女性にやさしい漢方薬 ①
登録販売者、上級漢方養生士、医薬品販売業者の
織田 縁です。
今回は女性特有の不調を改善する漢方薬をいくつか紹介したいと思います。
以前も『月経困難にまつわる症状には・・・・』という内容で
書いたことがありました。
それ以降も『薬膳茶からはじめる体質改善プログラム』等で、カウンセリングをしていますが、
月経のトラブルや更年期の不調に悩んでいる40代以上の女性がとても多いことに気づきました。
漢方は、女性の『血の道症』(月経や、更年期、閉経などのまつわる症状)や病名が付く前の何となく不調、の症状を改善すること、が得意分野です。
必要なときには薬選びの選択肢に入れられるように、と思い、再度月経トラブルを改善する漢方薬の話をします。
月経痛のための漢方薬
40代前半の女性が相談にいらっしゃいました。(※ご本人の許可を得て体験談を載せています。)
彼女は毎回月経痛があり、それは痛み止めを飲まないと日常に支障があるほどの激痛ということでした。
月経痛以外には、「霜焼け」、「しみ」の症状があり、質問事項にも答えてもらった結果、『瘀血』症状があることがわかりました。
『桂枝茯苓丸』と『当帰芍薬散』のどちらかを処方として考えました。
そのとき、冷え症状が強く、顔色がとても白かったので、ただ、活血作用を求めるのではなく、血を補い、気を補い、水を巡らせて排出してくれる、『当帰芍薬散』を選んで処方しました。
体感として、重だるさ、疲労感が軽くなったようでしたが、霜焼けがなくなったり、月経痛が止まったりすることはありませんでした。
顔の肌ツヤが良くなって、体内の巡りは良くなったのでしょうと私は見ましたが、月経痛改善が目的ですので、次に『瘀血』を改善する、『桂枝茯苓丸』を処方しました。
これは、活血を中心に、身体を温めて体内の湿を出すという作用があります。
体は疲れにくく楽になったとのことでしたが、月経痛は残っていました。
処方した後は、合間合間に様子を伺っているのですが、
話の中で、よくイライラしたり怒りっぽくなったり、頭が熱くなるようなことがある、というお話をされました。
ペーパーの質問項目では、そこまでのことはわかりませんでした。
この話から、『肝』の疏泄がうまくいっていない、という判断をし、上がった肝の気を下げて鬱結を正し、精神不安やイライラ感、怒りの感情を改善してくれる『加味逍遙散』を処方しました。
『加味逍遙散』を飲み始めてすぐに、「月経痛は鎮痛薬が不要なほど和らぎ、頭痛も落ち着き、霜焼けもなくなったし、精神的にも楽になった」と、報告を受けました。
月経痛で月のうち一週間は辛くすっきりしない時間をすごしていらしたし、肝の疏泄がうまくいっていないことで、瘀血になり、自律神経が乱れることでこの先の様々な病気の種を未然に摘んだ可能性もあります。
良かったです!
このように、いくつか試して、やっと目的を達成することもあります。
ですが、当帰芍薬散から始めた漢方薬は、決して無駄ではないと思います。『当帰芍薬散』も『桂枝茯苓丸』も効能のある婦人薬ですから、活血したり、水の巡りを改善したりして体内生理の改善をしていたはずです。
彼女は現在も『加味逍遙散』を使っていて、月経痛がかなり軽減され、気持ちも楽になったということです ♪
『心身一如』
漢方には『心身一如』という考えがあります。
身体と精神は一体であって分けることができない。
身体と心の在りようが健全でこそ、まるごとの健康である!ということですね。
気血水、五臓に不具合が起きれば、精神にも影響しますし、
心の在りようが不健全であれば、気血水、五臓にも悪影響が出ます、という意味でもあります。
『心身一如』の考えを持つ漢方では、ホルモン、自律神経が、感情に影響を与えて起こる不調の改善も得意としています。
ご自分に合った、漢方薬、生薬を見つけて、心身が楽になる人が増えたら好いな~と思っています。
下に、今回出てきた漢方薬の名前とざっくりの内容を記しておきますね。
当帰芍薬散
当帰、芍薬、川きゅう、白朮、茯苓
血虚・お血、水滞
〇血虚で、水が停滞していることで起こる女性の様々な症状を改善
〇活血作用おだやか →妊婦さんも可 婦人科で一番出される
◇冷え性で貧血傾向 疲れやすい 頭重 めまい 肩こり 耳鳴り 動悸 月経痛 更年期障害 しもやけ むくみ
桂枝茯苓加ヨクイニン
桂皮 茯苓 牡丹皮 桃仁 芍薬 ヨクイニン
お血 水滞
〇活血しながら 身体を温めて体内の湿を出す
◇お血水滞による子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、不妊症、月経痛 皮膚のトラブル シミ しもやけ
桃核承気湯
桃仁 大黄 桂皮 芒硝(硫酸マグネシウムor硫酸ナトリウム 甘草 )
お血
〇桃仁と大黄が血を動かしてしゃげ作用を効かせる
(お血がひどくなると 熱を持ち 便秘 熱があると煩躁不安に 便秘解消目的で ない)
◇おけつによる、子宮内膜症、子宮筋腫、月経痛、卵巣嚢腫 頭痛 めまい 肩こり
加味逍遥散
柴胡 当帰 芍薬 茯苓 白朮 甘草 生姜 薄荷 牡丹皮 山梔子
気滞 血虚 おけつ
〇肝に作用 肝の鬱結を流す
〇熱がこもり血、水を消耗しているのを解消 (のぼせ、怒りっぽい)
◇月経前緊張症(PMS) 更年期障害 などによる精神的な症状のある人
疲れやすく のぼせ 肩こり 精神不安 いらだち 便秘傾向
不眠症
この内容は、Spotifyのラジオで配信しています。
よろしかったら、聴いてくださいね。
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