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あした
きみはきっと僕の知らない人だ
全くちがう場所でちがう景色を見てちがうものに涙を流す、僕の知らない人だ、きみが朝コップから水を飲んで白い血は体を巡る、そのとき私はまだ布団の中にいて朝の景色をゆめみて眠る、わからないことはいくらでもあるよ、きみが好きだと言った夕陽が私にとっておそろしい日暮れであるように、私が嫌いと言ったあの人がきみの親友であるように、まだ私の見たことない記憶があったとして、それを思い起こせるのはきみだろう、きみの思い起こせる小石が、私だろう、明るい空に手をあげて静脈を透かしてみる、日が眼に入って私はその一瞬に目を閉じる、日が私の眼を貫いて心臓にまで達し私のこころをまわったら、きみは私の辿り着けない公園にいるだろう、私はまさしく絶望的に思うのだよ、そうやって外を駆けて街を目指す、自転車を押したきみと並んで歩くより先に、街を目指す、いつかあの観覧車に乗ろうよ、いつかあの海を見にいこうよ、いつかあの空を跳ぼうよ、わからないことはいくらでもあって、世界が循環していくその瞬間に、瞳を合わせて声あげて笑う、きみは僕の知らない人だ
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