統一教会と類似の安倍晋三自公政権の美しい国スローガン、苦しいし苦痛との指摘に関する記事PDF魚拓。


同年6月19日、政府は、内閣府経済財政諮問会議が取りまとめた『経済財政改革の基本方針2007――「美しい国」へのシナリオ』(いわゆる「骨太の方針2007」)を閣議で決定した[28]。この副題は安倍が自ら命名したものであったが、経済財政諮問会議の審議の席上では丹羽宇一郎伊藤隆敏八代尚宏らから異論が挙がった[29]内閣府特命担当大臣(経済財政政策)の大田弘子が安倍の案を提示したところ、丹羽は「『「美しい国」へのシナリオ』はどうもぴんとこない」と述べ[30]、伊藤は「『シナリオ』と言うと、我々の主体的な働きかけの意味合いが弱い」と述べた[30]、八代は「伊藤議員が言われたような『成長戦略』という言葉が大事だと思う」と述べた[30]尾身幸次御手洗冨士夫らはこの案に賛意を示し、最終的には安倍の当初案どおりに命名された。

同年7月の第21回参議院議員通常選挙に際しての全国遊説で、安倍は「美しい国」の理念を訴えるが[31]、一部の自民党候補者から「意味がよく分からない」「絵に描いたような『美しい国日本』」などの批判を受けた(後述)[32]

安倍首相退陣

2007年9月12日、安倍は記者会見を開き、正式に首相辞任の意向を表明した。安倍内閣の総辞職が予想されたため、安倍の指示を待たず同年9月21日付で自主的に解散し、プロジェクトは終了した。会議開催や事務所設置などで費やされた経費は4900万円であった。後任の内閣総理大臣である福田康夫は、経費について質問され「会議をやっただけでそれだけというのはちょっと高すぎる。高すぎるということは無駄だということだ」[33]と指摘した。

同年12月7日、安倍は自身の政権での「美しい国づくり」を振り返り「美しい国づくりは道半ばだが、礎をつくることはできたと思う。一議員として初心に戻り、新しい国づくりに向けて全力を尽くしてゆきたい」と発言した[34]

2011年12月6日、一般社団法人日本経済人懇話会の青年部「青年真志塾」は、翌年9月の自民党総裁選を見据え、「強い『経済』、美しい国『日本』」と題するシンポジウムを永田町の星陵会館で開催。安倍は同シンポジウムで基調講演を務めた。阿部正寿が所長を務める世界戦略総合研究所が共催者として名を連ね、「青年真志塾」幹事長の小川榮太郎が全体を取り仕切った[35][36]

2012年12月26日、第2次安倍内閣が成立し、安倍は再び首相になった。翌2013年1月21日、安倍は『美しい国へ』の“完全版”と称する『新しい国へ 美しい国へ』を文藝春秋から上梓した[37]

世論調査

内閣府がまとめた世論調査によると、今の日本を「美しい」とする人は半数を超えている。一方、「美しくない」とする人は43%であった。

また、「日本の美しさとは何か」に関するアンケート調査結果(複数回答可)は以下のとおりであった[38]などの「自然」:80.0%
伝統工芸などの「匠(たくみ)の技」:58.5%
田園里山などの「景観」:52.8%
歌舞伎祭りなどの「伝統文化」: 50.8%


類似するものなど2004年12月、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の関係者は、日本統一教会初代会長の久保木修己の遺稿集『美しい国 日本の使命』を世界日報社から出版した[39]。この遺稿集と安倍の『美しい国へ』との類似性が指摘されている[40][22]。なお、久保木と安倍の親族とのつながりは祖父の岸信介の時代から続いている。1973年4月8日、渋谷区の統一教会本部で久保木は岸を信者に紹介し、岸は講演を行った[41]。同年11月23日、文鮮明韓鶴子が統一教会本部を訪問した際、文と岸は長時間にわたり会談し[42]、久保木も同席した。1986年7月14日に安倍晋太郎清和政策研究会の会長に就任[43]するが、1989年7月4日、文は韓国で行った説教で「国会内で教会をつくる」「自民党の安倍派などを中心にして、久保木を中心に、超党派的に原理教育をした議員たちを結成し、その数を徐々に増やしていかないといけない」と述べた[44][45][46][47]
2005年3月、安倍と同じく清和政策研究会に所属する町村信孝は『保守の論理―「凛として美しい日本」をつくる』を上梓した[48]
2006年、ジャーナリストの松田賢弥は、「美しい国」それ自体が、河野洋平自由民主党総裁を務めた当時、小沢一郎の「普通の国」構想への対抗として打ち出した「美しい国」論を換骨奪胎したものに過ぎず、「パクリ」であると述べた[49]
2007年、晋友会合唱団はCD『美しい国、日本』を発表した[50]
第1次安倍内閣 (改造)にて内閣官房長官を務めた与謝野馨によれば、第43回衆議院議員総選挙にて与謝野が掲げたマニフェストのタイトルに「美しい国」の概念が含まれていることから、「『美しい国』というのを最初に使った」[51]のは与謝野であると自ら指摘している。


評価安倍の提示する国家像や政治姿勢に反発する民主党(のち2013年に自民党に復党)の山口壯は弁護士・大山勇一作の回文「憎いし、苦痛! 『美しい国』」を引用し[52][53][54][55]、2006年10月13日衆院本会議にて「美しい国」を逆さ読みして「ニクイシクツウ(憎いし、苦痛)」と揶揄した。格差が拡大し、自殺者が3万人を超す状態が1999年から10年も続き[56]、しかも状況が何ら改善されないなどの社会の現実(交通死亡事故でさえ年間犠牲者が1万人を超えたら大問題になるのにその3倍)、閣僚の相次ぐ失態、年金問題への対応の失敗[57]等々、安倍政権下の政治現実を批判する立場からは「美しい」という言葉と現実社会との隔たりとが逆に意識される結果となっている[58]
2007年7月1日、安倍は、参院選に向けた高知県選挙区現職の田村公平の決起集会で、集まった聴衆に対し「美しい国」の理念や自民党の政策を訴えた[31]。同月16日、田村は、高知市内で行われた参院選の演説会で、「美しい国」について「意味がよく分からない」と指摘した。また、安倍の高知入りの予定について触れ、「(選挙を)心配するなら予算という名の銭をもってこいと言いたい。そうではなくて、絵に描いたような『美しい国日本』で応援に来られて、適当なことを言われたら、ばかにしているのかと思ってしまう」と述べた。これを受け同月19日、安倍は高知県への遊説を見送ることを決定した。同月20日、安倍は四国入りするが、徳島、香川、愛媛三県だけで応援演説した[32]
憲法学者の小林節は、「法律による統治」など法学では誤用と見なされる初歩的なミスが多いと指摘。憲法改正を志す適性に欠けるとして[59]、安倍内閣が憲法改正に手を付けることは反対を表明するなど批判している。
小林よしのり宮台真司は、教育面では愛国心を強調する一方、経済面では支持団体である経団連をはじめとした財界のトップが、「法人税を上げたら企業が海外に逃げる」と言う主張の二重基準ぶりを指摘している[60]
塩野七生は、「『美しい国』のような客観的な基準になり得ない指針を掲げても、それは自己満足に過ぎない」と批判し、「情緒的な言葉を使うより、具体的な指針を掲げるべき」と述べた[61]

美しい国出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』



安倍晋三元首相銃撃事件を契機に、自民党との深い関係が露呈した世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。その旧統一教会の政治部門とされる国際勝共連合(勝共連合)の改憲案と、自民党の改憲草案が、「緊急事態条項」や「家族条項」などで一致していることが、注目を集めている。被害者弁護団から「反社会的勢力」とも指摘される旧統一教会側の主張が、関係の濃い自民党の改憲草案にも反映されていたのか。(特別報道部・山田祐一郎、中山岳)

◆中国の覇権的行動、北の核・ミサイル、大地震や原発事故の対応が最優先

改憲案を説明する国際勝共連合の動画=同連合のホームページから

 国際勝共連合の関連サイトでは、安全保障や憲法、家族政策などについての同団体の考えが動画で紹介されている。その一つに、「憲法改正」がある。2017年4月に公開された長さ約17分の動画で、渡辺芳雄副会長が同団体独自の改憲案を解説している。

 渡辺氏は「個人においても組織、国家においても変化に対応できなければ存続できない。滅びるのであります」と改憲の必要性をこう訴えかける。

 日本を取り巻く状況の変化について、「中国の覇権的行動」「北朝鮮の核・ミサイル開発や挑発的行動」「大規模地震や原発事故」などを指摘した渡辺氏。改憲の優先順位として「緊急事態条項の新設」を真っ先に挙げた。

 災害時を想定して「政府の権限を強化して、所有権を一時的に制限したり、食料や燃料の価格などをしっかり規制したりして命を守る」とした上で、こう述べる。「早く憲法で明記して憲法を守りながら国民の生命と財産を守る状況を作らないといけない」

 自民党は、12年にまとめた改憲草案の中で、外部からの武力攻撃や大規模災害時に、首相が緊急事態の宣言を行い、緊急政令を制定できるなど首相や内閣の権限を強化、国会議員の任期を延長できるなどと定めた。その後の議論を踏まえ、18年に公表した「たたき台素案」では、大規模災害時の対応として同様の緊急事態対応を規定。対象に「外部からの武力攻撃や大規模テロ・内乱」を含めるかについては、「対象にすべきだとの意見がある」と付け加えた。

◆旧統一教会との関係は改憲にもマイナスに働く?

 岸田文雄首相は今年5月、改憲派の集会に寄せたビデオメッセージで、改めて緊急事態条項の必要性を訴えた。新型コロナウイルスへの対応やロシアによるウクライナ侵略を挙げて「有事における迅速な対応を確保するため、こうしたことを憲法にどのように位置づけるかは極めて重要な課題」と強調。大規模災害以外の有事にも対象を拡大する印象を与えた。

 「18年の素案で、緊急事態の対象が限定されたような印象を与えたが、現状は12年の草案の考え方に逆戻りしている」と話すのは、愛媛大の井口秀作教授(憲法学)。「一番の懸念は、国会を通すことなく政令によって国民の権利が制限される可能性があるということ。必要な根拠も、新型コロナやウクライナ侵攻など後付けで増えている」と緊急事態条項の問題点を指摘する。

 安倍氏の死去を受け、岸田氏は「思いを受け継ぐ」と改憲への意欲を見せたがその後、霊感商法などで多くの被害者が出ている旧統一教会と自民との関係が次々と明らかになった。勝共連合が緊急事態条項の創設を唱えることに、井口氏は「反共を掲げる団体の素直な主張なのだろうが、自民草案との間に因果関係があるのかは分からない」としつつ、「旧統一教会との関係は改憲派からも反発を呼び、改憲にマイナスに働くのでは。自民が緊急事態条項など改憲の主要項目を戦略的に変更することもあり得る」と話す。

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◆「教団側に都合の良い自民の改憲草案」

 改憲を巡る自民草案と旧統一教会側との「一致」は、まだある。

 渡辺氏は先の動画で、憲法に「家族保護の文言追加」を主張。「家庭という基本的単位が、最も社会国家に必要。だから保護しなきゃいけないという文言を、何としても憲法にいれなくてはならない」と強調する。これに対し、自民草案で新設された24条条文には「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」とある。双方の「家族重視」は、よく似通っている。

 旧統一教会は2015年の改称で家庭連合と名乗っている通り、関連団体を含めて「家庭」「家族」はキーワードだ。創始者の故・文鮮明氏を「真のお父さま」と呼び、「神様の下に人類が一つの家族である世界」を理想に掲げる。

 こうした教団の「家族観」について、北海道大の桜井義秀教授(宗教社会学)は「目指しているのは文氏を中心にした『真の』家族。自由恋愛や婚前交渉は論外で、信者には合同結婚式で相手が選ばれる」と解説する。

 こうした教義に基づく家族観は、自民草案のうたう家族とは似て非なるものだ。ただ、桜井氏は、勝共連合が教義に基づく家族観を前面に出さず自民草案に同調していると指摘。その思惑について「教義を真正面から説くだけでは、多くの人々は受け入れず信者も増えない。だから教団側に都合の良い自民の改憲草案に乗っかり、利用しようとしている。実際に関連団体は『家庭づくり国民運動』などの講座を開き、旧統一教会の名を出さずに布教につなげてきた」と述べる。

今年6月に開かれた衆院憲法審査会=国会で

◆類似するのは「個人の尊重を退け、父権主義的家族の中に埋没させる危うさ」

 自民草案は、現憲法20条にある「いかなる宗教団体も政治上の権力を行使してはならない」の文言を削除。さらに、国とその機関の宗教活動を禁じた点も変え、「社会的儀礼又は習俗的行為の範囲を超えないものについては、この限りでない」とする。政教分離の原則を緩めるとの批判はかねてあったが、旧統一教会と自民党との関係が問われている今、これを許していいのか。

 恵泉女学園大の斉藤小百合教授(憲法学)は「自民草案にはもともと、政治家による靖国神社参拝の違憲性を払拭(ふっしょく)し、国家神道を復権させるもくろみがあるとみていた。さらに旧統一教会との関係も浮き彫りになり、政教分離のハードルを下げる方向で改憲が進むならば、憂慮すべき事態だ」と警鐘を鳴らす。

 斉藤氏は、自民草案と旧統一教会の考えに類似するのは「個人の尊重を退け、父権主義的家族の中に埋没させる危うさ」とみる。「立憲主義の柱となる個人の尊重をないがしろにするかのような改憲に、自民と旧統一教会が足並みをそろえているように見える」と問題視する。

 ただ、自民草案への影響が取り沙汰される主張を展開してきたのは、旧統一教会・勝共連合に限らない。宗教団体の言説に詳しい評論家の古谷経衡氏は「日本会議や神社本庁などの『宗教右派団体』は、自民草案に一定の影響を与えてきた。旧統一教会とも共通するのは、復古的な家族観、夫婦別姓反対などだ。そうした『雑念』が自民草案には入っているといえる」と説く。

 古谷氏は「旧統一教会については、かつて霊感商法で多く被害者を生み、今も宗教二世たちは苦しんでいる。そうした団体のエッセンスが含まれる自民草案に沿う改憲は政治倫理上、許されないだろう」と述べ、こう強調する。「このまま改憲の議論が進み国会で発議され、国民投票にかけられるならば一部の宗教団体を利する面がある。国民は一度、立ち止まって考える必要があるのではないか」

◆デスクメモ

 安倍氏が2006年に上梓し、改憲を訴えたのは「美しい国へ」。その2年前、勝共連合初代会長久保木修己氏の遺稿集として出た本が「美しい国 日本の使命」。偶然か、思想の一致か。今となっては2人とも故人だから確かめられないが、こんな縁が感じられる改憲は不気味だ。(歩)

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旧統一教会側と自民党、改憲案が「一致」 緊急事態条項、家族条項…濃厚な関係が影響?

2022年8月2日 06時00分



連日報道される政治家と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。教団所属の人物から選挙で支援を受けたと証言したのが、岸信夫防衛相だ。その関係を聞くと、兄の安倍晋三元首相が教団の友好団体にメッセージを寄せたのも「さもありなん」と思える。ただ、話はそこで終わらせられない。教団側は北朝鮮と親密な関係を築いてきたからだ。北を警戒すべき防衛相が、北と縁深い教団側とつながるのは問題ないのか。奇妙な三角関係をどう考えるべきか。(特別報道部・中山岳、中沢佳子)



旧統一教会との関係が取り沙汰される岸信夫防衛相

◆岸一族と教団、関係の源流は「勝共連合」後押しした岸信介元首相

 「選挙というのは、まさに戦。手の内を明かすようなことはしたくない。適切に判断をし、対処したい」

 29日の会見でそう述べたのは岸防衛相だ。3日前には、教団に所属する人物から過去の選挙で支援を受けたと明かしたが、今後については曖昧に語った。

 兄の安倍氏の銃撃事件以降、同氏と旧統一教会の関係が取り沙汰されてきた。源流をたどると、教団の日本進出のほか、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」の設立を冷戦下に後押しした祖父の故・岸信介元首相に行き着く。

 「反共」を名目に接点を持った岸一族と教団。両者の関係を考える上で気になる存在がある。共産主義を掲げて誕生した北朝鮮だ。教団は冷戦末期から同国とつながりを深めてきたからだ。

 教団のサイトによると、教祖の故・文鮮明氏は現在の北朝鮮・平安北道出身。1954年に韓国で教団を創立して信者を増やした一方、91年に北朝鮮側の招きに応じて電撃訪問。文氏は主席の金日成(キムイルソン)氏と会談し、南北の離散家族を捜す事業の推進などで合意した。

 その後、金正日(キムジョンイル)、金正恩(キムジョンウン)両氏ら後継指導者とも関係を築いた。2012年9月に文氏が死去した際は、正恩氏が「民族の和解と団結、国の統一と世界平和のために傾けた先生の努力と功績は長く伝えられる」と弔文を遺族に送った。一周忌を前にした13年8月にも追悼メッセージを出すなど、教団への配慮を見せた。

◆教団と北朝鮮、南北統一や資金面で相互にメリットか

 反共を掲げる教団が北朝鮮と接近したのはなぜか。文氏訪朝時に教団系の日刊紙「世界日報」記者だった元信者で、金沢大の仲正昌樹教授(思想史)は「文氏には祖国統一の理念があった。教会としても、訪朝目的は北朝鮮が共産主義を克服するために指導者に働きかけ、悔い改めさせるとの理屈が成り立つ」と語る。

 教団とつながりを持つことは北朝鮮にもメリットがあったとみる。「教会信者の経営する会社が北朝鮮に協力するなどし、利益をもたらした面はある」

 朝鮮半島問題の専門誌「コリア・レポート」の辺真一編集長は「一九八九年にベルリンの壁が崩壊してから東西陣営の緊張緩和が進み、反共一辺倒だった統一教会の姿勢も変わった」と指摘。「北朝鮮は統一教会の資金力に加え、米共和党へのコネクションを利用する思惑もあった。北に強硬姿勢だった同党との関係を改善しようとしたからだ」

◆安倍氏ら、教団の北朝鮮とのパイプを重視か

 一方で岸一族、特に首相時代の安倍氏は、北朝鮮と教団のつながりをどう捉えていたのだろうか。先の仲正氏は「教会は北朝鮮にいろいろなパイプがある。拉致や安全保障を巡る問題を抱えていた安倍氏らは北の情報を得るため、同国と教会との関係は黙認したのだろう」と推し量る。

 教団側は、社会的認知度を上げるために安倍氏らとの関係は重視しつつも、信者になってもらうのはハードルが高いと考えていたと仲正氏は見立てており、「賛同を得られる範囲で接点をつくり、両者は『ウィンウィン』の関係を続けたのだろう」と解説した。

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◆教団を介した北朝鮮との接点、国民に不信・不安招く

 「保守」を名乗る面々には、教団側がもたらす北朝鮮絡みの情報に関心を抱く向きもある。

 ジャーナリストの桜井よしこ氏は「週刊新潮」今月7日号の連載コラムで、旧統一教会系の日刊紙「世界日報」の掲載記事を「特ダネ」と持ち上げたうえ、日本人拉致被害者の生存情報を引用して伝えた。

 防衛相である岸氏は、北の情報を得る上で教団に価値を見いだすことはあるのか。つながるとしても別の理由があるのか。

 「教団は植民地支配への恨みを解くとして、日本で献金を募った。保守の政治家と相いれないのに、多くの自民保守系議員に教団側の息がかかっている。人手や票など、目先の利益を求めたのだろう」。英軍事専門誌の元東京特派員で、国際ジャーナリストの高橋浩祐氏はそう語る。

 29日の岸氏の会見に出席し、教団との関係を改めてただした高橋氏は「終始歯切れが悪い。岸一族に脈々と続くつながりが深過ぎて、手を切れないんだと感じた」と振り返る。

 教団側を介した防衛相と北朝鮮の接点はむしろ、リスクが潜むと懸念を語る。

 「実際には情報漏洩などがないとしても『何か起こるのでは』と疑念を抱かせる。国防の根幹は国民の安心感なのに、国民の不信と不安を招く」

◆教団側が政治家をコントロールしうる立場に

28日、韓国・ソウルで、米韓両国への対決姿勢を鮮明にした北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記のニュースを見る市民ら=AP

 山口大の纐纈(こうけつ)厚名誉教授(政治学)は「岸氏や兄の安倍氏の選挙区がある山口県は、朝鮮半島に近い。岸一族はさまざまな『半島ルート』を持っている」と語る。その力を思わせる一件として、2002年の拉致被害者5人の一時帰国を挙げる。当時、官房副長官として小泉純一郎首相の訪朝に同行したのは安倍氏だ。

 「北朝鮮との公式なパイプが細っている今、外交、国防、拉致問題の解決といった問題には、私的ルートを頼らざるをえない。ただ、それを持つ人物が防衛相だと、安全保障上、大いに問題だ」と纐纈氏は話す。

 「教団側はさまざまな政治家とパイプを持ち、政治家をコントロールしうる立場にある。そんな集団と防衛相が近しいと、日本を危機に追い込みかねない」

 岸氏はこれまでの会見で、選挙で手伝いをした教団所属の人物が「(投票を呼びかける)電話作戦などはあったと思う」と明かした。お膝元の選挙区は、米軍と海上自衛隊が共同使用する岩国基地のある山口県岩国市が含まれている。「教団関係者が電話作戦をしたのなら、岸氏の事務所から支持者名簿が教団に渡っていないか。それがどこまで流れたのか、検証しなくては」と纐纈氏は訴える。

◆「関係を切る」と明言しないことが問題 野党は解明を

 教団と政治家の関係は複雑に入り組み、闇が深い。

 千葉商科大の田中信一郎准教授(政治学)は教団との結び付きを追及された政治家たちが「関係を切る」と明言しないことを問題視する。

 「岸氏は防衛相の前に国会議員として不適任。そんな人物が与党にいる。そもそも自民党は税金や権限、政治を私物化する利権集団に支えられて政治の舞台に出てきた人々の集まり。教団との関係も悪いと考えていないのだろう」

 一方で野党には、教団と政界の闇を解明する動きが広がっている。立憲民主党は被害対策本部、共産党は追及チームを設置。社民党も教団と自民の関わりを調べようとしている。ただ、歩調はバラバラだ。

 田中氏は「本来は合同ヒアリングをするべきだが、野党にも教団側と接点を持つ議員がおり、足並みをそろえるのは難しい。まずは政党ごとでも解明に動くことが大切。どこまで取り組むかは、その党と教団の結び付きの見極めにもなる」と語っている。

◆デスクメモ

 岸田首相は岸防衛相と教団、北朝鮮の関係をどう捉えてきたのか。北につながるパイプがあれば北の情報が入りやすくなるが、逆に漏れ出るリスクもある。危うさをはらむ岸氏を防衛相に任命すべきだったのか。事情を知りながら登用したのか。首相の認識と責任も問わねばならない。(榊)

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旧統一教会と岸一族と北朝鮮 この奇妙な三角関係をどう考えるべきか

2022年7月30日 17時30





2009年6月、特商法違反容疑で統一教会の施設へ家宅捜索に入る警視庁の捜査員



 安倍晋三元首相銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の供述によりクローズアップされた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」。山上容疑者は、母親が入信後に破産するほどの献金をして家庭が崩壊したため同会への恨みを持ち、同教会とのつながりが深い安倍氏を狙うことにした、などという趣旨の供述をしているという。同会と自民党との関係は、半世紀以上前までさかのぼるとされるが、その経緯や実態はどうなのか。(特別報道部・宮畑譲、北川成史)

◆霊感商法や合同結婚式が社会問題に



 旧統一教会とはどんな団体か。フランスの経済紙「レゼコー」は襲撃事件後、欧米では「カルト宗教」と認識されていると報じた。上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は「活動の基軸はあくまで宗教的理念と実践。その活動の中において多くの問題を抱え、人権侵害や違法行為を積み重ねてきた宗教団体だ。他の宗教一般と同列には扱えない」と話す。

 旧統一教会は教祖の故・文鮮明氏が1954年、韓国で創設した。間もなく日本でも布教活動が行われ、59年には日本の旧統一教会ができた。ホームページによると、教義は文氏が考案した「統一原理」と呼ぶ思想・理論によって、理想の家庭や世界平和を実現する指針を与えるとする。

 宗教学者の島薗進氏は「ある時期までは、『異端のキリスト教』という枠内にあったと思うが、70〜80年代にかけ、非キリスト教化し、同時期に霊感商法に傾いていった」と分析する。島薗氏によると、新興宗教の中では比較的若い人の入信が多く、高学歴の者も少なくなかったという。「現代文明への失望感が背後にあった。また、離婚が増え始め、家族的な道徳基盤を求める人の流れもあっただろう」

 多くの信者を獲得したが、80年代には、先祖供養などを名目につぼや宝石といった高価な品を訪問販売する「霊感商法」や巨額の献金が社会問題に。歌手の桜田淳子氏が92年に信者であることを明かし、教団が配偶者を推薦する合同結婚式に参加したことも話題になった。この合同結婚式は信者の「婚姻の自由を侵害する」として違法と判断された判決も出ている。

 2000年には、旧統一教会系の企業が米国の通信社UPIを買収したこともニュースになった。この企業は米保守系日刊紙ワシントン・タイムズも所有している。

◆理念の近さで「右派政治家と互いに利用」



 旧統一教会が拡大していく過程で見過ごせないのが、政治との関係だ。特に旧統一教会の実質的な政治部門として機能してきたのが、保守系政治団体「国際勝共連合」(勝共連合)だとされる。

 勝共連合は1968年、文氏が韓国と日本で設立した。目的は反共運動。時代は東西冷戦が激しさを増し、米国はベトナム戦争を泥沼化させていた。共産主義の脅威が今より切迫して語られていた。

 初代名誉会長には、右翼の大物で戦後政界のフィクサーと言われ、日本船舶振興会(現日本財団)の会長を務めた笹川良一氏を迎えた。岸信介元首相を名誉実行委員長とする集会も開かれたという。

 塚田氏は「勝共連合の設立経緯から岸信介や福田赳夫といった理念的に近い保守政治家と結び付いていった」との認識を示す。その上で、「今は改憲や家族観、反ジェンダーフリーなどで考えが合致する政治家との距離が近い。団体にとっては理念の実現や運動が守られることへの期待があるのだろう。一方で、政治家は選挙などで支援が得られる。右派政治家と団体がお互いに利用し合う関係になっている」と解説する。

◆第2次安倍政権でさらに接近



 問題となっている安倍氏との関係はどうなのか。

 「各地の紛争の解決に努力してきた韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します」。昨年9月、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が開いた大規模集会「シンクタンク2022 希望前進大会」に、安倍元首相がビデオメッセージを寄せた。

旧統一教会友好団体のイベントで、ビデオメッセージを送る安倍元首相(「シンクタンク2022」のユーチューブチャンネルから)





 UPFは文鮮明氏と妻で現在の教団トップである韓氏が2005年に創設したNGOだ。

 安倍氏は「UPFが家庭の価値を強調する点を高く評価します」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」と家族観への共鳴を明示した。

 「積み重ねを経て、ついに隠さなくなった印象だった」。安倍氏と旧統一教会の関係についてジャーナリスト鈴木エイト氏は語る。

 安倍氏は官房長官時代の06年、旧統一教会の違法な勧誘などが問題化する中、UPFの集会に祝電を寄せた際、「誤解を招きかねず、担当者に注意した」とコメントしていた。

 鈴木氏によると、安倍氏と旧統一教会との関係の深まりは、12年に首相に返り咲いて以降になる。憲法改正と長期政権を目指す安倍氏や自民党にとって、「組織票に加え、秘書や選挙の運動員などの人員を提供してくれる旧統一教会は有用な存在だった」。

 安倍氏に限らず、教団関連の行事に出席したり、祝電を寄せたりする自民党議員が続出していたという。「単に容疑者の思い込みで片付けるのでなく、安倍氏と旧統一教会の関係を解明しないと、事件の全容はつかめない」

◆安倍氏ビデオメッセージへの抗議文は受け取り拒否



 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の山口広代表世話人は「旧統一教会を宗教団体と一般化してはならない。巧妙、計画的、組織的にカネを集める団体だ」とくぎを刺す。

 09年、旧統一教会の霊感商法に対して、警視庁が強制捜査を実施。教団施設や関連会社が捜索され、幹部らが特定商取引法違反(威迫・困惑)で有罪判決を受けた。山口氏によれば、この事件を受け教団は政治家への働き掛けが不十分だったと総括し、関係強化を図ったという。その時代に第2次安倍政権は重なる。

 11日に会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長は「09年以降は献金のトラブルはない」としているが、霊感商法被害救済担当弁護士連絡会の渡辺博事務局長は「来年5月までに韓国の教団施設建設のため、1人120万円献金せよという大号令が出ている。今もやっていることは変わらない」と話す。

 全国弁連では19年、全国会議員に、旧統一教会関連の行事に参加したり、メッセージを送ったりしないよう要望書を提出した。

 昨年の安倍氏のビデオメッセージに対しては、抗議文を内容証明郵便で送ったが、地元事務所からは返答がなく、国会事務所には受け取りを拒まれた。メッセージは事件の動機の一つとも言われる。

 山口氏は「霊感商法や違法な勧誘で社会問題化した団体に政治家がエールを送ると、警察が手を出しにくくなり、被害を拡大させる」と強調する。

 全国弁連は12日、記者会見を開催。事件の容疑者と同じように、母親が旧統一教会の信者という40代の女性も出席した。女性は一時信者となり、合同結婚式に参加して教団の指示で夫になった男性から暴力を受け続けた。プライバシー保護のため、ついたての中で話した女性は、絞り出すようにこう話した。

 「(事件は)間違っているが、人生を旧統一教会に破綻させられたというのは理解でき、苦しい心情だ。放置されてきた問題が少しでも解決に向かえばと願う」

◆デスクメモ



 宗教団体に限らず、政治家との結び付きを誇示し、広告塔扱いしたい組織・団体は多い。だが本来、支援してくれるならどんな団体でも、というわけには行くまい。ましてあれだけ世間から指弾された団体ならば、安倍氏も知らないはずはなかっただろう。なぜ、断ち切れなかったか。(歩)

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旧統一教会と自民党、その関係とは? 安倍晋三氏との距離感の変化は

2022年7月14日 17時36分


安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)が、恨みを抱いていたとされる特定の宗教団体について「(海外から日本に)招き入れたのが岸信介元首相。だから安倍氏を殺した」と話していることが、捜査関係者への取材で分かった。奈良県警は容疑者がインターネット上などの不確実な情報を信じ込み、岸元首相への反感を孫の安倍氏に向けたとみて調べる。

 捜査関係者によると、容疑者が「母親が宗教団体に入信し、家庭が崩壊した」と話していたことも判明。「団体と安倍氏がつながっていると思ったから狙った」と説明していることも分かっている。

 宗教団体は海外発祥だが国内にも多くの信者がおり、定着している。保守的な思想が特徴で、国内外の政治家と関係を構築してきた。岸元首相は関連する政治団体の設立に携わったとされ、安倍氏も2021年、別の関連団体のイベントにメッセージを寄せているが、岸元首相が宗教団体を日本に招き入れたとの根拠は不明で、実際には海外の信者が伝道活動に当たったとされている。(共同)

【関連記事】「YouTube参考に銃を作った」「宗教団体関連施設で試し撃ち」安倍元首相銃撃の容疑者が供述

岸信介元首相に反感か 「日本に宗教団体招いた」安倍元首相銃撃で容疑者 

2022年7月11日 14時05分


安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件で、元海上自衛隊員の無職山上徹也容疑者(41)が、ユーチューブの動画を参考に銃を製造したとの趣旨の供述をしていることが10日、捜査関係者への取材で分かった。「(事件前に)自分で作った銃を(恨みを持つ)宗教団体の関連施設で試し撃ちした」と話していることも判明。奈良県警は、試射で殺傷能力の高さを確認し、事件を起こしたとみている。

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 山上容疑者の自宅から複数の手製銃を押収しており、県警は容疑者が動画を参考に試作を繰り返したとみている。宗教団体を巡っては、「母親が宗教団体にのめり込んで多額の寄付をし、恨みがあった。団体と元首相がつながっていると思ったから狙った」という趣旨の供述もしている。

 現場で使われた銃は「一度に6個の弾丸を発射できる仕組みだった」とも説明。事件で使われた銃は金属製の筒2本を粘着テープで束ねた構造。弾丸はカプセルのような小さな容器に入れ、それぞれの筒から発射する散弾銃に似た造りだった可能性がある。

 また、容疑者は「火薬を乾かした」と説明。「爆弾を作ろうとしていた」「作った」と話し、製造を試行錯誤していたとみられる。(共同)

「YouTube参考に銃を作った」「宗教団体関連施設で試し撃ち」安倍元首相銃撃の容疑者が供述

2022年7月11日 08時18分]


法20条には「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」とあります。政教分離の原則です。その理由は、教科書的には「政治がある特定の宗教組織と結びつくと、他の宗教・宗派を排除・弾圧することになり、人々の信教の自由が侵されるから」というのが答えです。

宗教では教義が絶対で、「考える」ことではなく「信じる」ことが最後の結論です。考えるのは神や教祖の仕事で、信者は信じることで救われる。だから、教義を外れる疑義や問答は無用。外れるならそれは異教なのです。歴史上、数々の宗教戦争があったのも、宗教というものが自分たちの教義に反するものを徹底して(互いに)排除してきたからです。

「他宗教・宗派を弾圧して信教の自由が奪われる」というのは、しかし今の日本ではあまり当てはまらないかもしれません。「信教の自由」はすでに常識で、政治が宗教を規制することはまずないからです。オウム真理教ですら地下鉄サリンなど一連の事件で初めてテロリスト認定され、宗教法人格を失ったくらいです。

日本では法的には「カルト」の定義もなく、当然、政府がカルト認定した宗教集団もありません。霊感商法や洗脳、合同結婚式であんなに社会問題化した旧統一教会でさえ宗教法人格を維持し、その名称すら「世界平和統一家庭連合」と、より“平和”的に、より“家庭”的に改めて変身を印象付けることができました。それほど現代日本では「信教の自由」は“保障”されています。

「信じる」宗教と「考える」政治

では現在の社会で「政教分離原則」の意味とは何なのか? 宗教と政治がつながると何がまずいのか?

それはまさに、前述の「信じる」と「考える」の分離です。宗教において言葉は最終的には一方通行です。神や教祖からの上意下達。しかし民主政治では言葉は双方向です。言葉を行き来させる議会こそが土台。「教義」が問答無用なのに対して、問答こそが有用で、その都度の最善をより多くの参加で探るのが民主政です。 

政治に言葉の通じない宗教的なあらかじめの排除原理を取り入れてはいけない──それが政教分離原則の戒めなのです。

にもかかわらず、私たちはつい数年前、「こんな人たちに皆さん、私たちは負けるわけにはいかないんです」という興奮した総理大臣の切り捨て宣言を聞きました。先日の参院選では「野党の人から来る話は、われわれ政府は何一つ聞かない」という現役大臣の街頭演説も聞きました。言葉は無用──まさに政治の宗教化です。

宗教団体に支えられる日本の組織選挙

なぜ政治がこうも宗教的になっているのか? それは政治がいつの間にか宗教団体と強く結託してしまっていたからです。

なぜか? それはこの社会で、宗教組織が長い歴史を今も生き延びている強固な構造体、最後まで残る選挙支援組織だからです。

旧統一教会が日本で創設されたのは朝鮮戦争直後の1954年、その政治団体版の「国際勝共連合」が韓国、日本で設立されたのは1968年でした。どういう時代だったか?

第二次大戦敗戦で疲弊した日本は朝鮮戦争特需で息を吹き返し、やがて高度経済成長期に入ります。そこで急速に工業化と都市化が進み、農村の解体とともに核家族化が進みます。

農村部に強い支持層を持った自民党は全国の農協の政治団体が選挙を支えていました。しかし1965年に3000万人強だった日本の農家人口は20年後には2/3以下の1930万人に急減します(ちなみに現在は300万人台です)。すると、集票組織だった農協は次第に当てにならなくなります。

自民党の他の全国支援組織には1953年に「全国特定郵便局長会」として発足した「全国郵便局長会」(郵政民営化で改名)という任意団体もあります。ここからは何度も推薦候補が当選しています。けれどこれも民営化で先細ります。戦没者団体の「日本遺族会」も強かったのですが、高齢化が進み、今回の参院選ではついに全国比例の候補者となった会長が落選するに至りました。

野党側も、日教組や自治労などの労働組合組織が弱体・解体すると政党そのものが消滅します。社会党も民社党もそうでした。日本の社会構造が変わっていく過程でした。

しかし日本の選挙は依然「組織選挙」のままです。選挙で動いてくれるのが一般市民のボランティアばかりだと、どうして良いのか右往左往するだけで落選します。そういうところを、かつては与野党さまざまな支援組織のオルグ活動経験者らがカバーしてテキパキと動いてくれていたわけです。

組織選挙なのに組織がなくなってきた、残っている組織は宗教団体くらいという先述した現実が露わになります。あの公明党が安定して票を稼ぐのはそのせいです(それでも票を減らしていますが)。政治家は宗教団体の選挙支援に依存しています。 

「美しい国」の基本理念は偶然の合致か

自民党はそうやって宗教団体と結託してきました。

同時に、旧統一教会と創設者・文鮮明を同じくする政治組織「国際勝共連合」は、日本では政治的思惑の一致した笹川良一、岸信介ら右翼や反共政治家の懐深くに入り込むのです。

ちなみに日本の旧統一教会と勝共連合の両初代会長、久保木修己(くぼき・おさみ)の遺稿集のタイトルは『美しい国 日本の使命』でした。2004年の出版です。

安倍元首相が2006年7月にポスト小泉の総裁候補の準備として出版した新書のタイトルは『美しい国へ』。同年9月の政権構想パンフレットの題名も『美しい国、日本』。第一次安倍政権では「『美しい国づくり』プロジェクト」を提唱し、内閣官房に「『美しい国づくり』推進室」が設置された。

「世界平和統一家庭連合」への名称変更は韓国では旧統一協会発足40年の1994年でしたが、日本では名称変更は長年、差し止め(保留)でした。霊感商法を追及してきた前参院議員の有田芳生によれば、何せ「オウムの次は旧統一教会」と言われていた監視対象です。

元文部科学事務次官の前川喜平は2020年12月のツイートで「1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき(略)実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った」と明かしていますが、2015年の第二次安倍政権下で晴れて「世界平和統一家庭連合」への改名を許可されます。

管轄の当時の文科相は安倍派の下村博文、反社会活動監視を管轄する国家公安委員長も安倍派の山谷えり子でした。現在の同委員長二之湯智も安倍派ですが、彼は複数の旧統一教会関連イベントに実行委員長や呼びかけ人として名を連ねていました。

この第二次安倍政権のあたりから、安倍元首相は旧統一教会とのつながりをより深めていったのではないかとされています。二度と下野しない長期安定政権を目指して、選挙常勝のためにはなりふり構わず官僚の人事権を握り、最高裁判事も内閣法制局長官も警察庁長官も我が意に沿うように入れ替え(あわや検事総長までも)、歯向かう者は容赦なく排除しました。

2023年新設の政府のこども政策の統括官庁名は、当初案の「こども庁」から「こども家庭庁」に変更されました。勝共連合はこの名称変更を「心有る議員・有識者の尽力」で達成されたとし、「子供を巡る政策に『家庭』の文字が入る重要性」をウェブサイトで自賛しています。「旧統一教会」改名後の「世界平和統一家庭連合」の「家庭」です。

この議論の座長を務めた当時の加藤勝信官房長官の自民党選挙区支部は、2014年と2016年に旧統一教会と関連が深いとされる団体に会費を払っていたと「 赤旗」が報じています。また、全国霊感商法対策弁護士連絡会は会見で、20年以上前の調査とした上で、100人以上の旧統一教会員が国会議員秘書になっていたと明かしています。

同性婚、選択的夫婦別姓に反対する理由は存在しない?

ここまで来ると、旧統一協会・勝共連合の政治的主張と、安倍政権の政策がかなり合致していることに気づきます。「美しい国」から始まって、共にまるで中世のような、宗教教義的政治です。

参院選前の6月13日、自民党議員たちに、神社本庁の政治組織「神道政治連盟」の国会議員懇談会で「同性愛は精神の障害で依存症」「同性愛が生まれつきであるというのは誤解」とするLGBTQ差別冊子が配布されたのも、それが宗教的教義ならば驚くことではありません。この懇談会の会長も安倍元首相でした。

同性婚も選択的夫婦別姓も、論理的な反対理由は存在しません。反科学と反知性が露呈します。安倍政治を受け継いだ菅政権が、日本学術会議への風当たりを強めたのもその流れでしょう。

宗教は多く男女の営みに関連する国づくりを端緒に始まります。日本の国生み神話はイザナミの「足りないところ」とイザナギの「余っているところ」が交わることで始まり、旧約聖書の創世記は「産めよ、増えよ」と命じます。イヴはアダムの肋骨から作られ、イザナミは欠損で定義される。男尊女卑と家父長制はここから「教義」になります。「家庭」はそういうものとして構成されるべき。そこに当てはまらないものは全て排除されます。

それが国家に置き換えられると、ジェンダー平等も基本的人権も軽視した家父長的な自民党の憲法改定案になり、アメリカの連邦最高裁の女性の人工中絶権の撤回になります。一事が万事、それがここ一連の自民党右派政治の流れでした。今回の安倍元首相銃撃事件は結果として、そのカラクリを炙り出したのです。

安倍元首相銃撃事件が炙り出した選択的夫婦別姓、同性婚が「論外」とされる理由

連綿と続く日本の「組織選挙」。社会の変化とともにさまざまな組織が弱体化するなか、いまなお生き延びている強固な組織、それが宗教団体だ。政治家はその選挙支援に依存してきた。



北丸雄二

ジャーナリスト、作家

2022年08月03日 19時0分 JST



今月、自民党議員の大多数が参加する議員連盟の会合で、ある冊子が配られた。そこには「同性愛は精神障害で依存症」など、性的マイノリティに関する差別的な内容が書き連ねられていた。



「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」



「(同性愛などは)回復治療や宗教的信仰によって変化する」「世界には同性愛や性同一性障害から脱した多くの元LGBTの人たちがいる」



「LGBTの自殺率が高いのは、社会の差別が原因ではなく、LGBTの人自身の悩みが自殺につながる」



「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」



性的マイノリティの権利保障が一向に進まない日本。その背景には、政権与党である自民党が、同性愛嫌悪やトランスジェンダー嫌悪、性的マイノリティに対して差別的な認識を持つ「宗教」組織によって支えられている実態がある。

広まる差別的な主張

冊子が配られたのは、「神道政治連盟国会議員懇談会」の会合。



全国各地の8万社の神社が参加する宗教法人「神社本庁」を母体とする政治団体「神道政治連盟」、その趣旨に賛同する国会議員により構成される議員連盟だ。



懇談会には、262名もの国会議員が会員として名を連ねており、自民党議員の多くが参加。神道政治連盟は自民党政権に強い影響力を与えているという。



先日の会合で配られた冊子のタイトルは「同性愛と同性婚の真相を知る」。弘前学院大学の楊尚眞氏による講演録のようだ。



冒頭、「今日の講演の目的は(中略)性的少数者を卑下したり、軽んじることではありません。性的少数者の人格、尊厳は尊重しなければなりません」と書かれている。



しかし、そのあとに続く言葉は、明らかに「人格と尊厳の尊重」とは真逆の、ヘイトスピーチや憎悪言説と呼べるようなものばかりだった。



例えば、「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です。」「しかし個人の強い意志によって依存症から抜け出すことは可能なので、同性愛からの回復治療の効果が期待できる」といった主張がされている。



世界には、宗教的な背景から、同性愛を「病気」とし、電気ショックやカウンセリングなどで異性愛へと無理やり“矯正"しようとする「転向療法(コンバージョンセラピー)」が、今なお行われている国がある。こうした処置は著しい人権侵害であり、カナダのように法律で明確に「犯罪」と規定されているところもある。



日本では、このような暴力的な人権侵害行為は確認されていないが、会で配られた冊子では、転向療法を推奨するような危険な考え方が記載されていた。



WHOは1990年に「同性愛」を精神疾患から除外している。「性同一性障害」についても、2019年に精神障害というカテゴリから外す判断を行った。



アメリカ精神医学会は、2007年に「同性愛者への転向治療は効果がない」ことや、むしろ転向療法によって「うつ病、自殺などが増加する」といった指摘をしている。これに対して冊子では「回復療法をしたから彼らがこのような状態になるのではなく、元々彼らは自分たちの内面に様々な問題を抱えていることに起因する」のだと主張されている。



加えて、「LGBTの自殺リスク」について、「自殺率が高いのは社会的な差別があることが原因かというとそうではありません。LGBTは自分自身が様々な面で葛藤を持っていることが多く、それが悩みとなって自殺につながる」と綴っている。



さらにこう続く。学校で教えるべきは「回復治療や宗教的信仰、又は自然に変化していくことがあり、世界には同性愛や性同一性障害から脱した多くの元LGBTの人たちがいるということ」。



性的マイノリティの自死未遂の割合は、非当事者に比べてLGB(同性愛者や両性愛者等)で約6倍、トランスジェンダーは約10倍高いという調査もある。厚労省が委託実施した職場実態調査でも、性的マイノリティ当事者が、非当事者よりもメンタル不調の割合が高かった。これは明らかに、社会の側に性的マイノリティに対する根強い差別や偏見があるからだ。



転向療法が非科学的であり、危険な暴力行為であることは言うまでもないが、性的マイノリティの自殺率が高い原因は、「本人のせい」であるかのような言説に非常に憤りを覚えた。



「同性愛と同性婚の真相を知る」(筆者撮影)

同性愛は矯正すべきという危険な主張

さらにこの冊子では、なぜか社会では「同性愛の要因は"遺伝"である」という認識が一般的だという前提にたち、「実は"遺伝"ではなく"後天的"なものだ」という言説を主張する。



確かに、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学による研究では、同性愛に関する「単一の遺伝子」が存在するわけではないという結果を明らかにしている。しかし、これは同時に、複数の遺伝子の関わりが影響している部分もあり「ゲノムから個人の性的行動を予測することは実質的に不可能」「同性愛の性的指向は、個人が生来の人格として持って生まれる不可分の部分だということは、否定されない」としている。



ただ、ここで問題なのは、同性愛などが「遺伝」なのか「後天的」なのか、という議論そのものではなく、この冊子でされている主張が、同性愛は「後天的」なものだから「矯正すべきだ」という危険な論理が展開されていることだ。



例えば、「同性愛の原因について、家庭環境、特に親子関係に問題がある」とし、「同性愛者の母は、子供と密接な関わりを持つ親密な母や子供に対して過度に統制的で抑圧的な母が多く、同性愛者の父は子供との距離感があったり、敵対的、或いは子供に対して否定的な父が多い」と主張する。



さらに「同性愛を擁護する教育をすれば同性愛者は増える」とし、「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題となる」からと述べている。



同性愛の"原因"が、"家庭環境"にあるとし、同性愛を擁護すると同性愛者は"増え"、"社会を崩壊させる"という論理自体が、明らかに悪質な同性愛者蔑視だ。



「社会を崩壊させる」などと、全く非論理的な主張で性的マイノリティを「スケープゴート」、つまり仮想敵や生贄のように利用し、「家族・伝統を守る」と保守派の支持を集めようとする手法は世界的にもよく見られる。



冊子では最後に、「国連や欧米諸国からも同調圧力がありますが、決して屈することなく、むしろ世界の過ちを正しい方向に導く道徳的な国家になるべきだと思います」と締め括られていた。



「同性愛と同性婚の真相を知る」(筆者撮影)

日本でも「宗教」は大きく関係している

この講演を行った楊尚眞氏はキリスト教学者のようだ。なぜ「神道」の政治団体でこうした言説が採用されているかという点に疑問を感じるが、残念ながら、宗教的な背景からこうした差別的な主張をする人を説得することは非常に難しいだろう。



問題は、明らかに差別的で問題を多く含む言説が、自民党の国会議員が多く所属する議員連盟で、実際に広められてしまっていることだ。



よく「欧米と違って日本は無宗教なのに、なぜいつまでも同性婚が認められないんですか」という素朴な質問を受けることがある。



もちろん政治の領域がシスジェンダー・異性愛者の高齢の男性という"同質"な人ばかりに偏っている、という点も指摘できる。しかし、今回の神道政治連盟国会議員懇談会で配られた冊子からもわかるように、日本でも宗教に基づく差別によって、マイノリティの人権が侵害され続けている状況がある。



参院選で各政党に対し、さまざまなアンケート調査が行われているが、性的マイノリティに関する法整備について、野党だけでなく与党の公明党も含めて年々賛成の割合が高まっている。たとえば、「みんなの未来を選ぶためのチェックリスト-参議院選挙2022-」でも示されているように、「同性婚」については、党として反対なのは、主要政党のなかで今や自民党だけだ。



朝日新聞の調査によると、昨年自民党が提案し、結局自民党内の強硬な反対によって国会提出が見送りとなった「LGBT理解増進法案」を早期に成立させるべきか、という質問に対して、「賛成」は自民党候補者のうち40%。半数を割ったのは自民だけだという。



これは、自民党議員や候補者一人ひとりの認識を変えたら良いというレベルの話ではない。政党の背後には宗教団体があり、その「票」も含めた影響力が強くあるかぎり、または党として性的マイノリティの権利保障を進めなければ票が集まらないという状況にならないかぎり、この現状を打破するのは難しいとも言える。



そしてこれは性的マイノリティの話だけではない。特に選択的夫婦別姓をはじめ、ジェンダー平等や、家族、子育て、福祉をめぐる政策、または歴史教育や安全保障、憲法改正などの論点にも繋がっている構造的な問題でもある。



性の多様性をめぐって、社会の認識は大きく変わりつつある。しかし、明らかに政治領域だけが一向に変わらず、むしろかたくなに変わろうとしない現状がある。



たとえ保守の立場から"慎重"に進めたいという意識があるとしても、政権政党の中で、ここまで非論理的で事実に基づかない、明らかに悪質な差別的言説を、党内の大多数の議員に配ってしまえるような状況には、驚きを隠すことができない。



このまま性や家族のあり方について、差別や不平等を温存し続ける社会で良いのか。日本社会に生きる市民一人ひとりの行動によって、変えていってほしいと思う。

「同性愛は依存症」「LGBTの自殺は本人のせい」自民党議連で配布



松岡宗嗣



一般社団法人fair代表理事

2022/6/29(水) 18:05


開始日

2022年7月2日

署名の宛先

岸田文雄首相 (自由民主党総裁)と1人の別の宛先

この署名で変えたいこと



署名の発信者 LGBT差別冊子の対応を求める 有志

自民党議員の大多数が参加する「神道政治連盟国会議員懇談会」、6月13日の総会で配られた冊子に、性的マイノリティをめぐって、事実に基づかず非科学的・非論理的で、到底看過することのできない差別的な言葉の数々が記載されていました。「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」

「(同性愛などは)回復治療や宗教的信仰によって変化する」「世界には同性愛や性同一性障害から脱した多くの元LGBTの人たちがいる」

「LGBTの自殺率が高いのは、社会の差別が原因ではなく、LGBTの人自身の悩みが自殺につながる」

「性的少数者のライフスタイルが正当化されるべきでないのは、家庭と社会を崩壊させる社会問題だから」


国際的にも同性愛を”精神障害”とする考え方は否定されています。「転向療法(コンバージョンセラピー)」によって矯正しようとする点も、非科学的で暴力的な人権侵害であり、危険な考え方です。

性的マイノリティが自死に追い込まれているのは、社会に根強い差別や偏見が残っているからです。「LGBTの自殺率が高いのは社会の差別ではなく、本人が抱えている悩みのせい」という考えも事実に基づかず、到底許されるものではありません。

これまでも国会議員による性的マイノリティに対する差別的な発言は幾度となく繰り返されてきました。

しかし今回は、「LGBTから"抜け出す"、"治療する"」といった内容の酷さと、自民党の政策に影響を与える宗教団体と、その趣旨に賛同する、岸田首相をはじめとする多くの自民党議員が参加する議員連盟のなかで広げられた言説という2つの点で、これまでの言説と性質が異なります。より問題の根が深く、重い、影響力の大きいものだと考えています。

明らかに非科学的・非論理的で差別的な憎悪言説を広げることは、たとえどんな政党、どんな立場であっても許されるものではありません。

特に、政権与党である自民党の中でこうした言説が広げられていることはゆゆしき問題で、差別を助長し、当事者をさらに追い詰めることになります。

私たちは自民党に対して、以下の対応を求めます。

(1)自民党として、この冊子に書かれている内容を明確に否定し、差別をなくす姿勢を示してください。

(2)これ以上誤った認識に基づく差別的な考えを広めないために、冊子を回収してください。



拡散用URL:http://change.org/tekkai_ldp

※7/22UPDATE:署名の宛先を神道政治連盟国会議員懇談会事務局長の城内実衆議院議員に変更しました。

#自民党はLGBT差別冊子の内容を明確に否定してください


続いて、有田参院議員が講演しました。有田参院議員による主な発言は以下の通りです。



●容疑者の犯行動機は、「旧統一教会への恨み」であることが当初より分かっていたが、マスコミでは「ある特定の宗教団体との関わり」と報道された。その背景にあるのは、各社に「参院選への影響」という「忖度」が働いたからではないか。



●奈良県警に対し現在、「安倍元総理の銃撃と統一教会を結び付けるな」という「政治の圧力」がある。警察発表では、容疑者の「犯行の動機に飛躍がある」としているが、容疑者がある人物に犯行の2日前に送った手紙には「教団に対する恨み」が明確に記されている。



●2021年9月12日、安倍元総理が旧統一教会の関連組織「UPF(天宙平和連合、韓鶴子総裁=旧統一教会総裁)」の行事にメッセージを出した動画を見て、容疑者は犯行を確信したと供述している。



●1959年に日本で教団が設立され、1964年に宗教法人法により東京都により宗教法人として認証された。



●1978年に発表された米下院フレーザー委員会の報告書で、旧統一教会は多国籍企業的側面と準軍事組織的な側面もあると評価されている。また韓国では、宗教的には異端とされ、むしろ経済活動をする「財団」として捉えられている。霊感商法が行われているのは「先祖の因縁という話が使える」ため日本のみ。



●韓国では「朴正煕独裁政権のもとで『反共』による南北統一」を目指し、日本においても「反共」を基本に、冷戦以降は「頭翼思想」(左右の全体主義を排する)の名のもとに、自民党の政治家の中に入っていった。



●オウム真理教事件の後、警察庁の幹部と話をし、「次に摘発するのは統一教会だ」と言っていたが、「政治の力」によりできなかった旨を話していた。



 その上で有田参院議員は、「目に見えているのは霊感商法、献金被害だが、同時に全体像を、歴史的にメスを入れていかないと、統一教会の問題は見えてこない」と指摘しました。



 また、「2世の被害、家族の被害を国会で取り上げてほしい」と強調し、「カルト宗教2世の苦しみ、悩みを聞く体制をつくる必要がある」と訴えました。



 さらに、「メディアの皆さんにもひるむことなく、この問題を取り上げてほしい」と訴えました。
■旧統一教会被害対策本部 役員構成

本部長:西村智奈美衆院議員(幹事長)
本部長代理:吉田統彦衆院議員(消費者部会長)
副本部長:階猛衆院議員(法務副部会長)
副本部長:牧義夫衆院議員(文部科学副部会長)
副本部長:森山浩行衆院議員(内閣部会長)
事務局長:石橋通宏参院議員(幹事長代理)
副事務局長:石垣のりこ参院議員(参院国対副委員長)
      打越さく良参院議員(副幹事長)
      岸真紀子参院議員(政調副会長)

【旧統一教会被害対策本部】旧統一教会に関し有田参院議員よりヒアリング

TAGSニュース
西村智奈美
有田芳生
旧統一教会問題
特集


2022年7月25日





前川喜平(右傾化を深く憂慮する一市民)

@brahmslover

1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った。

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引用



本田由紀

@hahaguma

·

2020年12月1日

https://hbol.jp/184068「下村と統一教会との関係を調べると、同教団系の日刊紙『世界日報』に直近の2年間で3回もインタビューや座談会記事が掲載されており、同紙の月刊誌『Viewpoint』にも転載されていた。」

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午後0:38 · 2020年12月1日

https://x.com/brahmslover/status/1333616540160167938?s=20&t=0Py6ZiT_8So75qulEZoxSA





2020年9月25日(金)

旧統一協会系団体に会費

加藤官房長官 14年・16年に

反社会的活動との関係 説明責任

 菅義偉政権で官房長官に就任した加藤勝信衆院議員が代表の自由民主党岡山県第5選挙区支部が、これまでに複数回、旧統一協会(世界平和統一家庭連合に改称)系の団体に会費を支払っていたことが政治資金収支報告書から分かりました。旧統一協会は霊感商法や集団結婚などの被害が、長く社会問題になっています。加藤氏が閣僚のときにも会費が支払われており、説明責任が問われます。








(写真)(上)旧統一協会系の団体に会費を払ったことが記載されている自民党岡山県第5選挙区支部の2014年分政治資金収支報告書、(下)2016年分政治資金収支報告書

 収支報告書によると、同支部は2014年3月13日と16年3月27日に「会費」名目で、それぞれ1万5000円を世界平和女性連合に支出しています。16年は加藤氏が1億総活躍担当相の時です。

 世界平和女性連合は統一協会の教祖・文鮮明が1992年に創立した団体で、教育関連の講演会や海外ボランティア、留学生支援などを表向きの活動にしています。旧統一協会は同団体を“窓口”にし、信者勧誘や資金集めを展開してきたとみられています。

 旧統一協会が正体を隠して行う「伝道」は裁判でも違法性が指摘されており、その関連団体に会費を支出することは被害の拡大に手を貸すものといえます。

 旧統一協会による違法伝道や霊感商法被害の救済に取り組む全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の山口広事務局長は「公的な立場にある国会議員が旧統一協会の『隠れみの団体』である世界平和女性連合に資金を提供する行為は、霊感商法や集団結婚などの反社会的活動に賛同しているとみなされかねない」と指摘します。

 旧統一協会は、高額な「献金」の強要も問題になってきました。全国弁連が2018年までの32年間に受けた旧統一協会をはじめとするカルト・スピリチュアル団体の被害相談は3万4000件、金額にして1213億5300万円にのぼっています。

 山口弁護士によると、旧統一協会に親和的な国会議員は少なくとも20~30人いるとみられ、それぞれの地元での信者の勧誘で名前が利用されるなどしているといいます。

 全国弁連はすべての国会議員に対し、旧統一協会やその正体を隠した各種イベントに参加・賛同しないこと、選挙で旧統一協会の信者らの支援を受けないことなどを求めています。

 本紙は加藤氏に会費を支払った経緯などを文書で質問しましたが、24日までに回答はありませんでした。

2020年9月25日(金)

旧統一協会系団体に会費

加藤官房長官 14年・16年に

反社会的活動との関係 説明責任

https://web.archive.org/web/20071120233500/http://www.kantei.go.jp/be-nippon/archive/release_0419.pdf







憎いし,苦痛! 「美しい国」

安倍政権発足が昨年の9月26日。それから8日後の10月4日、一通のメールに目が釘付けになった。
送信者は大山勇一弁護士(城北法律事務所)。
「●安倍新政権「美しい国」の本質を見たり!
  憎いし,苦痛! 「美しい国」
 (にくいしくつううつくしいくに)
  回文にすると物事の本質がよく分かります・・」
ウーン、みごと。してやられた。「にくいしくつう」の著作権は彼のものなのだ。
私の知っている限り、「憎いし,苦痛!」がマスコミに出たのはこれ以前にはない。週刊朝日も年明けの号で、「誰が言い出したやら」としている。
大山案をいただいたのは、日民協機関誌の「法と民主主義」12月号。編集後記に当たる「KAZE」の欄に、「回文・美しい国、憎いし苦痛」と大山さんにご登場いただいた。
本日の各紙が報ずるところでは、民主党は次の通常国会を「格差国会」として、この国の苦痛を論点とするという。「美しい国」の本質よ、暴かれよ。
なお、大山さんは回文の達人。靖国の上告趣意書ができたときは、
「くふうこらしかんせい,いいせんかしら,こうふく
(工夫凝らし完成。いい線かしら?幸福)」
と送ってきた。実にいい線行っている。
そのほかにも、
 ●激務の親王妃2人に何が・・・
 「うかつ! 紀子・雅子さま,こき使う」
 (うかつきこまさこさまこきつかう)
 ●安倍総理とタカ派議員の関係とは?
 「改憲・核武装」とうそぶく関係か!
 (かいけんかくぶそうとうそぶくかんけいか)
 ●話し合いではなく,核保持へ向かう中川政調会長の発言にNO!
 「駄目! 中川異端。対話が要(かなめ)だ」
 (だめなかがわいたんたいわがかなめだ)
 ● 活憲か改憲か? 議論百出する中で,膠着状態を突破せよ
 「活憲賛成! かっこいい国会戦,酸欠か?」
 (かつけんさんせいかっこいいこっかいせんさんけつか)
みごとなものだ。2007年01月10日(水)14:21
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日記
澤藤統一郎

https://www.jdla.jp/cgi-bin04/column/sawafuji/index.cgi?date=20070110


 安倍晋三首相の初めての単著である「美しい国へ」(文春新書)を購入して読んでみた。本音を言えば、彼に印税が入ることには協力したくなかったのだが、曖昧な物言いしかしない安倍首相の本音を知りたくて買ってしまった。

 帯には「自信と誇りのもてる日本へ」と書かれてある。経済格差が拡大し、ますます雇用と生活が不安定となる多くの国民、特に若者の不満をそらすために、自己同一化したくなるような強い国家という虚像を提供しているように思える。確かに、安倍は、あとがきで「(本書を)若い人たちに読んで欲しいと思って書いた。この国を自信と誇りの持てる国にしたいという気持ちを、少しでも若い世代に伝えたかったからである」と、執筆の動機を語っている。思い返せば、小泉前首相も携帯電話で電子メールを活用している若者向けにメールマガジンを作成して若者向けにせっせとメッセージを送り続けた。小泉人気を継承したい安倍が、若者の取り込みに躍起となるのも頷ける。

 安倍は、歴史認識についてこのように述べている。「この国に生まれ育ったのだから、わたしは、この国に自信をもって生きていきたい。そのためには、先輩たちが真剣に生きてきた時代に思いを馳せる必要があるのではないか。その時代に生きた国民の視点で、虚心に歴史を見つめ直してみる。」と。「自信」とか「誇り」とか「真剣に」といった感情に訴える言葉を多用して歴史の見直しを唱えているのが本書の特徴である。「真剣に」生きたということをいくら強調しても、侵略戦争の加害者であり加害国であるという事実は消えるはずはないのに。また、安倍は、「国家のためにすすんで身を投じた人たちにたいし、尊崇の念をあらわしてきただろうか」とも述べ、戦死者を誉め称えるべきだと主張しているが、大いに疑問である。政府がなすべきことは、甚大な被害を与えた周辺国への真摯な謝罪であり、若者を無意味な死へ駆り立てたことへの反省であり、戦争被害者に対する補償であるはずである。もし誉め称えられる者がいるとすれば、それは政治弾圧にも負けずに反戦・平和を一貫して訴えた市民たちのはずであるが、安倍が靖国神社への参拝を止めて、彼らの名誉回復に取り組むという話はいまだ聞いたことはない。

 安倍が熱心に若者の支持を取り付けようと虚言を弄しているにもかかわらず、世論調査によれば、小泉時代に比べると若者の支持率が急低下しているそうである。やはり若者は敏感なのだ。「改革」に痛めつけられた世代は矛盾が拡大しつつあることに気がつき始めている。

 私は自分の国を「美しい」と形容する安倍のようなナルシストにはなりたくない。歴史の暗部を美化し、不都合な点を微化している本書と安倍の言動はこれからも厳しく批判されなければならない。


(弁護士 大山勇一)

https://www.jdla.jp/houmin/2006_12/kaze.html