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政治思想の分類法

政治について話すとき、右と左という区別に頻繁に出くわす。

別の言い方をすれば、右翼と左翼だ。どちらもいい響きではなく、多くの人が両方の言葉に対してなんとなく悪いイメージを持っている気がする。

どちらも完全に区別できるものではなく、政治思想のグラデーションでしかないので、そんな簡単に分けられるものではないことには注意が必要だ。

右翼とは

右翼は保守という言い方もされる。右翼は、現状肯定をする傾向にある人を指す。また、国家という概念を重視し、そのもっとも極端な思想はナショナリズムとされる。ナショナリズムという思想は、国家という抽象概念を繁栄させることを最も重視することを意味する。こういった思想が戦争や特定の人々の迫害の原因となった歴史があり、実現在もその傾向があるのでナショナリズムは危険視される。また、それよりも柔らかい考え方で愛国主義と呼ばれるものもある。自分の所属する国(何をもって所属するかはその人の感覚次第)を愛するということだ。この感覚は大なり小なり多くの人が持つものだ。スポーツの国際試合では、国旗を振ったり、国家を歌ったりする。自分の国のチームを応援するのも、広い意味では愛国心かもしれない。


左翼とは

左翼はリベラルと言われることが多い。左翼は現状否定をする傾向にある人を指す。現在の国家の負の側面に注目し、国連という地球規模の機関や地域コミュニティに対して期待を寄せることもしばしばある。なお、左翼が最も極端な形で表れるのは、マルクシズムと革命主義だ。現在の国家観と資本主義というシステムを否定するマルクシズムは、現状を強く批判する論理を提供するもので、リベラル思想と結びつきやすい。そもそも、左翼という概念自体がマルクシズムから生まれたかもしれない。そこはよく知らない。

また、左翼は社会的に弱い立場の視点を強く持ち、現状の経済力や政治的権力が一部に大きく偏った状態を革命という形で修正しようという考えとも結びつくことがある。最近ではもう全くなくなったが、昔は中核派という本気で暴力によって革命を起こそうとしていた人たちがいたらしい。


右翼と左翼、どちらも最も極端な形のものは危険なものである。極端だから危ないというわけではないが、俗に「極端」と言われるものは、多くの場合は空論であったり、視点が決定的に欠如していたりする。

こういった右翼と左翼という分類は、とても分かりやすいものの、無駄な分断を作り出しているように思う。ツイッターでトレンドに入っている政治的な話題のツイートを見れば良く分かる。また、この分類は論理的に不十分な部分があるため、実際に対話・議論をするときには邪魔な分類だ。ということで、代替となりうる分類について述べておきたい。

例えば、現在の与党である自民党は保守と分類される。しかし、改憲に積極的であり、そういう意味で現状否定をしている。これは、現在の保守・リベラルという言葉では説明できない状況である。


論理的な政治思想分類

必ずしも論理的であることがすべてではないが、ここで述べておきたい。
3つの指標から政治思想を分類できる。

保守・急進(現実主義・理想主義)
保守・急進とは、変化に対してどれだけの速度を持って臨むか、ということである。

パターナル・リベラル
パターナル・リベラルとは、価値観をどれだけ規制するか、多様性を認めるか、ということである。

リスクの個人化・リスクの社会化
社会保障額などに現れる論点で、個人化では小さな政府、社会化では大きな政府が目指される。


先ほどの自民党の改憲についてこの指標に当てはめると、自民党は保守的かつパターナルな政党であると言える。改憲案では、家族観などが強調されており、価値観を統一しようという動きがみられる。そう考えると、自民党は国会における伝統も破ったりもするので、このnoteにおける定義によれば、保守というよりもパターナルな性格が強いのかもしれない。

疲れたので終わりにする。

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