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中国IP(知的財産)コラボ商品十選‼︎ その特徴とは?

IPとは?

IP(Intellectual Property)は直訳すると「知的財産」になる。中国ではその範囲は非常に広く、映画、マンガ、アニメ、ゲームだけでなく、ブランド、人物、イベントなどもこれに当たる。そして、一定のファンと知名度を持つIPとコラボすることで、ブランドに新規顧客の獲得や認知度向上、売り上げ増加などの効果をもたらすことができる。

中国ではそうしたIPコラボが、2015年の頃から若者を中心に人気を博し、ファッション、コスメ、飲食品など様々な業界でみられるようになった。

今回チャイトピ編集部は中国直近の面白いIPコラボ事例を10個選出し、ご紹介したいと思います。

1. GROTTO × ポケモン

中国ファッションブランド「GROTTO」、2001年に設立され、丸のついた上矢印のロゴが目立つ。

イタリアや日本から輸入した原材料から作られたバッグを販売しており、芸術要素をデザインに溶け込ませるのを売りとして、以前は有名芸術家との限定コラボバッグを打ち出した。

同ブランドは去年12月に「ポケットモンスター」とコラボしたバッグを発売した。表面にピカチュウなど人気のポケモンの絵が描かれていて、ファスナーの金具にはモンスターボールの模様も刻まれている。

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▲ GROTTOのweibo公式アカウントより

中国でもポケモンは非常に有名で、子供の頃の思い出だという人も少なくなく、一定の支持層を持つ人気IPである。

以前にも中国銀行大手の「招商銀行」がポケモンとコラボし、ピカチュウのキャッシュカードを打ち出した。さらに、初めて口座開設した場合、抽選でピカチュウの限定グッズなどをゲットできる。

2. 覇王 × RIO

頭髪ケアを売りとした漢方薬配合シャンプーブランド、「覇王」とアルコール飲料ブランド「RIO」という異例のコラボ。去年12月にコラボ製品「ジンジャー味カクテルギフトボックス」を発売した。

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▲ 覇王のweibo公式アカウントより

中身としては、ジンジャー味カクテル2本と覇王シャンプー1本、さらに生え際測定メジャーも付属しており、脱毛ケアを大々的にアピールしている。何より、容器となるビンには覇王シャンプーのデザインに合わせており、奇抜な印象を受ける。

実は、RIOのこうした突飛的なコラボはこれが初めてではない。以前は虫刺され用かゆみ止めブランド「六神」とコラボした「かゆみ止めカクテル(ミントライム味)」、万年筆ブランドの「英雄」とコラボした「墨汁カクテル(ブルーベリー味)」を打ち出したことがある。

3. Gucci × Marsper

去年の12月に、世界的に有名なファッションブランド「Gucci」が同ブランドの「Aria」コレクションを着込んだ中国のIPキャラクター「Marsper」の画像を公開した。

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▲ Marsperのweibo公式アカウントより

服装だけでなく、モデルとなった写真と同じ立ちポーズや、キャラコンセプトである「愛のために生まれた」を表した顔のハート模様、耳にGucciのロゴなどキャラの特性を活かしつつ、Gucciの要素をも存分にアピールしていた。

今回コラボを果たしたMarsperは中国の人気歌手、華晨宇のブランド「Born To Love」のIPキャラである。ネズミをモチーフとした大きな耳が特徴のキャラクターである。その可愛らしくもクールなデザインが多くの人々を虜にした。

Gucciはこうした架空・デジタル面でのコラボに注力しており、2020年にもアウトドアブランドの「The North Face」とコラボし、アバター用着せ替えアイテムを「ポケモンGO」で打ち出した。

4. 餓了麽(eleme) × A-SOUL

去年12月、「美団(meituan)」と並んで中国二大ネット出前サービス企業と言われている「餓了麽(eleme)」は人気IPの「A-SOUL」とコラボした。

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▲ 餓了麽のweibo公式アカウントより

A-SOULは2020年に結成された5人組のバーチャルアイドルグループである。デビューしてから徐々に人気に火がつき、2021年4月に公開されたMVは中国有名動画サイト「bilibili」上で400万回以上再生されている。

餓了麽が他業界とのコラボを趣旨とした企画、「不e定X店」の一日店長をA-SOULが務めるという企画で、エコ生活をテーマとしたオンラインフルーツショップをオープンした。さらに抽選でA-SOULエコバッグなどの限定周辺グッズを手に入ることができる。

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▲  餓了麽のweibo公式アカウントより

バーチャルアイドルとのコラボは確かに支持層を惹きつけるというメリットがある一方、イベントの実施が行き届いていないためか、中国版ツイッター「weibo(微博)」ではこの企画に対して「やり方がわからない」、「関連店舗に問い合わせても知らないと言われた」などのクレームに関する投稿が多く見られた。

5. ケンタッキー × 故宮(紫禁城)博物院

ケンタッキーは故宮研究院と協力し、故宮博物院の所蔵品である「歳朝図」からインスピレーションを得た冬季限定メニュー「桂圆南瓜暖冬粥(龍眼とかぼちゃのおかゆ)」を去年の12月に打ち出した。さらに、ケンタッキーのミニプログラム上で関連のミニゲームも公開された。

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▲ ケンタッキーのweibo公式アカウントより

ケンタッキーは以前から度々故宮博物館とコラボし、色鮮やかで故宮のイラストが描かれたドリンクなどを打ち出した。中国市場のニーズに一層寄り添った商品となる。

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▲ ケンタッキーのWeChat公式アカウントより

故宮博物館に限らず、ケンタッキーはゲームやブランドなど様々なIPとのコラボを頻繁に繰り返している。

6. AMX × SOUL

去年の11月ごろ、ヨーグルトメーカー「安慕希」傘下のドリンクブランド「AMX」と中国の若者向けSNSアプリ「SOUL」が「0圧元宇宙(0グラビティ・メタバース)」をテーマとしたPVを公開し反響を呼んだ。その後、関連商品・サービスなどを打ち出した。

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▲ 安慕希のweibo公式アカウントより

AMXは近未来感や若々しさをコンセプトとしたブランド。一方、SOULは「年轻人的社交元宇宙(若者のためのソーシャル・メタバース)」をコンセプトとしている。ターゲット層であるZ世代の若者にストレスフリーなバーチャルの社交場を提供することを主旨としている。

方向性が重なるこの二つのブランドがコラボし、若者のストレス問題にポイントを当て、重圧ゼロの無重力な宇宙をテーマとしたドリンク商品やミニゲームを打ち出した。

さらに、地下鉄車両とコンビニでも関連のプロモーション活動を行っていた。

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▲ 安慕希のweibo公式アカウントより

7. OPPO × コナン

中国スマホ大手の「OPPO」は去年7月に発表会を開き、「名探偵コナン」とコラボした限定版「OPPO Reno6 Pro+」を公開した。

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▲ OPPOのweibo公式アカウントより

ただスマホのデザインにコナンの要素が入っているだけでなく、同製品の発表会から商品ケース、OS(解除画面など)に至るまで、様々なところにコナンの要素が取り入れられている。

さらに、7月末に多くのIT企業も参加する中国最大級のゲームショウ「ChinaJoy 2021」に合わせて、会場最寄り駅のホームで大々的に同コラボ製品のプロモーション活動を行なった。

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▲ OPPOのweibo公式アカウントより

OPPOは過去にも「エヴァンゲリオン」、「ポケモン(ピカチュウ)」、「ガンダム」など日本のアニメ・マンガ作品とIPコラボを果たしたことがある。

ほかに、シャオミもボーカロイドの「初音ミク」や「ドラえもん」とコラボしたことがあり、スマホ業界ではこういったIPコラボはよく見かける。

8. POP MART × EDG

中国の人気フィギュアメーカー「POP MART」の自社IPキャラ「MOLLY」は去年12月に人気ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」の2021年世界大会で優勝した中国チーム「EDG」とコラボし、限定版「SPACE MOLLY」のフィギュアが発売された。

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▲ POP MARTのWeChat公式アカウントより

EDGのユニフォームカラーである黒と赤を基調とした宇宙服に、ヘルメットの裏側にはチームメンバーのサインも入っている。

EDGが優勝したことを受けて、中国ではe-スポーツ関連商品やサービスなどの売り上げが急増し、e-スポーツ業界全体に活気を与えた。

9. ケンタッキー × 江南百景図

「江南百景図」とは古代中国をモチーフとしたRPGゲーム、以前中国で少し話題にもなったゲームである。

去年の2月、同ゲームはケンタッキーとコラボし、ゲームの中にケンタッキーのスイート店を登場させた。登場期間中はイベントに参加したり、中国伝統的な年越しの風景を楽しんだりすることができる。

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▲ ケンタッキーのweibo公式アカウントより

ケンタッキー側も江南百景図のテーマ店舗を公開し、ゲームをモチーフとしたアイスやミルクティーなどのコラボ商品を打ち出した。

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▲ ケンタッキーのweibo公式アカウントより

ケンタッキーは以前中国の大人気ゲームである「原神(Genshin)」ともコラボしたことがある。当時、お店の周りがコラボ限定セットを求める大勢の人々であふれかえっており、まるでお祭りかのような状態がネット上で話題となった。

10. オレオ × アナ雪

去年10月ごろにオレオより、ディズニーの名作「アナと雪の女王」との冬限定コラボ製品、世界初の「白いオレオ」が打ち出された。バニラアイス味の白いオレオクッキーの表面には雪の結晶のデザインも施されていた。

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▲ オレオのweibo公式アカウントより

オレオは当時SNS上で白いオレオクッキーが積み上げられて西洋のお城ができるプロモーションビデオや、中国の都市をモチーフとしたポスターが公開され、ネット上で多くのユーザーから「欲しい」、「きれい」などの声が上がっており、人気ぶりを見せた。

まとめ

このような事例の数々から、中国の人気なIPコラボ事例に以下のような3つの特徴を見て取れます。

・ギャップのあるコラボ
・タイムリーなIPとのコラボ
・海外ブランド × 中国文化関連IP

日本のアニメ・マンガはIPとして中国でも高い人気を誇っており、「ポケモン」や「コナン」、「ドラえもん」などの国民的作品はもちろん、若者を中心に流行りの新作アニメに対する関心度も高い。

最近では、中国初の「少年ジャンプショップ」と「少年ジャンプカフェ」が上海にてオープンし、大勢の人々でにぎわっていた。

そうした一定のファンを持つ人気アニメ・マンガIPとのコラボがもたらす集客力は中国市場においても魅力的で、関連の事例は数絶えない。

その一方、2018年から「国潮」(国産ブランドや中国文化要素を取り入れたファッションなど)がブームになったように、国内のIPに対する注目も高まっている。

POP MARTのMOLLYのような新世代のIPはもちろん、古くから愛されてきた国民的ミルクキャンディブランド「大白兔」や、さらに故宮博物館などの中国文化関連のものも人気IPとして脚光を浴びている。

新しいIPが絶えず生まれてくる中国市場で、今後どんなコラボ事例が現れるか注目していきたい。

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