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壊滅した中国の代理購入ビジネス、円安で復活か

今年4月19日に円は人民元に対して、1元=20円台まで値下がりし、2015年8月以来、およそ6年8か月ぶりの円安水準となった。この円安は、当日weiboでトレンド入りとなり、中国人留学生や日本で不動産を購入する計画のある中国人が大喜びするニュースとなった。

円安を受け、GUCCHIなど一部の高級ブランドは、日本での販売価格を値上げしたが、それでもGUCCHIのカバンは中国国内より4,000~5,000元安く、LVのカバンは1,000元~2,000元安い。つまり、日本で買う方が断然お得なのである。

中国では、この円安を追い風にコロナ禍や中国消費市場の変化で壊滅状態となっていた「代理購入(代购)」ビジネスが復活。特に日本のラグジュアリーブランドを買い求める人が増え、wechatやREDなどのSNSでは、日本のルイ・ヴィトンやエルメスなど高級品の代理購入に関する情報発信が明らかに増えた。

▲RED・wechat上で見られる日本の高級品代理購入(筆者撮影) 

ブームを過ぎ、衰退していた代理購入ビジネス

そもそも、この代理購入が流行したのは3、4年ほど前のことである。中国人の個人所得や、海外ブランド品に対する需要の増加により、当時はwechatモーメンツで代理購入の発信が頻繁に行われていた。

しかし、税金の問題からグレーだと言われていた代理購入ビジネスは、2019年の中国EC法により徐々に衰退。代理購入がEC法の適用対象となったことで、納税や営業許可などに関する諸規定が定められ、誰もが簡単に行えるビジネスではなくなったのである。

これに追い討ちをかけるかのごとく、2020年からコロナにより出入国が制限。ほとんどの業者が代理購入ビジネスを停止せざるを得なくなった。さらに、海南島に自由貿易港が建設され、正規ルートでもブランド品を安く買えるようになったことから、代理購入ビジネスは壊滅状態に至っていた。

そんな代理購入ビジネスであるが、中国では近年高級品市場の成長が著しく、調査会社Bainは世界旅行市場の回復に関わらず、中国は2025年に世界最大の高級品市場になると予測している。

また、円安に加え、4月から上海ロックダウンで停止されていた中国向けEMSも近日再開されることで代理購入ビジネスの勢いは増すと考えられる。

しかし、円安という一時的な状態で復活を遂げた代理購入ビジネスは、為替の変化によって再び瞬く間に消えてしまうかもしれない。


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