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サブブランドを設立、全価格帯のカバーが中国EVの主流になるか

中国製EVというと、ミドルとローエンド市場をターゲットにし、低性能で安い車といった特徴のメーカーが多い。

世界各国に車を輸出し、中国EVメーカーの代表格とも言えるBYD(比亚迪)も20万元前後のミドルレンジの車販売に特化している。その一方で、数は少ないがNIO(蔚来)のような高級路線を歩む中国メーカーも存在する。

しかし、近年は中国市場のEVメーカーがお互いターゲットとする市場に進出。ハイエンドとローエンドをカバーする路線がトレンドになっているようだ。

NIOがローエンドへ、BYDがハイエンドへ進出

中国EV市場では、10万元(約197万円)と30万元(約591万円)を区切りにローエンド、ミドル、ハイエンドと分けられている。テスラとNIOは高級市場をターゲットにしており、BYDやXpeng(小鹏)は、10~30万元のミドルレンジに注力している。SGMWは、ローエンド市場向けで、3万元前後の格安小型EV車を販売している状況だ。

▲中国市場のEV価格帯(筆者作成)

現在、この図にある複数のブランドがターゲット市場を広げる動きを見せている。

Xpengは、高級市場向けである50万元以内のモデルをリリースする計画を発表し、BYDも販売価格50~80万元を予定とする高級ブランドを新設することを発表。

一方で、これらメーカーがハイエンドへ進出する動きと反対に、テスラが一部モデルの値下げを行い、中国市場での販売台数を伸ばしてきた。NIOに関してもローエンド市場向けに、販売価格を10万元とするサブブランドを打ち出す計画だと報じられている。

そもそも、NIOは創業から高級路線を堅持してきた。創業者である李斌も以前、「十数万元のEV車なら、すでに優れた中国ブランドが存在しているが、30~50万元の価格帯では有力な中国ブランド存在しない。我々はこの市場へチャレンジするため、低価格の車は出さない」と高級路線を強調していた。そんなNIOが今回、態度を変えてローエンド市場進出を決意したのだ。

中国EV市場の競争が白熱化している現在、メーカーの販売台数ランキングは月ごとに変わっている。絶対的優位性を保つブランドはまだ確立していないため、今後どうなっていくか、楽しみである。


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