【ライブコマース】Douyin ECの仕組みを読み解く
中国のネットショッピング利用者が7.1億人に達し、2021年6月時点でネットショッピングの利用率は初めて80％を超えた。
この競争の激しいEC市場において、抖音（Douyin）は興味EC（インタレストコマース）を提唱し、淘宝（タオバオ）や京东（JD）等のECプラットフォームとの差別化を図った。
興味ECは新しい概念であり、一体どんなものか？従来のECとの違いは何か？
今回は「興味ECは生活を豊かにする」ということについて説明をする。
抖音電商（Douyin EC）の現状
興味EC（インタレストコマース）とは
抖音電商の状況をより理解し、分析するためには、まず興味ECの概念を明確にする必要がある。
抖音電商の総裁は「興味ECとは、人々がより豊かな生活への憧れに基づき、ユーザーの潜在的な買い物への興味を満たし、消費者の生活の質を向上させるためのEC」と定義している。
この言葉は難しいかもしれないので、例え話をしよう。
淘宝や京东のような従来のECプラットフォームが大型ショッピングモールだとすると、出店企業はショッピングモールにあるカウンターや店舗に該当する。
抖音は「あなたが目的もなく東京の街をぶらぶらしている時に、人混みの中から曲がり角の目立たない路地にあるオシャレなカフェを発見したとする。あなたはすぐに興味を持ってお店に入り、運ばれてきたコーヒーからかつて感じたことのない芳醇な香りがした。一口味わってみると、自分はこの味が好き！であることに気付くようなこと」である。
これが興味ECで、あなたの好みを知っていて、時にはあなた自身よりもあなたを知っている。
抖音電商とモール型ECとの違い
中国のECといえば、真っ先に淘宝（タオバオ）や京东（JD）などのモール型ECを思い浮かぶだろう。抖音電商は新進気鋭のECとして現れたが、多くのブランドからの理解はまだ少なく、初期は比較的に大きい心配と懸念があった。
今回はまずモール型ECと抖音電商に関するデータと市場規模を把握しよう。
淘宝系は53％の市場シェアで、依然として中国EC市場の半分以上を占めている。京东と拼多多はそれぞれ20％と15％のシェアを占めている状況。
上記の3つのモール型ECは代表的なECプラットフォームであり、合計で80％のシェアを超えているが、抖音電商はたった5%のシェアしか占めていない。
ただし、我々は興味深い現象を発見した。淘宝が2022年に発表した21年の決算報告書と季報によると、淘宝は設立19年以来、初めて四半期のGMV（流通取引総額）が下落した。決算報告書によると、アリババは第4四半期の売上高は前年同期比9％増の2040.5億元、前期比1.6％減少、今期において、淘宝/天猫のGMVは前年同期と比べて1桁台の増加だった。
対して抖音は、市場シェア5％しかないが、急激に成長しており、巨大な潜在力を持っている。
抖音電商総裁の魏雯雯は「抖音電商のデータによると、内容コンテンツ以外に、商品検索は前年同期比217％増加した。今年、プラットフォームの店舗の閲覧数は279％増加し、抖音商城のGMVは3.2倍増加した。その中には大きなチャンスがある。」と説明している。
抖音電商運営の仕組み
抖音の興味ECを理解したうえで、抖音電商の仕組みを深堀してみよう。
a、 消費者視点からすると、興味ECとは潜在ニーズ発見の過程である
この言葉の意味とは、「まだ何を買うかを考えていない段階で、偶然見かけた夏用の半袖のTシャツが気になり、突然もう夏になったことを思い出す。昔購入したTシャツは古くなったし、今年はまだTシャツを買ってなくない？と思い、必要性を感じて注文をする。」ことである。
b、 店舗視点からすると、興味ECは供給増加の過程である。
この言葉を簡単に言うと、「商品の特性とユーザーの興味ニーズを効果的にマッチングさせ、商品の露出率を促進し、非人気で知名度の高くない商品でも、受け入れてくれるターゲットを探し出し、販売促進に繋げる。」ことである。
c、抖音視点からすると、興味ECはユーザー商品と商業商品のバランスを保つ過程である。
簡単にこの言葉を説明すると、「団体旅行をユーザー商品に例えると、その中のショッピングのプログラムは商業商品に該当する。通常ユーザーは旅行中にショッピングのプログラムを入れることに反感を持つが、興味ECはこの両者のバランスをとることができる。例えると、免税店でのショッピング。なぜならユーザー自身がこの類のショッピングに興味を持っているため、このような過程ではユーザーはニーズが深いレベルで満たされたことに喜びを感じる。」ことである。
d、 ECの視点からすると、興味ECはデジタル商業チェーンの再統合の過程である。
ECはこれまで単一の存在ではなく、完全な生態が支えているからこそ持続可能である。抖音はメーカー、ブランド、ＭＣＮ，プロバイダ、KOLと消費者などがすべて参加しているからこそ、成り立っている。
抖音電商の現状
2021年4月に開始した抖音電商のGMVは3.2倍の成長を実現し（下図参照）、抖音電商の出店企業数は165％増加し、累計販売商品数は百億件突破した。
抖店（Douyin 店舗）GMVの成長は明らかで、1年以内に50倍に増えた。
2022年5月31日に抖音電商がコマースサミットを開催し、商業的価値と社会的価値から見て、抖音電商はブランドとメーカーに成長をもたらし、過去1年間（2021年5月－2022年4月）に抖音電商の出店企業が急激に増加し、1200を超える企業の年間販売額が100億元を超えた。そのうち、134企業が新鋭ブランドであり、抖音電商はブランドと出店企業に確かな「成長力」をもたらした。
なぜ抖音電商を選ぶのか？
● 多様なコンテンツの組み合わせ、豊富なショッピングモール、消費者へのアプローチ
抖音プラットフォームは消費者の異なる購買心理と意思決定習慣に基づいて、2種類の主要モードがある：短尺動画またはライブコマースに消費者が触れた直後に購入に至る場合、消費者は受動的に商品に触れることは「商品→人」、これが興味ECの基本である。
その後、消費者は一定の買い物で経験を積んだことで、能動的な情報検索で商品に対する理解を増やすことができる。これが「人→商品」である。抖音プラットフォームにおいて、短尺動画、ライブコマース、抖音店舗、検索、この4つのフィールドが「商品→人」と「人→商品」の双方向の消費経路を完全にカバーする。
4つのフィールドは相互にリンクしており、消費者は異なるフィールドで自分が必要とする情報をスムーズに取得ができ、購入の意思決定を促す。
これは抖音が自分のビジネスに対して理性的な思考を持っており、DAU（日間アクティブユーザー）6億のユーザーを抱えるプラットフォームとして、どのようなビジネスモデルを選択するのは非常に重要で、もしユーザーに価値を提供するという基礎に基づいてなければ、そのビジネスモデルはすぐに困難に直面するだろう。
● コンテンツの開発、供給側に新商品開発の機会を与える
爆発的人気を引き起こすブランド能力があるかどうか、検証を行うことができる。また、抖音の出店企業はコンテンツのトレンドの中から新しいビジネスチャンスを捉え、コンテンツ主導のモノづくりのアイデアを生み出すことができる。
市場の需給関係は、出店企業が商品選定する上で重要な判断材料となる。抖音電商において、出店企業は商品の需給変化でなく、コンテンツの需給変化を通じて商品のチャンスを察知することできる。また、コンテンツを通じて消費者の視聴、インタラクティブ、リツイートなどの数や比率から判断・分析ができる。
抖音電商の取り組み方
抖音電商を上手く運営するには，抖音の販売チャンネルとプロモーションを理解する必要がある。まずは販売チャンネルについてお話するが、抖音の販売チャンネルは大きく分けてライブコマース、短尺動画、検索の3種類に分けられる。
● ライブコマース
現在、抖音で最も一般的で主要な販売チャンネルである。通常は達人（インフルエンサー）ライブと自社ライブの2種類に分けられ、テレビショッピングに似ているが、ライブコマースはリアルタイムで消費者（視聴者）は販売者（出店企業またはインフルエンサー）とコミュニケーションをとりながら商品の購入ができるため、消費者に親近感と一体感を与える。
ライブコマースはまさに*「人/モノ/場所」モデルである。「人/モノ/場所」モデルは、人（販売者、消費者）とモノ（商品）はポイントなる。もし場所（ライブルーム）に革新的なものがあれば、より良いだろう。
*「人/モノ/場所」は新零售（ニューリテール）に影響する3つの重要な要素
● 短尺動画
短尺動画は抖音アプリを開けると最初に触れるページのことであり、抖音の核心で最重要な礎である。ほとんどのサービスが短尺動画を中心に展開している。
口頭による商品説明、実際に使用されるシーンの撮影、世界観の工夫は、視覚と聴覚を通じてユーザーに触れ、商品に新しい価値を与える。
● 検索
キーワード検索機能が強化され、ユーザーのトップページを通じて動画を開くと、動画の上部に検索ボックスが表示される。ほとんどの場合、この検索ボックスには、動画の内容、口頭説明した内容、テキスト内容に基づいて検索おすすめワードが形成される。
さらに抖音小店（Douyin 店舗）のトップページには、新に検索アイコンが設置され、ユーザーはキーワードを通じて自分の必要とする商品の情報を検索することができるようになった。アカウントの推荐橱窗（おすすめページ）において、検索機能に検索結果を分類する機能が追加され、全体的に淘宝に似ている。
まとめ
抖音の短尺動画は大変興味を引くものがあり、面白くかつ持続性があり、より自然に受け入れられるため、短期的なコンバージョンを促すことができ、非常に大きいビジネスチャンスである。伸び続ける売上は興味ＥＣ中心の経営モデルに価値があることを証明している。
中国のライブコマースの市場規模は2億元近くある。年の伸び率は90％に達し、短尺動画、ライブコマース関連のユーザー規模は増加傾向にあり、その中でもライブコマースのユーザーは24.3％増加している。また、Bytedance系列の商品の月間アクティブユーザーは15億人を超えた。
ライブコマースの持続的な発展に伴い、抖音電商は成長し続け、多くのブランドがマーケティングを行うプラットフォームとなった。若いユーザーが主な消費者層であり、カテゴリーはより多様化している。潜在力のあるカテゴリーとして、地元の関連サービス、医薬保健、３Cデジタル、家庭用品、自動車、マタニティ用品があげられる。
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参考文献：
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2、https://wenku.baidu.com/view/f05b41e61a5f312b3169a45177232f60ddcce729.html
3、https://www.163.com/dy/article/H8DD0OAJ0514BOS2.html
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5、https://www.shangyexinzhi.com/article/4477531.html
6、https://xueqiu.com/9061162584/198692500
7、https://www.sohu.com/a/397037157_120043776
8、http://www.100ec.cn/detail--6612410.html
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