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絵本 なみのむこうに

テッケントラップさんの絵本は、子供にももちろんですが、大人にも響いてくる絵本が多いと思います。
この絵本も大人になった今だからこそ読んで考えるものがあります。
自分にとって、灯りを持って現れた白い鳥は誰・何だっただろう?ネズミイルカは?クラゲは?希望に溢れた歌はなんだったかな?
まだ暗闇の1〜4ページにとどまって動けない人は、白い鳥なんか現れやしないって思うのかも。
「自分で見つけなさい」
その言葉の真意は大きいと思います。
それが大人になる、ということの第一歩なのかもしれないから。
40を過ぎても、50を過ぎても、まだ暗闇にいる人は、インナーチャイルドを抱えている人なのかも。この絵本を読むことで、自分の中の子供を大事に抱きしめ向き合う、そういうきっかけにもなり得るのかな、とも。
ただ、結末については、まぁ正直無難なところで落としたな、って思いました。
それは主人公のエラが望んで見つけたエラの場所であって、決して自分がそれを望んでいるのか、はエラと重ねずに自分で描いて欲しいですね。
だから、こう限定的に最後まで描き切らなくても、結末はそれぞれに任せ余韻を残した方がもっと心に語りかけるものがあったかも、とも思います。
これからの子供達に、真っ暗な海を漂い泳ぐ大人たちに、岸辺から乗り越えてきた海を思い返す大人たちにも、おすすめの絵本です。


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