下積みアナの苦悩【⑥スランプ】

山本の言葉が桜子の心に深く刻まれ、彼女の中に大きな不安が芽生えていた。毎日の番組でリモコンの着ぐるみを着ること、自分だけが周りと違う姿でいることに心からの違和感を禁じ得なくなっていた。


スタッフに対しても、「もっと笑顔で」と言われれば、「はい」と頷くだけ。以前のようなユーモラスな反応も消え、ただ淡々と仕事をこなす日々が続いていた。リモコン着ぐるみは、彼女にとってただのペナルティーでしかなく、重荷と感じていた。

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