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【第2弾】 中国IP(知的財産)コラボ十選!!

IPとは

IP(Intellectual Property)は直訳すると「知的財産」になる。中国では映画やマンガ、アニメ、ゲームだけでなく、ブランドや人物、イベントなども含まれるため、その範囲は非常に広い。

一定のファンと知名度を持つIPとコラボすることで、ブランドに新規顧客の獲得や認知度向上、売り上げ増加などの効果をもたらすことができる。

中国ではそうしたIPコラボが2015年の頃から若者を中心に人気を博しており、ファッションやコスメ、飲食品など様々な業界でみられるようになった。

前回に引き続き、チャイトピ編集部は今年1~4月の面白いIPコラボ事例を10個選出し、ご紹介したいと思います。

1. レイズ × POP MART

米ポテトチップス大手の「レイズ(Lay’s)」が中国フィギュア大手・「POP MART」とコラボし、春季限定のポテトチップスを打ち出した。味はマツタケ、桜エビ、黒トリュフの3種類。

▲  期間限定のポテトチップス三種(レイズのweibo公式アカウントより)

また、5,000個と数量限定のPOP MARTオリジナルIP・「小甜心」のコラボ限定版フィギュアも袋の表面にモデルとして登場していた。

さらに、4月には外観から内装まで同コラボ一色となったラッピング高速鉄道(新幹線に当たる)も登場し、両者のコラボを大々的に宣伝していた。

▲ ラッピング高速鉄道(レイズのweibo公式アカウントより)

 米飲料・食品メーカーの「ペプシコ(PepsiCo:ペプシコーラなどを販売)」傘下のレイズは、1993年に中国進出を果たしてから現地で絶大な人気を誇っている。ロンドンに本部を置く市場調査会社・「Euromonitor International」によると、2017年の時点で中国における同社の市場シェアは45%と先頭を走っていた。 

そして、今回コラボの対象となった小甜豆はPOP MARTが2020年9月に打ち出したオリジナルIP。フィギュアの発売を重ねて人気は徐々に高まっていった。

2. 周生生 × カードキャプターさくら

中国ジュエリー大手の「周生生(Chow Sang Sang)」は「カードキャプターさくら」とコラボしたブレスレットを打ち出した。

作中に登場したキャラクターの「ケロちゃん」、「スッピー」、「モモ」をデザインとした3種類のブレスレットがあり、純度99.0%の足金を素材としている。

▲  コラボ製品のブレスレット(周生生のweibo公式アカウントより)

また、主人公・「さくら」が作中に使用していた道具、「夢の杖」と「フライトカード」がデザインの金のネックレスも登場。

▲  コラボ製品のネックレス(周生生のweibo公式アカウントより)

周生生は1934年に設立された老舗ブランドであり、実は1995年には日本の超人気作品「ドラえもん」や「セーラームーン」、「クレヨンしんちゃん」とのコラボ製品を打ち出していた。

現在でも「トムとジェリー」、「ハリーポッター」、「ワンピース」などとコラボし、若者に焦点を当てたコラボ製品を打ち出している。

 カードキャプターさくらについては、特にアニメを子供の頃の思い出と語る中国人もおり、中国で昔から人気を寄せている作品だ。2020年から上海、北京、広州と同作品の原画展示会が次々と開かれ、大勢のファンが訪れていた。

3. 奈雪の茶 × RED

中国の大人気ティードリンクブランド・「奈雪の茶」が口コミECアプリの「小紅書(RED)」とコラボし、さつまいものドリンクを打ち出した。REDではユーザーのことを小红書の中国語発音とかけて、「小紅薯(さつまいもちゃん)」と呼んでいるからだ。

 ラインナップは「さつまいものティードリンク」と「さつまいものラテ」の2種類となっている。付属する数量限定の紙袋とコップのカバー、シールにはREDのマスコットキャラが様々なコスチュームで登場している。 

▲  さつまいものティードリンクとラテ(奈雪の茶の公式weiboアカウントより) 

実は同時期に、REDはユーザー向けに期間限定でさつまいもをプレゼントするオフラインイベントを行なった。冷え込む真冬に暖かなさつまいもを手渡すことで、ユーザーとのつながりを強化し、自社のIPを最大限に活用していた。 

コラボ相手である奈雪の茶は近年事業の多角化を狙っており、様々な種類の店舗を展開している。中でも特にコーヒーやケーキなどを取り揃えた店舗・「奈雪の茶PRO」に注力しており、今回打ち出した「さつまいものラテ」はPROでしか購入することができない。

4. Holiland × ウルトラマンティガ

中国の人気ケーキブランド・「Holiland(好利来)」が「ウルトラマンティガ」とコラボし、原作のシーンを再現したケーキを3つ打ち出した。 

味は「オレオチョコ」と「ブラックチョコ・シーソルト・チーズ」の2種類となっており、ケーキにはウルトラマンティガのフィギュアが付属している。このほかにも、誕生日ケーキのギフトボックスなどを打ち出していた。

▲ ウルトラマンティガのコラボケーキ(Holilandのweibo公式アカウントより)

Holilandは中国で1000店舗近く展開するブランドで、「ポケモン」や「鬼滅の刃」、「アナと雪の女王」、「LINE FRIENDS」とのコラボケーキを打ち出している。

▲ コラボケーキ(Holilandの公式サイトより)

中国ではウルトラマンティガは大人を含めて人気の根強い作品だ。中国の人気動画プラットフォーム「ビリビリ(bilibili)」では中国語版の再生回数は1億回以上を突破し、また、国内最大級の映画・ドラマレビューサイト「Douban(豆瓣)」でも9.5(10点満点)の高評価を獲得。

5. bilipods × 鬼滅の刃

ビリビリ(bilibili)が今年3月にイヤホンブランド「bilipods」を正式に公開。 それと同時に、「鬼滅の刃」とコラボしたワイヤレスイヤホンを打ち出した。

原作の主人公「竈門炭治郎」とその妹である「竈門禰󠄀豆子」をモチーフに、服の色や模様などを要素として取り入れた2種類のイヤホンとなっている。

▲ コラボ製品のイヤホン(bilipodsのweibo公式アカウントより)

また、同イヤホンには特別機能として、ビリビリの動画を視聴する際に左側のイヤホンをタップすることで動画にいいねを押すことができる。

ゲーム事業がメイン収入だったビリビリだが、最近では様々な分野に手を伸ばしている。イヤホン事業も以前から手がけており、去年では「初音ミク」や「エヴァンゲリオン」などとコラボしたイヤホンをいくつか打ち出してきた。

そして、鬼滅の刃のアニメ第一期は同プラットフォームで8億回以上も視聴されている大人気作品であり、去年末から放送されている第二期も現在中国で多くファンが視聴している。

6. HEYTEA × フラグメント

中国の大人気ブランド・「HEYTEA(喜茶)」はファッションアーティスト・藤原ヒロシが率いるデザイン集団「フラグメント(FRAGMENT DESIGN)」とのコラボを果たした。

期間限定の「イチゴとマルベリーのドリンク」を打ち出しており、「黒」がテーマであるため、紙袋もコップも黒に包まれ、フラグメントのロゴである雷のマークが随所に見られた。

発売されてから5日で60万杯以上の売り上げを達成し、weiboではユーザーが撮ったドリンクの写真が大量に上げられており、人気を見せていた。

▲ イチゴとマルベリーのドリンク(HEYTEAのwechat公式アカウントより)

また、数量限定の水筒も販売しており、wechatにあるHEYTEAのミニプログラムを通してオンラインで購入することができる。

コラボキャンペーンでは先着順で一度に2杯以上を注文した方に数量限定の金属バッジをプレゼントする企画を実施。

▲ 限定金属バッジ(HEYTEAのweibo公式アカウントより)

ルイ・ヴィトンなどのブランドともコラボし、「キング・オブ・ストリート」の二つ名を持つ藤原ヒロシとのIPコラボで、HEYTEAは宣伝に力を注いでいるようだ。

▲ 特別企画の黒いHEYTEA店(HEYTEAのweibo公式アカウントより)

一方で、コロナ感染拡大によるサプライチェーンの混乱を受けて、ドリンクの提供にも遅れが発生しており、同ブランドは販売期間を延長することを決断した。

7. ユニクロ × POP MART

「ユニクロ」はPOP MART傘下のIPである「LABUBU」とのコラボTシャツを打ち出すと発表した。

▲ LABUBUのTシャツ(ユニクロのweibo公式アカウントより)

うさぎのような耳にギザギザした歯といった特徴のある同キャラクターをテーマとした数種類のTシャツは発表時から注目されていた。

また、一度に同Tシャツを2着買って合計金額が588元(約1万2,000円)に達した場合、数量限定のギフトボックスを手に入れることができる。中身はユニクロの店舗をモチーフとした作りに、14種類のLABUBUフィギュアがランダムで入っている。

▲ 限定ギフトボックス(ユニクロのweibo公式アカウントより)

ほかにも、ユニクロの店舗にて会員登録すればLABUBUのマスクが贈られる。

 LABUBUは「The Monster」というフィギュアシリーズの中で人気のあるキャラクター。悪巧みを企んでいるような顔に優しい心を持っているという設定だ。

ユニクロの同コラボTシャツは日本やアメリカ、オーストラリアなどの地域でも発売される。また、今回のコラボTシャツもマンガやアニメ、映画など様々な作品とコラボするユニクロの「UT」シリーズに含まれており、同時期には「ガンダム」とのコラボTシャツなどをも打ち出していた。

8. ユニバーサル・スタジオ・北京 × 王者栄耀

「ユニバーサル・スタジオ・北京」(以下ユニバーサル北京)が中国の人気スマホゲーム・「王者栄耀(Honor of Kings)」とのコラボイベントを実施。

 約3カ月間、同テーマパークでは王者栄耀のパレードが行われ、4台のフロートにゲーム内のキャラクターたちが登場する。

▲ パレードの様子(ユニバーサル北京のweibo公式アカウントより)

また、数十種類もの限定グッズも販売されている。

▲ 王者栄耀の限定グッズ(ユニバーサル北京のweibo公式アカウントより)

テンセントが開発・運営する王者栄耀は中国の若者を中心に人気を博しており、劉備や李白など中国の歴史上の人物などをキャラクターとして登場させている。また、スマートフォンアプリの市場調査会社「Sensor Tower」によると、2021年の売り上げは28億ドル(約3,500億円)となる。

ユニバーサル北京は中国の人気IPとコラボすることでより現地の消費者に寄り添った形となった。当初はファンから完成度について心配されていたが、現地メディア・「澎湃」によると来園客の中には懸念が払拭され、大いに満足した者もいた。

9. ローソン × 第五人格

「ローソン」が4周年記念を迎える中国の人気スマホゲーム・「第五人格」とコラボ。

▲ ローソン × 第五人格(ローソンのwechat公式アカウントより)

コラボキャンペーンではローソンでポイントを貯めれば、ゲームのキャラクター・「曲芸師」のローソン限定版交換コードをゲットできる。 また、中国各地で第五人格をテーマとした店舗も打ち出されており、コラボ商品のコーヒーやおにぎりなども販売されている。

▲ 第五人格テーマ店(第五人格のweibo公式アカウントより)

そして、ネットではナッツに限定バッジなどが入った数量限定のギフトボックスも発売されている。

▲ 限定ギフトボックス(ローソンのwechat公式アカウントより)

日本にも上陸している第五人格は4周年記念としてゲーム内で様々なイベントを開催し、またローソンだけでなく、LINE FRIENDSとのコラボアイテムも打ち出している。

▲ LINE FRIENDSとのコラボアイテム(第五人格のweibo公式アカウントより)

コラボを果たしたローソンは中国事業での黒字化に成功しており、店舗数もすでに4,000店を突破し、中国で事業を展開する日系コンビニとしては最大級である。

さらに、同社は現地でのコラボキャンペーンにも注力しており、2018年ではビリビリとのコラボ店舗をも打ち出していた。

10. 農夫山泉 × ディズニーツムツム

今年3月に、中国飲料メーカー大手の「農夫山泉」が「ディズニーツムツム」とコラボ。

農夫山泉のソーダにかわいらしいディズニーツムツムのキャップが付属し、ミッキーやミニーなど含む全部で10種類が登場している。

▲ ディズニーツムツムのキャップ(農夫山泉のwechat公式アカウントより)

また、15本セットの箱でもディズニーツムツムのデザインが施されていた。

▲ ディズニーツムツムの箱(農夫山泉のwechat公式アカウントより)

ディズニーツムツムは2015年に初めて中国で登場し、同年6月にはユニクロとコラボを果たしていた。しかし、当時では上海ディズニーランドでしか関連グッズを購入することができなかった。

2016年のクリスマスイベントでは中国名の「迪士尼松松」が正式に発表され、知名度をさらに引き上げていった。

そして、2020年の5月にようやく中国版のスマホゲームがリリースされ、2021年12月には北京で期間限定のオフラインイベントも開かれ人気を集めた。

▲ オフラインイベント(ディズニーツムツムのweibo公式アカウントより)

【補足情報】

2022年1月~3月 タオバオにおけるIP別おもちゃ類の売り上げトップ10(中国のIP関連調査会社·原倉数據より)

  1.  ウルトラマン(日) 6,676.7万元(約13億3,000万円)

  2.  アイアンマン(米) 3,747.2万元(約7億5,000万円)

  3.  トランスフォーマー(米) 1,693.7万元(約3億3,000万円)

  4.  アナと雪の女王(米) 1,552.3万元(約3億円)

  5.  パウ·パトロール(米) 1,210.2万元(約2億5,000万円)

  6.  ドラゴンボール(日) 1,125.2万元(約2億2,000万円)

  7.  スパイダーマン(米) 1,117.5万元(約2億2,000万円)

  8.  ナルト(日) 987万元(約2億円)

  9.  ドラえもん(日) 963.7万元(約1億9,000万円)

  10.  ミッキーマウス(米) 901.9万元(約1億8,000万円)

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これらの事例から見ても、ユニクロやユニバーサル·スタジオなどの海外ブランドは中国発の人気IPとコラボし、現地のニーズにさらに応えようとしていることがわかる。

一方で、最近ではコロナ感染拡大がサプライチェーンの混乱を招き、オフライン事業を手がける企業にも影響が及び、コラボ企画にも商品の提供に遅れなどの支障が生じていた。

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