子どもに病名を伝える?子育て世代のがん闘病
癌。夫の病名を子どもたちには伝えていない。
子どもたちが知ったら、どうだろうか。13歳、11歳、6歳。何を感じ、何を考えるだろうか。上の二人は、ネット検索しまくるかもしれないな。
なぜ、わが家では子どもたちに病名を伝えていないのか。それは、患者である夫が伝えたいとは思っていないから。ただそれだけ。夫婦で議論はしていない。とてもプライベートなことなので、私は患者本人の意向を尊重するのが望ましいと考えている。
夫の場合、飲み薬で治療をする。副作用はほとんどないらしい。自宅で日常生活を送りながら治療が可能である。骨に転移しているので、大事をとって入院したが、通院での治療も可能だと言われている。病名なんて、言わなきゃ分からない。
子どもたちに病名を伝えない夫の真意を私は知らない。夫は、こっそり延命を繰り返し、長生きしたいと思っているようでもある。子どもたちが家族以外に言ってしまうことで生じるなんらかの不都合を懸念しているのかもしれない。入院している病院の名前に”がん”が入っているから、子どもたちには入院先も明かしていない。
わが家とは対照的に、子どもに病気のことを隠していない親子を見かけた。休日に、夫が入院している病院へ洗濯物の交換に行ったときだ。感染症対策のため面会はできない。急患用のせまい入口で守衛に患者の名前を伝えると、看護師がやって来て荷物を交換してくれる。
そこへ、明らかに患者と見えるパジャマ姿の男性がスマホで話しながら現れた。ガラス扉2枚挟んだ外側に小学1年生くらいの男の子とママがいた。男性がスマホで話している相手はその男の子だった。子どもは建物にすら入れない規則だ。
「パパがママに渡した袋の中を見て。」「そう。チチョコレート。パパからのプレゼント。」「えー、食べてみてよ。」と男性。
おそらく、病院内のコンビニで買ったチョコレートを息子にプレゼントしたのだろう。
私は用事が済んだので、外へ出た。私が2枚目の扉を開けると、そこにいた男の子のママが私に「ありがとうございます。」と言った。一瞬、なぜお礼を言われたのか分からなかったが、きっと、2枚の扉に隔てられていた親子の間の扉の1枚が一時だけでもなくなったことにお礼を言われたのだと思う。
子育て真っ最中の闘病。みんな頑張っている。夫は、40歳になる年に生まれた6歳の末っ子がお嫁に行くまでは絶対に頑張る、と自らを奮い立たせている。
ここから先は
まさかを登る胸のうち
副業持ちサラリーマンの夫と、中学生、小学生、保育園児の三人の娘と暮らしています。私は製造業で材料調達を担当する会社員。まさか夫が癌になるな…
サポートいただいたら・・・栗きんとんを食べたいです!