「目立つ格好で」

新入社員の結城彩花は、今日初めて携帯電話ショップで顧客に接客をする日だった。しかし、彩花の任務はただの接客ではなかった。全身が真新しいスマホに見立てられた巨大な顔出し着ぐるみを身につけ、それを着て顧客に接客しなければならないのだ。

「貴方は新人だから、目立つ格好で接客しなさい。」店長の厳しい言葉に彩花は嫌そうな顔をした。着ぐるみは人間の胴体の大きさぐらいのスマホになっており、その上部から詩織の顔が覗き出す形状だった。胴体部分はスマホの画面を模していて、そこから腕や足が出るデザインだった。

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