中国バイトダンスが勤務時間を短縮 IT企業の働き方改革
先日ネット上でTikTokを運営するバイトダンスが「1075」制度(朝10時〜夜7時まで、週5日働くこと)を実施するというニュースが大きな話題になった。
バイトダンスやライバル社の快手(kuaishou)、テンセントを含む多くの大手IT企業は以前、同時期に「大小週」(週休1日、週休2日を交互に取る制度)を廃止しており、IT業界で勤務時間の短縮という一種のブームが起きたかのように見える。
競争が激しいIT業界で「大小週」が一般的なのは有名な話であり、ネット上では廃止した理由などについてそれぞれ推測を立てて、議論を過熱化させていた。
一体IT企業全体で何が起きているのか。
長時間勤務への批判
「大小週」以前に、実は中国では「996」という社会問題が根付いていた。
「996」とは朝9時から夜9時まで、週6日働くことを指しており、中国の2019年の十大流行語にも選ばれているほど有名なワードである。
2016年、求人マッチングサービスの58同城が「996」制度を取り入れたことが初めてこのワードを表舞台に立たせた。
当時、中国版ツイッターの微博(weibo)では「58同城」のこの行為に対する批判が噴出し話題になっていた。
その後もソースコード管理サイトのGitHub上で中国の「996」企業を網羅したリストが公開される、アリババグループ創設者のジャックマーが「996は福祉である」という旨の意見を話し議論を呼ぶなど、「996」に関する話題は尽きない。
「996」やそれに続く「大小週」などの労働問題はIT業界に止まらず、多くの職場で見られ始め、現代中国の若者たちはネットで不満を噴出させていた。
いつしか流行語として努力したりせずにダラダラと毎日を過ごす「躺平」(寝そべり)という概念の言葉も現れ始めた。
そんな現象が日に日にひどくなり、中国当局からも「996はれっきとした違法行為である」という主旨の声明をあげ、企業に対し改善を促した。
IT企業今後の動き
育児、住宅ローンの負担を抱える者たちにとって、「996」で得られる給料は魅力的であったものの、過酷な労働環境に若者たちの疲れはとうにピークを超え、消費意欲も下がり続けてきている。
IT企業が今年から一斉に「大小週」を取り消し、残業の申請制度に取り掛かり始めたのも、こうした勤務体制に限界を感じ始めたからだと考えられる。
今後はさらに多くの企業が働き方を見直し、勤務時間だけでなく労働環境や福利厚生の改善にも手を加えることになるだろう。
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