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【翻訳】音楽評論家キム・ヨンデ氏が語るATEEZ(EBS PENTAGONの夜のラジオ−キム家のK-POP! 2022.7.1OA)

韓国EBSのラジオ番組〈PENTAGONの夜のラジオ〉にて、Mnet〈KINGDOM : LEGENDARY WAR〉の審査員も務めた音楽評論家キム・ヨンデ氏がK-POPを語るコーナー〈キム家のK-POP!〉。2022年7月1日放送のテーマはATEEZでした。いわく、音楽番組で初めてATEEZが集中的に取り上げられた記念すべき回を翻訳しました。タイトル曲を除いた収録曲のみの中からキム・ヨンデ氏の選ぶTOP10は?

〈キム家のK-POP!〉は43:00〜

MC=PENTAGONシンウォン氏 キム=キム・ヨンデ氏 文中の太字は訳者
※内容に関連の薄い雑談等は省略しています

イントロ 

MC いらっしゃい!こちらは夜だけオープンするK-POP名店、〈キム家のK-POP!〉です。今日ご一緒される方はどなたでしょうか?
キム チョコミルクよりいちごミルクが好きな男、評論家キム・ヨンデです(笑)〈キム家のK-POP〉にようこそ!
MC 皆さん、K-POPとは何だと思いますか?J-POPは何でしょう?この方に聞けばOK!〈キム家のK-POP〉のギャグマン、キム・ヨンデ評論家ようこそ!
キム こんにちは、キム・ヨンデです。お会いできて嬉しいです。
[省略]

ATEEZの紹介

MC それでは〈キム家のK-POP!〉本格的に始めてみましょうか。今週お話するアーティストはとなたですか?
キム K-POPの海賊団、ATEEZ!
MC OK!私は個人的に期待してるんですよ。かなり特色があるし、タイトル曲中心に聴いてきたグループなので。
キム そうですね。多くの方はタイトル曲中心にご存知で、さらに私の記憶では、ATEEZを集中的に紹介した音楽番組はこれまで見たことがありません。ですのでこの〈夜のラジオ〉が事実上初の機会になるのではないかと。私もとても緊張しています。
MC 私の中で一番インパクトに残っているのはパフォーマンスですね。
キム パフォーマンスアイドルと呼ばれますね、ATEEZは。
MC 初めて見た時から、「パフォーマンスに本気だなあ」と感じたグループです。
キム 実際「パフォーマンスが優れている」という言葉はどんなグループにも使いますが、いわゆる「パフォーマンスグループ」と呼ばれるグループは多くはなく、中でもATEEZが代表的なチームではないかと。デビューしてからそれほど長くはないですが。
MC それではATEEZの基本情報から見ていきたいと思います。まず、いつデビューしたグループですか?
キム 3周年になりました。2018年デビューです。2019、2020年に本格的に楽曲が出始め、ファンダムはATINY。ATEEZとDESTINYの合成語ですね。メンバーひとりずつ名前を呼んでいきましょう。
ソンファさん、ビジュアルが大変素晴らしいですね。また私と同じく苺ミルクが好きだそうで。
MC おお〜、苺ミルクがお好きと。
キム TMIすみません(笑)ホンジュンさん、音楽的な中心メンバーといえます。ラップ、実は歌もうまいし、作詞作曲にも才能がおありです。
ユンホさん、グループ全体のエネルギー感、明るさに大きく貢献している方で、ダンスも素晴らしいです。
ヨサンさん、彫刻のようなビジュアルで、ビジュアルだけでも十分仕事しているといえるようなメンバーですが音楽的な才能もあります。
サンさんは…ATEEZは海外のファンダムがものすごいです。TOP5には余裕で入るほどのファンダムを有していますが、その人気に大きく貢献しているのがサンさんです。
MC パフォーマンスが半端ではないですね。
キム ミンギさんは先程触れたホンジュンさんと一緒にラップパートを担当していて、音楽も一緒に作っているメンバーです。
MC Fix on!
キム 自分だけのシグネチャーがあるんですよね、Fix on!という。ウヨンさんは繊細で美しいトーンの声を持っているので、実はキーリングポイントが多いんですよ。それを聞くのも良い。
ジョンホさんはやはり、ボーカルグループとしてのATEEZの核となるメンバー。最も強烈で強固でパワフルな…
MC あっ!わかります。インパクトでバシッと魅せますよね。

ATEEZの世界観

MC そしてATEEZの世界観が、私も詳しくは知りませんが独特だと聞いています。海賊コンセプトと。
キム 私の解釈するところでは、海賊というモチーフを借用することで、海賊がひとつの世界を旅しながら経験する様々な困難や葛藤に青春の成長をなぞらえているんですね。そのようなコンセプトを持っていますし、世界観を深掘りすると、ディストピアとなるであろう未来に向かって航海に出る海賊の旅程ということで未来と現在が戦うといった内容もあります。
MC 「ターミネーター」みたいに…
キム 少しSF的な要素も入っていますが、個人的には…よくわかりません(笑)どんなグループもそうですが、世界観は読んでいるとよくわからなくなるんですよ。
MC 複雑なことが多いですよね。
キム 音楽を聴くので忙しいので…その程度は雰囲気として知っておくと、彼らの音楽を楽しむ上で役に立つのではないかと思います。
MC さて、それでは1曲挟んでから第2部に進み、キム・ヨンデさんが選んだATEEZ代表曲を見てみましょう。その間にリスナーの皆様はSMSとコメントで自分の考えるATEEZの魅力について自由にお送りください。それではATEEZの〈UTOPIA〉です。

♪〈UTOPIA〉

ATEEZの魅力

MC 〈PENTAGONの夜のラジオ〉第2部が始まりました。キム・ヨンデ評論家と〈キム家のK-POP!〉をご一緒しています。さて、リスナーの皆様に自分の考えるATEEZの魅力について送っていただきましたが、ひとつずつ見ていきましょう。"プドトンプン"様より「過没入ティーズという言葉があるぐらいステージへの没入度が高く、見る人も没入させる魅力があります」
キム その通り。
MC "イダヨン"様より「ATEEZの魅力は曲です。特に〈WAVE〉が出た時に爽やかで気持ちよく聴いていましたが、今でもよく聴く曲です」いいですね。"波"様より「ATEEZの魅力はメンバー全員が世界観に本気で、ステージで各自の役割に合わせ表現して見せてくれるところです。だからATEEZのステージを見るたびに本当に喜びを感じます。」
キム 喜びを感じますねえ。
MC "習慣"様より「ATEEZの魅力は海賊コンセプトのステージで童心を刺激するところだと思います。胸騒ぎを感じます」ONE PIECEも思い出しますよね。
キム そうですね、私もそれを考えていました。少し前の話ですが、〈KINGDOM〉という番組ありましたよね。今だから話せるんですが、私がその時審査員だったんですよ。
MC ほーう!
キム 実は毎週公演が終わるたびに明け方まで全ステージを見て、毎回採点してコメント書いて…とやっていたのを思い出します。今だからお話するんですけど、ATEEZのステージを見るたびに「本当にうまいな」と。それ以前もATEEZのステージは見たことがあり知ってはいたのですが、「ここまでうまくやるとは」と感嘆しながら見たステージがあの〈KINGDOM : REGENDARY WAR〉のステージでしたね。結果から離れて、その過程自体が…例えば〈RHYTHM TA〉のようなステージは伝説に残っていますし、〈Symphony No. 9〉も。そういったステージを見ながら「このチーム本当にうまくやるなあ」と。どこに出しても遜色のないパフォーマンスのスキル、そしてコンセプチュアルな部分が、最初は「海賊…?」と思いましたが、見れば見るほどおっしゃる通り自分が巻き込まれるような気がするんですね。その世界に自分が巻き込まれて、旗を振るといった彼らのひとつひとつの動きに自分が説得されるような。
MC 溶け込むような。
キム そのような魅力のあるチームだなと思いますね。
MC 審査員をされたんですね。
キム そうです。
MC かっこいいなあ。
キム よく見られないとね。いつまた審査をするかわかりませんよ?(笑)
MC 大変かっこいいです(笑)

キム・ヨンデ氏の選ぶATEEZ TOP10

MC はい、それでは本格的にキム・ヨンデ評論家が選んだATEEZの楽曲をひとつずつ見てみましょう。今日もTOP9ですか?
キム TOP10です!先程お聴きになりました〈UTOPIA〉、中には驚かれた方もいるかもしれません。個人的に〈UTOPIA〉は1位に選んでもいいぐらい。先程触れたATEEZの青春の勝利、闘い、そういった苦難のストーリーが非常に凝縮された曲で、収録曲の中でも大変よく知られた、ファンの間で評判の高い曲だと聞いています。それで私もかなり悩んで、この曲を初めにガツンと流してからスタートしたかったんですよ。
MC ああ、むしろ。
キム はい。もし自分がATEEZのベストアルバムのために10曲選ぶなら、1番目のトラックを何から始めようかと。
MC 強力じゃないと。
キム だから形式上はTOP10の10位ではあるけれども、実際は一番重要な曲のうちひとつということで〈UTOPIA〉を最初に持ってきました。残りのTOP9はすべて収録曲で用意してきました。
MC 果たしてどんな…今回もある程度予想はできますが(笑)
キム 予め申し上げれば"ヨンデK-POP"も少しありますし、一方ATEEZの音楽なだけに"ヨンデK-POP"とは違うATEEZだけの魅力のある曲も。でも驚くべきは、我々がタイトル曲からは感じられなかったATEEZの非常に幅広い魅力に出会うことができますよ。
MC OK、楽しみですね。では早速1曲目を聴いてみましょう。お願いします。

TO THE BEAT

キム スタートから普段の"ヨンデK-POP"とは違うでしょう?
MC 気になりますね。
キム この囁きながらラップをする部分で、この曲の第一の魅力が完全に表れていますね。この曲は全体的に様々なトーンのラップが交差して、時にはミニマルに、時にはとてもタイトについてくるのがATEEZ特有。スタイルを見るとオールドスクールなサウンドとニュースクールなサウンドがうまくマッチしていて、次が予想できそうだなと思ってもいざ出てきたら、ほら。 「踊れ」というメッセージを強烈に宣言するような。収録曲には良いヒップホップ曲が多いですが、中でも私が好んで聴いている曲が〈TO THE BEAT〉です。
MC 1番トラックの印象ですね。アルバムの幕を開ける感覚。
キム 宣言するようなね。
MC トラック自体はとてもミニマルですね。
キム この曲ひとつ取っても良いサンプルになりそうです。グループが持つ強烈なエネルギー、ラップ能力を大変シンプルに見せられるトラックですね。
MC 完全にヒップホップヒップホップしていますね。
キム はい、これは本当にヒップホップヒップホップです。
MC "ソルガ"様より「カーッ、これだ!」、"サニヤ遊ぼう"様より「これは本当にライブ会場で聴くと冗談じゃなく狂っちゃいます」、"オエン"様より「おのずとリズムにノってしまう曲ですね」といただきました。以上〈TO THE BEAT〉でした。次の曲に行きましょう。

The Letter

キム 私がこの曲を選ぶと予想しなかった方がほとんどだと思います。我々の知るATEEZのスタイルではなく、曲のタイトルからわかる通り〈The Letter〉、まさに手紙ですが、ファンへの率直な感謝の気持ちを込めた曲だそうです。
MC ファンソングなんですね。
キム またホンジュンさん、ミンギさんが作詞に参加し、正直な気持ちがよく込められていると思います。私たちはATEEZについてパフォーマンスグループ、華麗な海賊といった誇張された過剰なイメージをしばしば持っていますよね。特にタイトル曲がそうですが。でもこの曲を聴いてみると、意外と繊細なところがあるなと。実はこれも説得力があるのが、メンバーたちが意外と皆さん性格が繊細だそうで。涙も多いし。
MC ギャップの魅力ですね。
キム 繊細なメンバーが多いので、こういう曲もかわいいでしょ?愛らしいし。とてもシンプルなメッセージなのに、The Letter、手紙という単語やメッセージがファンが聴くと一層意味があるし、ファンではない私のような人間が聴いても真心がよく伝わってくる。いっとき流行したバイブでしょう?とても柔らかくてサラサラとした。
MC 去年の12月に発売されましたね。
キム はい、リパッケージ1集の収録曲です。
MC "スミ"様より「うそ、〈The Letter〉私の最推し曲!」、"俺らの船は片道だけ行く"様より「これファンソングです!」、"チョン"様より「わ〜、本当に穏やかな曲」、"インコムニャン"様より「おお、この曲は意外」、"ハー"様より「この曲は冬に聴くととてもほっこりします」
キム 〈PENTAGONの夜のラジオ〉のスポならぬスポをしようと思って、数日前にこの曲の歌詞をTwitterにUPしておきました。私の好きなパートの歌詞を載せたところ、誰も気づかなかったんですよ。
MC 隠しすぎたんじゃないですか?
キム 「時間が流れて僕ら互いに段々当たり前になる時が来ても、君は僕のすべてでありすべての理由であることを約束するよ」という歌詞が好きなんです。これを載せたらたくさんの方が「素敵!」と反応してくれるかと思ってUPしたんですけど、全然反応がありませんでした。
MC 感性が充満しておられると思ったんでしょうね(笑)
キム ATINY、失望しました(笑)
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MC はい、ここまで〈The Letter〉でした。次の曲に行ってみましょう。

All About You

キム 段々上がってきてますね?"ヨンデK-POP"の機運が。
MC ついに1曲出ましたね。これはどんな曲ですか?
キム 〈All About You〉。これも〈The Letter〉と通じるところがあって、ATEEZだけが持つ繊細な感性…ATEEZは実はバラード曲も多いのですが、中でも私が好きな洗練されかつ精製された表現、そして特にボーカリストたちの表現力がとても気に入った曲のひとつです。また後半でミンギさんとホンジュンさんがアドリブを投げ合う部分が個人的にキーリングポイントだと思っていて、色々な面で私の好きなスタイルの曲です。
MC 完全に"ヨンデK-POP"ですね(笑)
キム とてもよくご存知で(笑)シンプルでありながら空間感があり、ミニマルで。ATEEZにもこんな曲があるということをたくさんの方に知っていただきたいです。ATEEZは毎回グァーン!グァーン!という曲ばかりではなく、この〈All About You〉のように大変繊細でありながら洗練された曲があると。このグルーヴすごく洗練されていますよね。
MC この曲も2021年に発売された曲ですね。
キム そうです。
MC ちょうどこのジャンルにハマっていらっしゃたみたいですね。
キム ATEEZの曲はもうひとりの天才作曲家EDENさんが多くの曲を作曲され、ホンジュンさん、ミンギさんたちが参加されるんですが、音楽的な多様さが言葉に尽くせません。ATEEZの音盤を聴いてみると、タイトル曲のせいで偏見があるだけで、その中に非常に幅広いジャンルが説得力を持って、何を聴いても「おっ、完成度が高いな」と思わせる音楽がたくさん入っているんですね。中でもこの曲を紹介したいと思います。
MC "スミ"様より「うそ、私と趣味が同じじゃないですか」と。
キム "ヨンデK-POP"スタイルですね(笑)
MC この方もたくさん聴かないとですね。"サンミンキーサランヘ"様より「この曲本当に好き」、"ダダ"様より「私もこの曲大好きで、特にホンジュンのラップ詞がかわいいです」、"ホアム"様より「この曲を聴くと海の中を遊泳しているような感覚になります」ここがアドリブを投げ合っている部分ですか?
キム そうです。
MC さて、このあたりで1曲最後まで聴いてみようと思いますが、何を聴きましょうか?
キム 今紹介した〈All About You〉。
MC おお、最後まで聴かないといけませんね、アドリブの応酬を(笑)それではこの曲を聴いてから戻ります。

♪〈All About You〉

MC はい、ATEEZの〈All About You〉を聴きました。
キム どうですか、最後のアドリブ。
MC "リア"様より「この曲好みにぴったり!」、"トンファホンニャンニャン"様より「この流れなら次は〈FEVER〉も期待しています!」
キム 予測不可能な男です。
MC これはない時のリアクションですね(笑)
キム あるかもしれませんしないかもしれませんよ(笑)
MC さて、ATEEZのお話を続けましょう。次はどんな曲なのか楽しみです!
キム 本当に予測しなかったものかもしれませんよ。
MC 早速行ってみましょう。お願いします。

Good Lil Boy

MC さて、これはどんな曲ですか?
キム ミニ5集〈ZERO : FEVER Pt. 1〉の収録曲で、〈Good Lil Boy〉という曲です。
MC リルボイ?
キム Good Little Boy、お利口な坊やといった意味です。最初「Good Lil Boyって何だ?」と思って歌詞を見ながら解釈してみたら、大人たちが「お利口さんになって言うことよく聞きなさい」と言うのに反抗する内容ですね。大人たちが作っておいた道に順応するよりも、自ら主導的に自分の人生を開拓するという、我らが海賊王らしい意気込みが垣間見える曲ではないかと思います。この曲で個人的に魅力ポイントだと思うのは構成です。今はウエスタンのカントリー風ですよね。ここからドラムベースに。最初はポップスタイル、ちょっとウエスタンスタイルに行って、またドラムベースという、予測不可能な構成です。
MC 僕はちょっとAviciiのようなサウンドが出てくるかと思いました。そっち方面に行くかと思ったら…
キム 違うでしょう?
MC いきなり予想してないジャンルが出てきますね。
キム ATEEZはそういう音楽が…また変わりましたよね?でも移行が意外とスムーズなんですよ。とぎれとぎれな印象がなく、いきなり驚かせてあげるよ!というような。ATEEZの曲を聴くと、アヴァンギャルドだったり、実験的すぎて難しいといった感じはまったくないんですね。どんなジャンルでも、リスナーが納得可能な範囲内に正確にマッチしていてうまくアプローチしてくるので入り込みやすいし、私も今回のプレイリストを作ってよく流していたんですが気づいたらハマって聴いていたんですよね。そういう気分を感じさせる、私が大変好きな曲です。
MC こうやって考えてみるととても特徴的な曲ですね。
キム 同時に自然であるという。
MC "シルバー"様より「わあ、胸が高鳴る」、"プリン"様より「新年に聴くのにぴったりの曲」、"波"様より「運動中に〈Good Lil Boy〉を聴くと気づいたら走り出している」
キム もう1セットやりそうですね。
MC "ソルガ"様より「さっきの曲とこの曲はホンジュンの作曲なんですけど、評論家さんの趣味とても良いです」
キム 知っていて選んだ訳でありませんが、ホンジュンさんの音楽的才能は秀でていますね。
MC さて、〈Good Lil Boy〉でした。次の曲お願いします。

Feeling Like I Do

キム ちょっと聴いただけでも爽やかそうな。これで爽やかじゃなかったら反則だよ。爽やかであれ…!ミニ7集〈ZERO : FEVER Pt. 3〉の収録曲で、〈Feeling Like I Do〉という曲です。
MC FEVERシリーズがあるんですね。Pt. 1、Pt. 2、Pt. 3がありますね。
キム そうです。この曲はお聴きになればわかる通りこの季節にとてもぴったりの曲ですよね。爽やかで涼しげで、トロピカルポップというジャンルと言うこともできますが、先程触れたようにどんなジャンルでも、明るくてもダークでも、繊細でも真摯でも、メンバーたちがそれを隙間なく埋めてくれます。この曲を聴くと僕は…これは作曲した方に聞いてみないとわかりませんけれど、なんとなく女性アイドルのダンス曲の印象を受けるんですが、それはやや意図したのかもしれません。女性アイドルの曲に多い繊細さを海賊王たちに合わせてみたらどうだろうと考えたのではないか。
MC 確かに展開の感じが…
キム 説明は難しいですが、そういう繊細さがありますよね。
MC 言われてみると確かにわかる気がします。
キム 作曲家も女性グループのために作った曲を男性グループに提供する場合もあるし、この場合どうかは正確にはわかりませんが、音楽だけ聴くと女性グループ特有の爽やかさに海賊王ATEEZのイメージを着せることで、とても独特な印象を与えていると思います。トロピカルポップはよくあるジャンルではありますが、私は聴いていてとても特色あるなと思いました。
MC そう考えると確かに!
キム 洗脳されたでしょう(笑)
MC 合ってそうな気もします(笑)そういうビハインドがありそう。
キム 聞いてみないと。
MC 一回聞いてみてください。私もとても気になります。さて、"ピョンピョン"様より「評論家さん明るくて愛らしい曲がお好きみたいですね」
キム 必ずしもそうではないです。
MC とりあえず空間感がないといけなくて、シンセサウンドまであれば必ず選ばれますね(笑)
キム 聞いた人は空間感って一体何だよってなりそうですね(笑)
MC 何と言ったらいいんだろう、響くというか… 広い世界が開かれそうな視覚的感覚というか。
キム その通り。
MC "マンネハリボー"様より「まさか…私もこの曲本当に大好き」、"ジェイ"様より「優しい味のATEEZ曲」、"ムニャン"様より「次にどの曲を選ぶか想像つきません。予想した曲が全然出てこない」
キム そうでしょう?今日はおそらく過去最大級に予想外のプレイリストになるんじゃないかと思っています。
MC 私もこんな曲が入ってそうだなと思っていた曲がないですね。
キム ありません。
MC さて、以上〈Feeling Like I Do〉でした。次の曲に行きましょう。

Take Me Home

キム キム・ユンハさん[訳注:当コーナーを担当する別の音楽評論家]みたいな(笑)
MC すぐ出ちゃいましたよ… さあ、この曲は何ですか?
キム 〈Take Me Home〉という曲です。本当に名曲だと思います。
MC タイトルもキム・ユンハさんみたいですね。
キム でしょう(笑)リズムは少し柔らかいファンクなリズムを敷いていて、そこにディスコ基盤のレトロサウンドをうまくミックスした曲ですが、この曲は本当に文句のつけようがありません。最初から最後まで、流れ、展開、ボーカル、各要素の音源の組み合わせなどが完璧で。個人的にはこの曲は3文字で特色を表したいと思います。サク・ソ・フォン。こういう系統の、特にアイドルの曲でサクソフォンソロのある曲を聴いたことがありますか?
MC いいえ!
キム 初めてでしょう?曲の後半に行くとサクソフォンが大暴れするんですよ。初めて聴いた時に爆笑しましたよ、爆笑。「サクソフォンだと?!」いい意味で。良すぎた、本当に。これもまた実験性だなあと。「この場面でサクソフォンを入れるだと?」
MC ここまではウィークエンドっぽい曲ですよね。
キム この後でサクソフォンが強烈ですよ。
MC 気になりますね。待ちたいです。
キム これ後で流しますから。
MC OK、わかりました!よかった(笑)"チャンソン"様より「〈Take Me Home〉出てこないと寂しいですよ」、"チェファスン"様より「〈Take Me Home〉は我慢できないね」、"イダヨン"様より「90年代風だけど洗練されてる」、"蜜蜂"様より「これはステージ必見です、本当に最高」
キム 最高。
MC "キムティ"様より「ウリティーズ、シティポップも上手でしょう?」
キム そうですね、若干シティポップ風で。今まで聴いただけでも楽曲がとても幅広いですよね。
MC 重なっているものがありません。
キム そして異質という印象もまったくないし。だから我々がタイトル曲だけでこのグループを評価するのがどれだけ危険か。
MC 個人的には、この曲はステージもあるそうですけど、サクソフォンのソロパートでどんなパフォーマンスをするのかすごく気になります。それでは聴きますよね?
キム 聴きます。
MC それではATEEZの〈Take Me Home〉を聴いてから戻ってきます。

♪〈Take Me Home〉

MC はい、ATEEZの〈Take Me Home〉でした。
キム びっくりしたでしょう(笑)
MC ポップソングなんですけど、後ろが…(笑)
キム これはサクソフォンソロが出てくるのが重要なんじゃなくて、それでパッと終わっちゃうんですよ。
MC 「最後はこれで終わろう」と決めてから作った感がありますね。
キム 私の中の「びっくり編曲」ランキングに入りますね。まさか、アイドルの曲に最後をサクソフォンソロで飾る曲があるとは思いも寄りませんでした。
MC 僕は作曲しながらもこの楽器を思いついたことがないです、実際。
キム だから私は天才になれないんだ(笑)
MC ああ…悔しいです(笑)
キム にしてもすごくいいですね、〈Take Me Home〉。名曲だ名曲。
MC 最後強烈ですね。
キム これ運転しながら聴きます。
MC 街路灯の光と自分だけがいるかのような。街路灯がネオンサインのように一筋になって… さて、"永遠にティーズ"様より「夜運転しながら聴くとすごく良い曲です」、"シルバー様"より「本当に〈Take Me Home〉のラストはヤバいです」といただきました。さあ、もう残り3曲となりました。
キム 3曲しか残ってない、どうしよう。
MC TOP3行ってみましょう。お願いします。

HALA HALA

キム なぜこの曲が出ない?と怪しんだ方、もう大丈夫です。〈HALA HALA〉。
MC ハラハラ。
キム これ略語なんですよ。Hearts Awakend, Live Alive。これもストーリーがあって、夢について自身が覚醒する話なんです。この曲をもってアルバムのストーリーが始まるので、ファンがこれを聴くと壮大なストーリーが始まる感覚を得ることができます。今のDeep in my heartの部分がキーリングポイントですね。
MC 私は略語なのを知らなくて、ハラハラと言うからスペイン語かなと思ったんですが、こんなアイデアが。
キム 音楽すごくいいでしょう?聴いていると、ジャンルは全然違うけれども、昔のヘヴィメタル全盛期の訴求力の高い音楽を聴いている感じがします。ここの反転するところ[Surprise〜]、音楽をやる人は冗談で「ダース・ベイダー風」と呼んだりしますが、ピッチを調整するところあるでしょう?そういう反転したサビ、そしてこの部分[Raise me up〜]、まったく予想つかないですよね。曲が自分の予想と同じ方向には決して行かないです。そういったすべてのことがこの曲を名曲の地位に押し上げているのではないかと思います。最初から最後まで、ここ[ミンギラップ]のシンコペーションと圧迫が入るのも、リズム感もヤバいですね。こういったものと全体的な構成、何よりもメンバーたちの訴求力、ボーカル…
MC すごく独特。
キム これらのすべてが、この曲を聴くと「これは名曲だ」という反応しか出てこないようにしていると思います。
MC 2節のAメロに入る時も、鍵盤とドラムの構成がなんだか初めて聴くような構成でした。この組み合わせが…
キム そういう組み合わせのディテールがある曲で、後半のサビは自分が思いもしなかったやり方で終わるのがすごく良い。
MC 聴いたら踊らないといけなさそうなダンスブレイクが出てきますね。
キム 核心をついたジョンホさんのボーカルなど、この曲を聴いたらその後数日はずっと歌ってしまうほど訴求力のある曲です。
MC "チェファスン"様より「〈HALA HALA〉は麻辣味ティーズの始まり」といだだきました。
キム 本当に。
MC "ジンジングリ"様より「キム・ヨンデ評論家ATINYですね」
キム コメントしません。
MC 今回は絶対に正体を話さないと(笑)
キム 絶対に話しません(笑)
MC "イガワン"様より「〈HALA HALA〉本当にすごく良いです。私はリミックスバージョンも大好きです」、"暴ジュン愛してるよ"様より「〈HALA HALA〉が収録曲だなんて。ほとんどタイトル曲」、"ミンギ"様より「〈HALA HALA〉がなぜ出てこないと思ってました。〈UTOPIA〉と〈HALA HALA〉が最推し」
キム 一見タイトル曲みたいです。サウンドもだし、実際この曲はパフォーマンスビデオがあって、パフォーマンスビデオからなるオフィシャルMVがまたあるんですよ。だから待遇だけ見るとタイトル曲待遇なんです。私も最初はこれが収録曲なのかタイトル曲なのかかなり迷いましたが、とりあえず僕の基準では収録曲です。だから収録曲ベストに入れましたが、曲の地位でいえばタイトル曲以上の曲といえます。
MC そういう位置にある曲なんですね。
[省略]
MC さて、それでは次の曲に行きましょう。

Mist

キム ああ、こうこなくては。スタートから拍手をしたくなるような。
MC タイトルは何ですか?
キム 〈Mist〉。既に霧が出てるでしょう?正規1集の収録曲です。
MC ああ、これメンバーのボーカルなんですね。おお〜
キム はい。〈Mist〉という曲で、何から説明しよう、こういうR&Bの曲はアイドルの曲に多いですが、私はまさにこういう感じの、かなりオールドスクールなR&Bの中でもまさにこのバイブを持つ曲は初めてな気がします。非常に独特な曲で、ジョンホさんのとても強烈で強固なボーカル、ウヨンさんのもう少し繊細な感じのボーカルがうまくマッチしていて、それからここ[Please〜]、ものすごくうまい。これを聴くとジョンホさんのボーカルとウヨンさんのボーカルの音色を比較する面白さもありますし、ホンジュンさんのシンギングラップスタイルも。
MC 私はこの曲が今まで聴いた中で一番好みですね。まさに私のスタイル。
キム お目が高いですね。
MC ホーリーでありながら、ポイントがしっかりある。そこがすごく良い。
キム この曲は鑑賞モードといった感じ。誰がATEEZをパフォーマンスグループと言いましたか?ボーカルグループじゃないか
MC わあ、これライブしたらクラクラするだろうな。本当にこの曲最高ですね。
キム 満足です。
MC 完全に私のスタイルです。こういうドラマチックな構成が大好きなんですよ。さて、"ミスッカル"様より「〈Mist〉はいかなくちゃ!」、"カンファ"様より「〈Mist〉はウヨンの音色がすごく際立ってる」と。
キム お目の高い方ですね。
MC "レモン"様より「これは卵の黄身10個食べても歌えないよ」、"リア"様より「もはやATINY!」
キム 私がですか?ノーコメントです。
MC やはり今日も。"キムティ"様より「最後まで予想できない選曲で全部名曲だから納得しかしません」
キム これが私の世界観ともいえます。海賊の航海を、私なりの"ヨンデK-POP"という新たな尺度で。
MC しかし決して1カ所には留まりません(笑)正体を隠してK-POPを航海するんですね。
キム K-POPという広大な世界を航海しながら、私が発見した美しい島のひとつひとつを皆様に紹介しています。
MC 果たしてONE PIECEはどこに隠されているのか。
[省略]
MC 個人的に1節の導入部が…「メンバーのボーカルですか?」と尋ねたじゃないですか。女性ボーカルをサンプリングしたのかと思ったんです。まだ始まってないんだなと思ったら。
キム 意外とATEEZは繊細なボーカルが多いんです。代表的には先程ウヨンさんの話をたくさんしましたが、ウヨンさんが特にファルセットなどを繊細に処理する部分が多いですね。だから今日のこの時間を通じて、ATEEZのボーカルグループとしての名分を再発見できるのではないかと。
MC すごかったですね、〈Mist〉。
キム この曲の後に来る1位は何か。
MC 果たして、先程リスナーから出た〈FEVER〉なのか…違うようですね、眼差しが(笑)さあ、最後の曲はどんな曲なのか、お願いします。

Dazzling Light

MC ラストトラックの雰囲気が溢れ出てますね。
キム 私が直接プロデュースしたATEEZベストアルバム、〈UTOPIA〉から始まってラスト〈Dazzling Light〉まで。これは個人的解釈ですが、まだ航海は続いていて、我々は人生でどこかの地点に至りますよね。しかし若さというのは常に、自分が踏みしめているこの土が、果たして終着地なのか、それともまた別の場所があるのかという不安な気持ち、未知の気持ちを持つものですが、この曲を聴くと私はそれを感じます。常にあの先にある光を追っていく、そういう感覚。音楽は我々にとって馴染みのあるヒューチャーR&Bサウンドですが、私はこの曲を聴くと、ATEEZの音楽で自分が好きな部分を見つけるんですよ。初めにもお話しましたが、ATEEZは何か異常なことをやって皆を驚かせるグループではないし、「これは初めてだろう?」と世界に不意打ちを食らわせるグループでもまったくないんですね。ジャンルでも何でも、我々が納得できる範囲内のものをやりつつも、それを最上のレベルでやるグループだと私は考えます。それがバラードであれ、フューチャーであれ、R&Bであれ自然で、聴いているとATEEZの音楽なんだけど、良いんですよ。私は評論家なので難しい言葉を使わないといけないんですが、たまにそういうリアクションが出てきます。「ATEEZの曲なんだけど、こんなのもあったんだ。あれ、良いな」先程も「昔のスタイルのR&Bをやってるな、良いな」でもそれが何かは説明できないんですね。その音楽が持っている正確なもの…ラーメンを作る時に、スープと水の量をぴったり合わせると説明できない完璧な味になるでしょう?そういうものな気がします。
MC 彼らだけの正攻法があると。
キム あります。愚直で、常に音楽に希望を込めていて、勝つぞという。音楽を聴くと浮かぶような感覚があります。難しい言葉では高揚感と言いますよね。音楽を聴くと自信がなかったり沈んでいた心が一緒に浮かぶ感覚があって、まるで彼らが私のためにチアリーディングをしてくれるかのようです。
MC 思っていたよりも強い素材がなかったです。
キム 意外とないでしょう?でも私はそれがATEEZの魅力かもしれないと思っています。タイトル曲はコンセプチュアルなものにたくさん出会えますが、これらの曲を聴いてみると、純粋に音楽に惹き込まれますよね。
MC それは本当にすごいと思います。"プドトンプ"様より「想像もできなかった正体!」、"永遠にティーズ"様より「隠れた名曲です。ファンがとても大切にしている曲」といただきました。さあ、ここまでキム・ヨンデ評論家が選んだATEEZの名曲を聴いてきましたが、今週もまた私の先入観が完全に崩れました。想像もしなかった名曲に出会いましたが、では今日も一言まとめ行きましょうか。
[省略]
MC 私の考えるATEEZは「ATEEZは無害な海賊団である」白目を剥いてパフォーマンスするグループだと思っていたんですが、意外と曲やトピックが全然刺激的ではないんですね。ものすごく無害です。そんな印象を受けました。
キム 私の考えるATEEZは、「数多の嵐に遭っても折れない海賊たちの旗である」どんな強風を受けても貫いて前進して勝利する感じが純粋に良いんですよね。
MC さて、リスナーの皆様はどうだったか見てみましょうか。"光る頭"様より「LOONA編を聞いたので今日も聞きにきましたが、ATEEZのボーカルヤバいですね。ヨンデ様のおかけでたくさん名曲を知れました」、"ププ"様より「10曲しか聴けなかったのがとても惜しいです。ティーズの曲を聴くと時間がとても早く流れるようです」それでは〈キム家のK-POP!〉、今日のところはこれで締めくくろうと思います。[省略]では、ATEEZの〈Dazzling Light〉をお聴かせしながら、キム・ヨンデ評論家とご挨拶をしましょう。ありがとうございました。
キム ありがとうございました。

♪〈Dazzling Light〉

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