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流産手術後の経過観察、そして緊急入院。

2023年10月6日。
稽留流産に対し、子宮内容除去手術を受けてから4日目。
経過観察のために診察に訪れた。

退院日翌日(術後2日目)は、下腹部痛と軽い出血は続いていたものの、内服を続けながら日時生活は普通に行えた。
家事は問題なくこなせたし、何なら美容室に行く元気もあった。夫と外食にも行けた。

10月5日(術後3日目)に、そこそこ強い下腹部痛があった。出血も多くあり、小さな血の塊がいくつか確認できた。
まぁでも血腫があるって言ってたし、こんなもんだろう。これで全部出たのかな?なんて悠長なことを考えていた。

名前が呼ばれた。
手術を担当してくれた先生がエコーで確認してくれた。
エコー、めっちゃ長い。
じっくり見てる。
あー、これ、経過が良くないやつだー、嫌だなー、と思った。

先生の説明

  • 子宮内に、5センチ×5センチくらいの血腫がまだある。退院時診察のときの所見と変化なし。

  • 血腫には血管が通っていて、それなりに血流量がある。

  • このまま子宮収縮剤の内服を継続して、血腫が小さくなるのを待つのがベターであろう。

  • 急に大量出血し、貧血が進行する場合は輸血が必要になる。

  • 積極的な治療としては、造影剤を使ったCTを撮って、放射線科と協力して血腫の血管に止血剤を詰める手術をすることがある。子宮動脈塞栓術(UAE)といい、術後の不妊リスクがある。

  • 子宮内容除去手術の術後合併症(非常に稀なもの)である。子宮内膜損傷のリスクが低い「吸引法」で行ったが、どうしても傷が付いてしまうことがある。それが原因だと思われる。もともとの子宮や付随臓器に異常はなかった。

先生の説明は分かりやすく、術後合併症のことは聞いていたので、理解できた。
でも、残念な気持ちでいっぱいだった。
起こってしまったことは仕方ないし、その都度よい選択をしていく他に方法はない。
頭ではそう理解していても、「経過は問題ないですよ」「子宮の中きれいになってますよ」の言葉が聞きたかった。
安心したかった。ショックだった。

昨日わりと多めに出血があったことを踏まえ、貧血の値を見るために採血をしてもらった。
結果は基準値の下限ギリギリで、一応問題なし、とのことだった。

継続している子宮収縮剤の追加と、新しく止血剤が2種類出た。
会計を済ませ、自宅近くの調剤薬局で薬を貰いに行ったが、子宮収縮剤のストックがないところが多く、4軒目でようやく処方してもらえた。

病院は朝9:00の予約だったが、なんやかんやで帰宅したのは正午を過ぎていた。
ぐったりとしていた。
夫と食事をとったあと、処方された薬を飲み、3時間ほど眠ってしまった。

20:30ごろ、強烈な下腹部痛が訪れた。
ナプキンでは吸収しきれないほどの、4センチを超える大きさの血の塊が何個も出てきた。
下腹部痛には波があり、術前処置でラミセルを入れたあとの痛みにそっくりだった。
意識ははっきりとしていたが、この痛みと出血がいつ終わるのか、このまま自宅で過ごしていてよいのか、不安になった。
夫はずっと背中をさすってくれていた。
心配そうに、不安そうに、痛がる私をみていた。

22:30ごろ、病院に電話をした。症状を伝えると、すぐに来るように言われた。
おそらく入院になるだろうと思ったので、とりあえず一泊できるくらいの荷物をまとめた。
もう慣れたものである。
タクシーを呼んで、病院に向かった。

23:00、病院に到着。夫も一緒にきてくれた。
産婦人科の当直担当は女医さんだった。
エコーをしてもらった。

女医さんからの説明

  • 今日の外来診察でのエコー画像とほぼ変わっていない。血腫からの出血で間違いないが、血腫がすべて出たわけではない。

  • このままでは深刻な貧血を起こすので、入院管理で止血剤を点滴する。止血するまで絶対安静で、退院の目処は不明。

  • 入院中に万が一大量出血を起こしたら、輸血を行う可能性もあるし、緊急で子宮動脈塞栓術を行う場合がある。

  • 最悪のケースとして子宮を摘出する場合がある。それを絶対に避けるためにも、子宮動脈塞栓術が最善の選択になり得る。不妊の要因になると言われているが、問題なく妊娠・出産できた症例もある。

  • 今回のケースは極めて稀なことで、症例数が少ない。術後合併症という認識でOK。

夫も一緒に説明を聞くことができた。
私は午前中にほぼ同じ説明を受けていて、夫にもLINEで伝えてはいたが、このとき初めて「子宮摘出の可能性」について聞かされたため、夫のほうが動揺していたように見えた。
私ももちろん驚いたが、同じような症例の論文を探して読み漁っていたこともあって、ある程度は心の準備ができていた。

夫は帰宅。
私はそのまま車椅子で病室に連れられ、採血、点滴。
今回は大部屋(4人部屋)入院になったが、幸い入院患者は私だけだった。
変な時間に昼寝をしてしまったのもあり、朝方まで眠れずに過ごした。


それにしても。
赤ちゃんができて、それがたまたま心拍確認後の流産(約5%の確率と言われている)になってしまって、
残念だけど手術を受けて、0.05〜5%の確率で起こるという術後合併症を発症してしまった。

少ない少ない確率をしっかり引き当ててここまできてしまった。ああこれはもう子宮摘出になっちゃうんじゃないか、と強い不安と恐怖に襲われた。

赤ちゃん、欲しかっただけなのにな。
このあと年内には生理がまたきて、気持ちも落ち着いたころにまた妊娠できたらいいな、なんて思ってたけど、もしかしてそれも叶わないのかな。
手術を受けた選択が間違っていたのかな。
赤ちゃん、できなくなっちゃうのかな。
夫の人生にもかかわってくる。
大好きな人をお父さんにしてあげられないかもしれない。
離婚?
いろんなことを考えてしまって、自然と涙が出てきた。


しんどいけど、今できるのは安静にすることだけ。
赤ちゃんは、ちょっと前にいなくなってしまった。
こんなに安静にしたって、また低い低い確率を引き当ててしまったら、赤ちゃんはもう来てくれないかも。
どうしよう?
どうしようもできない。
もどかしかった。
泣いても解決しないとわかっていた。

病院の、大部屋にひとりきり。
たまに他の部屋から赤ちゃんの声が聞こえてくるけど、前回の入院のときほど、落ち着いた気持ちで聞いていられない。許してほしい。
とりあえず、明日、出血が止まってくれたらいいな。
明け方5:00ごろ、ようやく短い眠りについた。


次回に続きます。

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