プレゼン:ボクにしたいことをさせてあげないワタシ@慶應SFC
2019年3月23日に、慶應義塾大学SFCで行われたSFCファイナルプレゼンでの話をしたものを文字起こししました。当日、7分という限られた時間でお話をする必要があり、削った部分が多々あります。こちらでは、そういったものもプラスしているので、より楽しんでいただけるようになっているかと思います。
当日使用したスライドはSlide shareにアップロードしたので、こちらから見ることができます。また、当日の登壇中などの写真はSFCの先輩でありPhotographerのカエルさんに撮影していただきました。素敵にとっていただきありがとうございました。
0:ピンチヒッター
はじめまして。
本日、ピンチヒッターとして登壇させていただくことになりました。
新造真人(しんぞうまこと)と申します。
どうぞ、よろしくお願いします。
ぼくがお話をするのは「"Permit yourself to do what you want to do" ボクにしたいことをさせてあげないワタシ」です。
今日はピンチヒッターなんですけれども、せっかくこの舞台に立たせていただきました。ですので、バッターらしく、3回バットを振らせてください。今日来ていただいた方々の心に、ひとつでも、小さくても、ヒットを残せたらと思っています。
1:わたしは誰か。水色とは何か。
では、一打席目。まず、誰なのか。ぼくが誰なのか。という話から始めさせていただきます。ぼくの名前は新造真人といいます。「新しく造る真実の人」と書きます。大好きな名前です。どんな人物かぼくをご紹介するのにいいのは、この時代だとSNSだと思います。これがぼくのFacebookです。
「どうして水色なんだよ」と思った方、沢山いらっしゃるかと思います。水色について語ることは、ぼくについて語ることです。皆さんに質問です。水色ってどんな色だろう?って考えたことはありますか。
では、水を絵で描くことを想像してみて下さい。透明なコップに入ったたっぷりの水。どんな風に描きますか。色は何色を使いますか。気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、水って色がないんですね。透明。でも、この"水色"を使いますよね。だから、水色って嘘の色なんですね。嘘。でも、嘘の色をつかうことによって、透明で、見えないものがそこにあることをし示すことができる。そして、水って形も変幻自在なんです。入れる容器によって形は変幻自在。状態も湯気になったり、氷になったり。
ぼくはそんな水色に憧れています。これがぼくの名刺です。肩書きはなにも書いていません。お仕事を一緒にする人が、ぼくになにを見出すか、ということに興味があります。時にぼくは現代美術家になり、写真家になり。ヌードモデルや演歌歌手のマネージャーをやっていたこともあります。玄関居酒屋という小さなお店もやったりしていますが、ただゴロゴロしている時がほとんどです。笑
1-2:新しい筆を手に入れるためにSFCに入学
SFCには、18歳以外の新入生や4年で大学を卒業されない方が大変多いんですが、笑、ぼくもまさにその1人です。19歳の時は1年間オーストラリアにいっていました。20歳の時は日本や東南アジアをふらふらしていました。
そんな、ぼくがSFCを知ったのは、20歳の誕生日です。2014年9月7日にぼくは20歳の誕生日を迎えました。その日、ぼくはArt Hack Dayというアーティストとエンジニアが即興でアート作品をつくりあげるイベントに参加していました。その日、その主催者である青木竜太さんがこんなことをおっしゃいました。「プログラミングは現代の筆である」と。ぼくは、その言葉にシビれてしまいました。そして、この日、ぼくは誰かのススメでSFCを知りました。SFCで新しい筆を手に入れよう、そう決心しました。
SFCにはAO入試で入りました。SFCを知ったのが9月で、入試を調べてみると、受験までもう1ヶ月もないようでした。必死に準備をしました。入るためには評価書を2人の方に書いていただく必要があるのですが、1人は先ほどお話しした青木竜太さん。もう1人は尊敬するマジシャンの高田修太さんという方にお願いしました。
これが、ぼくのAO入試の一次試験の自己PR書類です。ずいぶん偉そうなことを書いていますが、偉そうなことを書いたおかげで無事SFCに入学することができました。笑
あ、ちなみに2次試験の面接では今日と同じような格好で行きました。今日も着ているお気に入りのジャケット。しわしわのの白シャツ。スカートは確か履いてなかったですけど、黒いジーンズを履いていました。靴は、この可愛らしい足袋靴です。こんなぼくでもSFCに入れたので、とってもいいところなんだろうなぁと期待を胸に入学しました。なので、4月から今日こちらにいる新入生の皆さんと時間を過ごせることを、心から楽しみにしています。
1-3:水色活動履歴
ちょっとだけ、ぼくが普段作っているものを紹介させてください。ぼくは、もともとは絵を描いていました。これは電車でぼくの自画像を運んでいるところです。一時期「迷惑 慶應生」とwebで調べると、この写真とぼくの名前が一番にでてきてびっくりしました。
そして19歳の時です。オーストラリアに行ってからは、写真をはじめました。11ヶ月で10万枚の写真を撮りました。夢中でした。
なんの写真かわかりますか?
これは日光に行った時の写真です
家から歩いて5分の風景です
青信号を渡って歩かせてみました
徳島の牟岐という漁村で撮影しました
これは、1週間前に、小田原に行った時の写真です。トップバッターで話をした菅田悠介くんが小田原の神社の社務所に住んでいるので遊びに行きました。家から歩いてすぐに海と山があるんです。
最近はこういった彫刻作品を作ったりもしています。福井県の海の綺麗な若狭漁村でアーティストレジデンスといって、1週間ほど滞在しながらつくりました。
今年の一月には、お寺で個展をさせていただきました。お寺に床の間があって、床の間なら掛け軸だろう!と思ってこの作品を作りました。
2:自分自身に対して許可を
では二打席目。
WHY。どうしてぼくがここに立つことになったのか。そのこと自体が、今日のテーマです。
その立役者が彼です。今日、一番最初にプレゼンをしていた菅田悠介くんです。このSFCファイナルプレゼンを知ったのは彼からでした。「まこっちゃん今度こんなのでるよー」って。その話を聞いた時に「おめでとう!」とい気持ちと「ぼくも何か話をしてみたいな」という気持ちがありました。
なので、まだ登壇者を募集しているから調べてみると、すでにもうプレゼンターは全員決まっていました。「ああ、もう決まっちゃてるかぁ。話したかったなぁ」と思いました。
そして昨日、ゆーすけと話をしていました。ゆーすけが「ついに明日だ。まこっちゃんの話も聞きたかったなぁ」と言ってくれました。ぼくもやっぱり話をしたくて。運営の人は知り合いで、つい先週も一緒に長野県の小布施に行ってきた仲です。もしかしたら、飛び込み営業をかければ、明日登壇することができるかもしれない。と思いました。
すると、途端に頭の中からたくさんの声が聞こえてきます。この声は、ゆーすけからファイナルプレゼンの話を聞いた時から、ずっと頭の中で鳴り響いていたものです。先週、一緒にファイナルプレゼンの運営の徳岡くんとしゅーがくくんと小布施に行った時、直接交渉しようか考えました。でも、こんな声が勝手にぼくの頭の中から、ごちゃごちゃ聞こえてくるんです。
「もう明日だぞ?迷惑だろ?もうプレゼンターは決まってるんだ、お前なんかがでしゃばるな。断る方の気持ちも、事情も考えろよ。忙しいんだよ。一体、お前がでしゃばったところで、なんの話ができるんだ。たいした人生経験もないくせ、1人静かにしてろよ。」
びっくりするくらい、否定の言葉ばかりが聞こえてきます。
でも、考えてみたんです。その言葉は、誰が言わせているの?どうして自分に対して、そんなひどいことを言えるの?もしかしたら、OKかもしれないし。ひとまず聞いてみたら?どう?
そう思い立って、えいっととく岡くんにLINEを飛ばしました。前日の夜、21時57分です。
そしたら、AM1時過ぎに電話がかかってきました。3分もしない電話で、ぼくはここで話をすることが決まりました。びっくりしました。このメッセージにあるように、ぼくは代打を申し出ました。なので、今日はピンチヒッターとしてお話をさせていただいています。
そして同時に、ぼくはどうして躊躇していたんだろう。とも思いました。もっと早く連絡していれば、運営の方に迷惑をかけずにすんだのに。もっとプレゼンに時間をかけることができたのに。そんな後悔はもういい。うるさい。黙れ。必死になって、プレゼンを作りました。
ぼくが今ここに立っているのは、こういった背景があるんです。なので、今日のテーマはまさにこのこと。自分自身に対してブレーキをかけていたのはなんだろう。どうして自分に対して、自分は好きなことをさせてあげないのだろう。
この"Permit yourself to do what you want to do"は、6年前のぼくじしんの言葉でもあります。今日は、そこにたどり着くためのお話をしたいと思います。なので、興味を持っていただいた方は、若い頃のぼくの映像もあとで見ていただければと思います。
許可。そして、アクセルとブレーキ。これが今日のキーワードです。
それをご紹介するために、SFCでのぼくの思い出を振り返りつつ、許可についても紹介しようと思います。
また、出てきました。菅田悠介くんです。彼とぼくは大学2年の時に一緒にシェアハウスをしていました。彼のプレゼンでもありましたけど、ある日彼から連絡がありました。
「まこっちゃん、鶏3羽もらったんだけど、家で飼える?」
「いや、無理でしょ(笑)」
みなさんは、家にいきなり鶏を連れてこられて、飼うという選択をすることできますか?ぼくには無理でした。いや、無理ですよね。笑 それを伝えるとゆーすけは、
「じゃあ他の家探すわ〜」
と、鶏を飼うことを諦めませんでした。ぼくはこれがすごく重要だと思うんです。許可というのは、自分自身に対して出すもんなんです。他人からしてもらうもんじゃない。現に、ぼくはゆーすけに許可を出さなかった。しかし、ゆーすけは「鶏を三羽飼う」と決めていたので、他人からの許可を必要としませんでした。
ゆーすけとはこんな遊びもしました。ぼくには「お店を開く」という夢がありました。それは「いつか、お金が溜まったら」という夢でした。しかし、ある日ものすっごく小さな居酒屋に行きました。お客さんが3人くらいしか入れない、とても小さな、ディープなお店。そして気づきました。
「あ、じぶんちの玄関でやればいいんだ!」と。なので、思いついてからが早くて、思いついた日は家の玄関で居酒屋をオープンしました。写真を見ていただきたいのですが、家の玄関に人が10人近く詰まっています。壮観でした。ちょっとだけですけど、赤字でした。笑
2年生の春です。SFCでもともと美容師をやっていた友人に出会いました。ぼくは結構なくせ毛があるので彼は初対面で「面白い髪型だね」と言ってきました。すかさずぼくも「なら切ってみなよ」と返しました。
1週間後、彼に髪を切ってもらいました。気持ち良さそうだから、という理由で朝のキャンパスで髪を切りました。
こちら覚えている方はいますか?数年前にあったSBCセンターです。初夏の晴れた日に、キャンパスで出会った友人と一緒にお絵かきをしました。
これは、水色のレモネードです。キャンパスでどんどん「よっ友」が増えていくのがなんだかなぁと思って。立ち止まって新しい友人とゆったり話せる時間が欲しいと思い、レモネードを鴨居で配り始めました。
すごく楽しそうじゃないですか?SFCにはピクニックがとても似合うと思うんです。もし今後見かけたら、ぜひ一緒にレモネードを飲みましょう。
そして、ある日気づいたんです。SFCにはたむろするための椅子がすくないなーって。鴨池にはみんな座るけど、ほかの芝生スペースではなかなかみんな座らないよなぁ、と。
思いついたら早いです。友人の岡崎くんに連絡をして、スズランテープをつかって即席で椅子を作ってもらいました。ずいぶん楽しそうじゃないですか?
そしたら、管財の人がやってきて、怒られました。ぼくは楽しくピクニックをしていただけなのに。あちらが言うことには簡単にまとめると「ピクニックは禁止です」ということ。ぼくはもちろん納得できませんでした。でもそのときにゆーすけのことを思い出しました。ここがダメなら他のところでやろう、と。
それで作ったのがこれです。岡崎くんと一緒に、蒲田公園で、許可をもらった上で作りました。一体何mのスズランテープを使ったのか、覚えていません。
内側はこんな風になっています。座るだけじゃなく、寝そべることができるんです。
そしたら、たくさんの子供達が集まってきました。どうですか!この風景!最高じゃないですか。子供達があまりにも遊ぶので「怪我しないでー、もう遊ばないでー」という遊ぶことを禁止したくなりました。笑 SFCで終わらせなくてよかった、と心から思いました。
3:嘘と真
それでは最後の打席です。
水色らしく、嘘と真の話をしたいと思います。つまり、本音で話をします、ということです。
ぼくには嫌いな言葉があります。それは今まで何度も聞いてきたであろう「やりたいことをやろう」という言葉です。ぼくも昔大好きだった言葉。でもある日気づいたんです。「あ、俺この言葉がすきなだけだ。なーんもやちゃいない」と。
「やりたい」その言葉は一見素敵です。しかし、同じやりたいをもう一度口にした時、それはつまり、やらなかった。ということでもあります。その言葉を使えば使うほど、嘘のつかれた「やりたい」がどんどん積み重なっています。やりたい、じゃなくて、やってみた。に言葉を成長させないといけない。その言葉を留まらせてはいけない。
みなさんは今日、たくさんの話を聞いてきました。この後も、きっと楽しい時間が続くと思います。そしてきっと「明日からこれをやってみよう!」とか「あの人のあの話、よかったなぁ」と思っているんだろう、とぼくは想像します。
けれど、きっとその気持ちは忘れちゃいます。ぼくだって忘れちゃいます。だから、それをどうにかこうにか、思い続ける装置が必要です。大切だとわかっているけれど、すぐに過ぎ去っているものを守るための工夫が必要です。やりたい、を、やっちゃった。に変えていく時間が必要です。
3-2:Morning page
その装置が、今からお話をするMorning pageです。
ぼくが半年前から続けている朝の習慣です。色々と話すと忘れてしまうと思うので、簡単な説明だけしますね。
これは、2つめの話ででた「ブレーキ」を知るための方法でもあります。時間は15分でいいです。長いぶんにはそれでもいいと思いますが、重要なのは、朝起きてすぐの"ぼーとした頭"でやることです。
朝起きたら、何かをする前に、手書きでノートを書きます。携帯をひらく前に、TVをつけるまえに。食事をする前に、顔を洗う前に。あらゆることを後回しにして、起きたばかりの"ぼーっとした頭"でノートに向かってください。
そして、思いつくことを書いてみてください。「おはようー。めっちゃねむい。今日はなんだか体が重いなぁ。昨日のあのひとことが体に残ってる?あ、そういえば変な夢もみたなぁ」思考を垂れ流しにしてください。
書くことがないよ!という方は、「書くことがないなぁ」と書いてください。否定的な意見、猥雑な言葉、悪口、書きたくなくても書いてください。何か立派なことを書こう!とか、これは思っちゃいけない!とか、そんなものはありません。思考を垂れ流してください。全部書いてください。
すると、自分の中にあるたくさんの否定的な言葉、どす黒い思想、ひそかな夢、忘れていた大切なことが出てくるかもしれません。(しかし、それを期待してもいけません!)ただ、垂れ流してください。そして、その文章を決して誰にも見せないでください。自分から自分に当てた、大切な手紙として取っておいてください。時間が経ってから、見返してみてください。
ぼくが今ここに立っていること。それは、自分で自分に登壇することに、許可を出したから、叶っています。そのためには自分の中の否定的な声を聞くこと。どんなブレーキが隠れているのかを知ること。ブレーキの位置さえわかれば、ちょっと足を緩めるだけで、前に進むことができます。
しかし、決してブレーキは悪者ではありません。アクセルとブレーキを知ることで、自分という車をうまく乗りこなすことができます。ぼくはこれまでずっとアクセルを踏みながら、同時にブレーキも踏んできました。だから、とっても疲れちゃうんですね。頑張ってるのに、前に進まない。でも今は、ちょっとだけ自分の中のブレーキを知っています。だから、うまくいかないときは「何が今の自分をせき止めているんだろう?」と考えてみます。
それで、たとえばノートを書くでもいい。ちょっとしたことを始めてみる。すると、そのアクセルは自分以外の人々も巻き込んで、自分1人では辿り着けないような壮大な風景に連れて行ってくれます。みなさんも、よければ自分自身に対して、やりたいこをやってみる許可を、出してみてください。
ありがとうございました。
プレゼンはこちらで終わります。もしよければ感想などを以下に送って抱けると幸いです。何がどのように届いたのかを教えていただきたいです。
新造真人
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