痛みを共有できる女性議員が増えてほしいパリテ・キャンペーンパリテ・キャンペーン2021年4月9日 08:29 PDF魚拓



戒能民江(お茶の水女子大学元教員)

世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数2021が発表された。日本は前年より一つランクを上げたが120位(156か国中)にとどまり、いつもと同様、「主要7か国中最下位」と報道されていた。しかし、このニュースの持つ意味を、どれほどの政治家や企業経営者が、建前だけではなく、真剣に受け止めているだろうか。報道で取り上げても、最後は、個人の性別役割分業意識の問題にすり替えられてしまうのはなぜか。

私が女性議員の増加によって女性議員のパワーが発揮され、その結果、政策が動くことを実感したのは、2001年DV防止法制定と2004年の第一次同法改正時である。

1998年7月実施の参議院選挙で女性議員が20名当選し、参議院議員総数252名中(当時)17%を占めるに至った。当時、男女共同参画社会基本法の審議が大詰めを迎えていたこともあり、参議院では早速、「共生社会に関する調査会」(共生社会調査会)が設置され、「男女共生社会の構築」を課題に掲げた。具体的には「女性に対する暴力」と「女性の政策決定過程への参画」が審議されることになったのだが、二つの重要なテーマが選ばれたのは、参議院選挙での女性議員の躍進とNPO出身の議員の後押しがあったからである。結局、男女共同参画審議会答申では、政府提案によるDV防止法立法化の方針は取られず、共生社会調査会による議員立法としてDV防止法は2001年4月に成立した。

2004年第一次同法改正では、女性議員がイニシアティブを取った議員立法であることが生み出す政治のダイナミズムを経験することができた。DV防止法改正を求める市民たちのネットワークと国会議員の連携があったからこそ、当事者や支援現場の声を反映した法改正を獲得することができたのだ。

これは後日知ったことであるが、2004年のDV防止法改正過程で実質的な議論の場となった「意見交換会」(国会議員、関係省庁、支援団体や当事者が参加して国会内で年7回実施)の開催は女性議員のアイデアであったという。「意見交換会」では当事者や支援者とともに政策形成をめざすという女性議員たちの姿勢は決してぶれなかった。議論を重ねることによって、「暴力No」は人間の尊厳を取り戻すことだという確固たる信念が市民と議員の間で共有されていったからである。

女性議員があまりにも少なすぎる。政治の世界における男性型思考を切り崩し、痛みを共有しあえる女性議員を少しでも増やすことが、私たちの課題ではないだろうか。

https://note.com/parite5050/n/n6c5595dab741
痛みを共有できる女性議員が増えてほしい

パリテ・キャンペーン

2021年4月9日 08:29