって叶わないことばかりだ。努力はきっと報われるなんて幻想だ。でも思うことは自由であって、思っているからこそできることがあると、私はここにきて初めて知った。お前もお前もお前も1位だし、俺も1位。俺たちが1位だよ。

楽しかった。得るものだらけだった。そして苦しかった。つらかった。壊れるんじゃないかと思った。夢のようで夕立のようで泥のようでそれでいて何にも例えられないくらいおかしな8ヶ月。まだ卒業していない私が「こうだった」とひとつに纏めることはできないけれど、今の私の姿でミスiD2022にエントリーして、本当によかった。本当に、本当によかった。

卒業式にはオレンジ色のワンピースを着ていくつもりだ。同じくミスiDで戦った子がくれたネイルを塗って、同じくミスiDで戦った子がくれたメイク用品でお化粧をして。ミスiD、人生に旗を立てる機会をくれてありがとう。関わってくれた人、私を深めてくれてありがとう。応援してくれた人、一緒に歩いてくれてありがとう。そして私、ただただありがとう。

私が賞を取ったら心の中で花火を上げてくださいね。みんなで花火大会をして、それぞれうちに帰ってしっかり休んで、明日からもまたたくさん遊ぼう。最高の8ヶ月。俺たちが1位だよ。