下積みアナの苦悩【⑦挫折】

ある日の夕方、桜子は岡部の部屋に呼び出された。岡部の表情が硬い。


「若林さん、番組の評価が下がっています。今のままでは厳しい。」


「私が原因ですか…」桜子は心の中で問いかける。着ぐるみのせいだとはわかっていながら、個人としてのプロ意識が許さない。


「だからと言って、すぐに着ぐるみを取るわけにもいかない。一旦はこのまま進めてみよう。」岡部はそう告げた。


桜子は職場で深く落ち込む。リモコン着ぐるみを眺めては、自身の置かれた立場に思いを馳せた。「こんな風にバカにされるために、アナウンサーになったわけじゃない…」。

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