中身のない日記ですらない日記 参
題名通り、怠惰の塊である。形骸化された日々に生き、どうにかすることもない。自分の事も、他人について考える事も飽きた。たまに好きな歌を歌って、自分の歌の下手さに絶望して、木造の弦楽器を放棄して直ぐにアンプに逃げる俺のくだらなさにも飽きた。このように、今現在の俺の人生の日常に躍動感は全く無いので日々思った事を少し書き記そうと思う、ここにきて堂々のタイトル回収である。
昔から、色々なものから逃走してきたので逃げることにも飽きた俺は色々な逃げなどをした。小学校の頃は塾をサボって友達の家で一日中スマブラをしたり、それがバレて父親に殴られて家を追い出されて家の近くの土手で寝返りしながら1人泣いたりした。中学はカス。高校に入って学校に行くのがめんどくさくなったらネカフェに入り浸ったりした。最終的に色々やった結果お金を使うのもめんどくさくなった俺は自転車を無限に走らせていた。どこか遠くに行って消え去りたいと思う未成年特有の得体の知れない焦燥感に襲われながら。これだけ聞くと可愛いJKが含みを持たせた笑いを車窓の外に向けながら電車に揺られて田舎に向かう哀愁的な状況を想像するかもしれないが、実際はブスが汗だくで自転車を走らせているだけである。何も知らぬ人が見れば、電車が運行停止しているが課題の締切が其の日であるため全力でチャリを漕ぐ苦学生に見えただろう。
先週ぐらいのよく晴れた日曜、特に何もない日だったので朝からチャリを走らせ、多摩川を上っていた。そのルートは高校の頃もよく逃げる時に使っていた道で、妙な懐かしさと変わらない自分の姿に辟易しながらただただ盲目に西へと進んだ。都会の見慣れた空間と喧騒に塗れた土地では得られないような感覚に襲われれ、ふと意識を周りに向けると、見知らぬ駅の周りに新興住宅地が広がっていた。昔転校した女の子の家をはるばる訪ねた時のことを思い出し、この家々にもあのような温かい家庭があるのかと空想に入り浸ったりした。中学校の近くの通学路を見ながら、自分が体験することの無いようなベタな学生恋愛がここで起きるのかなと妄想を繰り広げた。何も知らない土地というのは良い。自分の知らない場所でさえ、世界は生成されているのだという当たり前の事を再確認させてくれるし、それはゲーム内で未開放のマップを埋めるような新鮮味がある。それでいて、自分にとって未開拓な場所であるからこそ、その土地のドラマを独自に再生することも出来る。そういった量子力学的な妄想は、世界の数だけストーリーは存在することを俺に許してくれる。そんなことを思いながら、食事処から出て自転車の後輪を触ると、空気が完全に抜けていました。神は生きていないので、文字通りパンクに生きようと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?