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N95マスクは、アルコール消毒により大幅に機能低下する

厚生労働省は、マスク不足を受けて医療現場におけるマスクの再利用(消毒して使う)を許す事務連絡を4月10日「N95マスクの例外的取り扱いについて」で出しました。


しかしながら、医療用にも使用されるN95マスクに消毒用アルコールをかけると、マスクの性能が著しく劣化するという検証結果がこのほど明らかになりました。

検証実験を行ったのは国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター長を務める西村秀一氏で「N95マスクのアルコールによる消毒は禁忌」と注意を呼び掛けています。


実験では、通常のN95マスクのウイルス通過率が1%だったのに対し、UVライトに暴露させたものは8%に上昇、アルコールを噴霧したものは35%まで性能が低下しました。


また、同じ実験をサージカルマスクでも行ったところ、ウイルス通過率は通常のサージカルマスクで4%、UVライトに暴露させたものは6%、アルコールを噴霧したものは12%となりました。 


空中浮遊粒子(粒子径0・3マイクロメートル以上)の通過率を調べた実験でも、アルコールを噴霧したN95マスクは14・1%で、通常のN95マスク(0・2%)やサージカルマスク(3・7%)よりも大幅な性能の劣化が示されました。


検証結果について西村氏は、「粒子捕集の多くの部分が素材の目の細かさによっているのではなく、静電気等の分子間力によっているため、アルコールが静電気成分を弱めるなどの働きをしたものと考えられる」と述べています。
また、空中浮遊粒子がマスク素材を通過する率が、吸引速度が速いほど高くなるとし、「マスクを着用したときは走らないで」と呼び掛けています。


西村氏は、この結果を「一日も早く医療現場の皆様にお伝えすべきものと判断しましたので、論文を書いている時間的猶予はありません。それでは多くの医療従事者が不要な感染リスクにさらされることになります。この情報について可及的速やかに医療現場の同僚の方々に周知浸透させていただければと思います。」と述べています。


※高機能マスクは3層または4層構造となっており、極細繊維の高密度静電フィルターにより、静電気でウイルスや花粉を吸着するものがあります。今回の実験結果は、アルコールがこの静電フィルター機能を低下させることを示唆しています。

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