写真集 TOHOKU

今日、ご紹介する写真集はTOHOKU。
ドイツ出身の写真家ハンス=クリスティアン・シンクが震災から1年後に京都にあるヴィラ鴨川の助成を受け、数週間にわたり東北を旅しおさめられた写真たちが並びます。
初めの一枚はこちら。

雪が覆い、何も知らなければ、なんてことのない風景写真です。
ページを進めていくうちに、震災の爪痕があらわになってきます。

1棟だけ残っているビル。

そこにあったであろう、しかし歪んでしまった建造物。
ハンスの写真は、一貫してとても静かです。
他の写真集にも共通していると思います。
その静けさが尚更、自然にのみこまれ残されたものたちを主張あるものにしているというか。
なんか不思議な感覚に襲われるんですよね。
これは日本にいて、実際にその惨状を現地ではなくテレビで見ていた私にとって、罪深いような、しかしその圧倒的な自然の力にはもう何も言えなくなるような。
その言えない感覚、が、蘇ってくるというのかな。
ただ立ち尽くし、その無力さを痛感しつつも自然が導き出した光景に息を漏らす。
この写真集は海外の人がページをめくるのと、実際に経験した人がページをめくるのと、私のように画面越しに経験した人と、もうそれぞれがそれぞれに感じるものが違うと思います。
けれど、圧倒的な静けさがそこにはあって、受け止めざるを得ない。

サイン入り、というものを購入したけれど、これ、コピーなんだろうか、、、
と気になりつつ。(直筆でしたね。他にもサイン入りを購入して比べてみましたが違いました。)
海外から取り寄せたのですが、送料含めると結構してしまい、オンラインショップに出すかどうか決めかねております。
なので、とりあえずご紹介まで。
もう12年が経とうとしますね。
甥っ子も12歳になるのか、、、と思いつつ。
一度手に取って見ていただきたい一冊です。

追記
とても印象的な一枚を載せ忘れてました。

震災前からあるのか、後から出来たのかはわかりませんが、町を一望できる場所に佇む墓地が、またなんとも言葉が見つかりません。

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