移籍は「悪」か?
私の住んでいる町は田舎で、人口減少問題は日頃から言われています。当然こどもの数も少なく、どこのチームも選手の確保に苦労しています。当時4年生は6名、5年生は7名。どの試合も下の学年を連れて行くってのが常でした。全員来ても13名。ほとんどの試合が8人制なので数人がベンチスタートになっても、どこかでピッチに立つことが出来ました。裏を返せば、下手でも試合に出れます。
そんなある日、3人の選手が移籍してきました。3人とも現チームではレギュラークラスの選手です。
うちのチームの5年生の中にスーパープレーヤーと言われている選手が2名いました。地区トレ県トレをクリアし、地域トレセンまで進む子でした。(その後一人はナショナルトレセンまで進みました。)試合もこの二人にボールを集める戦術です。少々遠かろうがドーンと蹴ってゴール!単純です。しかし、学年が上がってくるにつれてこの戦術では勝てなくなってきます。監督が難しい戦術を選手に求めますが、それに全員が応えることが出来ません。さぁどうするのか?ここでこのチームの得意技がでます。
引き抜き
他のチームから優秀な選手を引き抜いてきます。
ではなぜ引き抜いてこれるのでしょうか?
これは先にも書きましたが、トレセンが影響します。○○市トレセンと言われる一番最初に行われるトレセンですが、私の市ではうちのチームの監督・コーチが次のステップ(地区トレセン)に進む選手を選抜します。さらに地区トレセンでも顔が利きます。簡単に想像できますが、うちのチームにいれば最初のトレセンはクリア確定なのです。(地区トレセンもオッケー?)これも先に書きましたが、選手はトレセンに受かりたくて必死です。保護者も必死です。そこに付け込んで勧誘を繰り返します。そして「強豪チーム」の出来上がりです。
さて、順調に選手を増やしていく我がチームですが、当然ながら試合に出れない選手が出てきます。ピッチに立てないだけでなく、試合自体に呼ばれなくなります。練習も下級生と一緒に行います。そして辞めていきます。
娘のチームはクラブチーム。小学校に属したチームとは異なります。勝利第一主義です。勝つためには何でもします。それが良いか悪いかはわかりません。「それを承知で入部したんでしょ?」と言われます。
ボールを蹴っている子供たち。みんなサッカーが好きです。シュートを決めたい、ドリブルをしたい、キーパーをやってみたい。みんなサッカーが大好きです。そんなサッカーがやりたい子供が、このチームの門を叩いてくれました。上手い子・下手な子当然います。でも、サッカーがやりたいって子にサッカーをやらせず、サッカーを嫌いにさせていいのでしょうか?私はこのチームにいる子全員が大きくなってもサッカーに関わっていけたらいいなと思います。選手、コーチ、監督、Jクラブの職員だって、スポーツショップの店員だって、なんだっていいんです。好きなサッカーをずっと好きであってもらいたかった。
そんな綺麗ごとでは済まされません。「うちの子はプロを目指してるんだから、勝ってもらわなきゃダメなのよ。」「本気でサッカーしないんなら、辞めてもらいたいよね。」保護者はこう言います。
ある日コーチに言ってみました。
「○○はサッカー頑張ってたけど、辞めちゃいましたね。」
すると、
「○○は逃げたんだよ。」
プロサッカー選手になれる確率、1000人に1人。
0.1%です。
プロだけがサッカー選手なんですかね?
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