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掃除機が壊れたら?“脱北者の反応”#43

約1ヶ月前、我が家の掃除機のヘッド(先端のゴミを吸い込む部分)が壊れました。本体部分は異常がないのに、少し前まで機嫌よさそう(?)に回転していたヘッドのローラーが、うんともすんとも動かなくなってしまったのです。

あの有名ブランドDys○nのもので、看護師になってまもなく購入した思い入れのある家電でした。

さて、ここで質問です。こういう時、みなさんだったらどうされますか?

何通りか方法が思い浮かびますね。
① 掃除機を丸ごと新しくする
② Dys○nにヘッドを修理に出す
③ ヘッドだけ新しくする(純正品ver.)
④ ヘッドだけ新しくする(安物で代用ver.)
⑤ 中古のものを購入する
⑥ 自力で修理する

以下、我が家の検討状況を振り返ってみます。

① 掃除機を丸ごと新しくする
⇒愛情を持って使っていた、まだ使える(かもしれない)掃除機を手放さなければなりません( ;  ; )

② Dys○nにヘッドを修理に出す
⇒保証期間がとっくに切れているので、「買い替えた方がマシじゃん」と思わずつぶやく程度には修理代が高くつきそうですよね😱
朝鮮半島には「子どもよりヘソの緒のほうが大きい」ということわざがあります。本来の目的物より、付属するものの方が高くついてしまうときに使うことわざです。まさにこういう時🤓

③ ヘッドだけ新しくする(純正品ver.)
⇒純正であればそれなりの金額を覚悟する必要があります。本体がどれくらい保つか分からないのに投資できないと判断。

④ ヘッドだけ新しくする(安物で代用ver.)
⇒値段が正規品の数分の一だったので”ありがとう中国”と感謝しながら、試してみました。…が、回転する音が変だったり、回転したりしなかったりと掃除に集中できません。
旦那は「だいぶ付き合い方がわかってきた」とか訳のわからないことを言ってましたが、私が耐えられず即お別れしました😂

⑤ 中古のものを購入する
⇒メルカリやヤフーオークションなどで、型番を調べて検討しましたが、他家の埃を吸っていたことを考えると気が進まず。

掃除機が壊れただけでこんなに選択肢があるってすごいですね。
とはいえ、どれを選んでも一長一短。選択肢が増えた現代は、本当にストレス社会だとよく分かる事例だと思いました。

さて、こういう時に脱北者である私の選択はどうなるのか…

私が選んだのは”⑥自力で修理する”でした!

どうしてこうなったのでしょうか?
それは私が育ってきた北朝鮮では、ちょっとした家電の故障は自力で直してしまうことが多いからです。

北朝鮮で育った男性は生活上の必要に迫られて、ちょっとした家電の修理や電気工事のスキルを自然と身に付けます。

電気工事の中で多いのは近くの工場の電気を盗むことでしょうか。目立たない細い電線を伸ばして、工場の電気を自宅に横流ししてしまうのです。知らないうちに途中の家がこっそり便乗しているケースもあって、喧嘩になる場合も😛
北朝鮮の家庭において電線は生活必需品。ほぼ常備されています。

私は小さい時から家電の修理などに関心があり、よくお父さんの手伝いをしたり、自分で直したりしたことがありました。

男性の家電修理や電気工事は、女性でいうと”裁縫”になります。北朝鮮で暮らすほとんどの女性は編み物と縫い物ができるのです。

例えば、洋服の裾上げは自宅でやります。靴下に穴が開いたら買い換えるのではなく、塞いで使い続けます。靴下の指先や踵部分によく穴が開いてしまうので、使えなくなった電球を靴下の中に入れて縫う様子は、どの家庭でも多くみられる風景でした。

さて、掃除機のヘッドを直すには専用の星型ドライバーが必要だったため、Amazonでポチりました。

ドライバーが届くまでの間に、YouTubeでDys○nのヘッドを修理する動画を視聴。私はYouTubeがある便利な時代を生きていて幸せだと度々思います。

私の本業は看護師ですが、久しぶりに対応する看護ケアの方法について動画で勉強するときもありますよ。

注文したドライバーは、私がAmazonプライム会員のため当日配達になり、準備は整いました。
(※Dys○nではヘッドを分解修理することは推奨していないとのことです。保証期間中は避けるのが無難かと)

さて、ヘッドを分解すると、回転モーターに繋がっている電線が2本とも切れているのを発見💡これくらいでしたら私でも直せるのでラッキーでした♪

実際に断線した部分を繋げようとしたら長さが微妙に足りないんです。そして気づきました、手元に電線のストックがないことに(*_*)
「そうだ…ここは日本だった。電線なんて家に常備しているのは北朝鮮だけだ…」と。北朝鮮の常識は日本の非常識です。
ここ最近で久々にカルチャーショックを受けた一幕でした。

しかし、ここであきらめることはできません。
なんとしてもヘッドを直して、中国製の代用品を使い続けようとした旦那に「ほら、すごいでしょ」とドヤ顔したいのです。

探してみると、豊かな日本の家庭(我が家)にはたくさんの資源があることがわかりました。
これまた断線してしまったスマホの充電ケーブルを発見し、その中の電線を再利用することにしたのです。電線を繋いでビニールテープで補強するくらいは慣れていて「冷めたお粥を食べる」(朝鮮半島のことわざで”とても簡単なこと”の意)ほど簡単でした。

予想した通りヘッドの機構自体は壊れておらず、断線を繋ぐだけで見事にヘッドは回転し始めました。

こういう時、北朝鮮で培われた力…あえて言葉にするなら、現代人が失ってしまった”生活力”のようなものが活かされるように感じます。(旦那から”何世代か前の人だよね”と言われます)

その日の夕方、帰宅時に元通り収まっているヘッド(修理・清掃済み)を見た旦那が、おあつらえ向きに「ヘッド買ったの?」と聞いてくるではありませんか。さすが我が旦那、偉いぞ。
すかさずドヤ顔で「直したのよ」と言ってやりました😊

このヘッドがいつまで保ってくれるかわかりませんが、(他の家庭よりいくらか長いかもしれない)天命を全うするその日まで、共に歩んでいくつもりです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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