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シリーズ 「街道をゆく」をゆく 002

第1回   「湖西のみち」

その2     「東京発・東京行き」の乗車券

今年の3月、私、求馬(もとめ)は、新卒から長年勤め上げた会社を卒業 (基本的には、私は「退職」ではなく「卒業」という言い方をしている) して、自分で個人会社を作って、独立して事業を始めることとした。これについては別のところで経緯を含めて書いているので、細かいことはここでは語らないが、実は今回の旅行は、私が会社時代に地方創生の事業関係でお世話になった方々に退職のご報告とこれからもよろしくということをお願いするという「ご挨拶」が一つの目的なのである。このご挨拶をする相手のいる場所は、長野県松本市、長野県長野市、福井県鯖江市の3箇所である。そして、それに合わせて、今回のNoteの取材旅行も兼ねるということを計画したのである。
旅程としては、まず初日、新宿駅から中央本線「特急あずさ」に乗って松本駅に着く。松本で挨拶の後、一泊して、今度は篠ノ井線「特急しなの」に乗って長野駅に行き、長野でも挨拶の後、一泊。翌朝、長野駅から北陸新幹線「かがやき」に乗って、金沢で乗り換え、北陸本線の「特急サンダーバード」で鯖江駅について、そこで挨拶の後、一泊というスケジュールであった。そして鯖江からは、北陸本線「特急しらさぎ」で敦賀駅へ、そこから湖西線で安曇川(あどがわ)駅について、ここからこの「湖西のみち」を辿り、帰りは堅田駅から湖西線で京都に出て、そこから東海道新幹線「のぞみ」で東京に戻るというルートだ。

つまり
【東京都区内(新宿)】→中央本線(あずさ)→【松本】→篠ノ井線(しなの)→【長野】→北陸新幹線(かがやき)→【金沢】→北陸本線(サンダーバード)→【鯖江】→北陸本線(しらさぎ)→【敦賀】→湖西線→【安曇川】→湖西線→【堅田】→湖西線→【京都】→東海道新幹線→【東京都区内(東京)】
というルートである。

この買い方は、「鉄ヲタ」(鉄道オタク)にはよく知られている切符の買い方なのだが、このルート、一筆書きでループになっているので、乗車券は 「東京都区内発 東京都区内行き」 という出発駅と到着駅が同じ1枚の切符で買うことができる。JRの切符は距離が長ければ長いほど、距離あたりの値段が安くなるのだが、このルートというのは全部で1,314.3kmになり、乗車券の料金は14,740円となり、8日間有効で、途中で何度でも下車できる。
これを例えば、ぶつ切りで降りるたびに切符を買い直すと以下のとおりとなる。
新宿→松本    4,070円      
松本→長野   1,170円  
長野→鯖江   5,500円
鯖江→安曇川   1,520円  
安曇川→堅田  510円
堅田→東京   8,580円
合計    21,350円
21,350円と14,740円、つまり、1枚の切符で買った方が、この買い方よりも3割以上安くなるのだ。

ちなみにこの料金は途中下車しても、しなくても同じ料金である。

今回のルートはかなり特殊なので、あまりこのようなルートを使うことはないだろうが、例えば、東京から鯖江に出張するとき (今回のように松本を経由することは普通はしないので、東京から北陸新幹線を使って金沢で北陸本線に乗り換えて鯖江に行くというルートで考える) で往復すると8,910円✕2=17,820円になる。※
これを同じようにループになる、東京から北陸新幹線を使って金沢で北陸本線に乗り換えて鯖江に、帰りは鯖江から北陸本線で敦賀を経由して米原に行き、そこから東海道新幹線で東京に戻るというルートを使うと13,200円となる。
実はこのルートでの買い方、接続時間によっては、乗車時間もそれほど変わらないこともあり、知る人ぞ知るお得な買い方なのである。

話がなかなか紀行に入らないが、次回から実際に湖西のみちを歩くので、また読んでください。

※ 実はJRの切符は片道600km以上であれば往復割引で合計額に対して1割安くなるのだが、この東京→金沢→鯖江のルートは540.9kmで600kmないので往復割引が適用されないので、片道8,910円となる。同じように東京→米原→敦賀→鯖江のルートも532.1kmで600kmないため、片道8,580円である。
ここで、面白い現象が起きるのは、東京→京都→敦賀→鯖江というルート(つまりわざわざ600kmを超えるルートを使うと648.0kmになり、往復割引が適用され、片道新幹線を含めた特急料金が780円高くなるのだが、乗車券の方は980円安くなるので、結果的には乗車券は8,810円になる。さきほどのようにぐるっと回った方がそれでも安いので、料金の観点からだけだと、これを実際に使う技ではないのだが、移動時間の点も考慮すると、こういうことも頭に入れておいた方がよいかもしれない。(米原経由だと乗車できる列車が「ひかり」になり、停車駅も増える一方本数が少ない。京都経由だと「のぞみ」なので、遠回りだが、この方が東京に到着するのは早いことも少なくない)


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