海は静かにだまっているよ
通りすがりの 奥さんに
「きたなっ」といわれ 傷ついた
ぼくの両手にはゴミぶくろ
色鮮やかなごゴミたちが
砂にまみれてつまっているよ
きっと奥さんそれをみて
顔をゆがめて口にした
「きたなっ」と思わず口にした
通りすがりの 奥さんに
傷ついたのは ぼくじゃない
言われた海は 傷ついた
ゴミと魚は同じ量
海の中の真実を
海は黙って見つめているよ
奥さん あなたは向かうでしょう
奥さん これから来るでしょう
「汚っ」と言ったその海に
奥さんあなたは向かっているよ
ちゃんと海を ちゃんと見て
浜のそこらにゴミの山
砂の下にはガラス片
海の中にもプラごみが
ふらふらぷかぷか漂って
海の中にもゴミの山
昨日の夜の痕跡が
花火と酒の痕跡が
ちょっと周りを見渡せば
すぐにわかるよゴミの山
そんな海だよ本当は
奥さんそこに向かっているよ
ぼくはそれがいやだから
海は黙っているけれど
ぼくはそれがいやだから
ゴミを拾っているんだよ
今日でようか目 続けたの
それでもゴミは減らなくて
毎日すこし 悲しいの
通りすがりの奥さんに
浜辺で遊ぶ奥さんに
「きたなっ」と言われ 黙っているよ
黙っているのは ぼくじゃない
しずかに海は黙っているよ
ゴミと魚は同じ量
海の中の真実を
海で起きてる真実を
何かを言い出したいけれど
聞く耳持たない人間に
海はしずかに黙っているよ
黙っていたいわけじゃない
それでも海は黙っているよ
そんな海だよ本当は
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