女性専用車両は男性差別か

最近「女性専用車両は男性差別か」
という問題提起をTikTokで見かけました。
ちょっと気になったので、私はそれに対するコメント欄を覗きました。

女性のコメントでは
「女性専用車両は必要、自分自身も痴漢を経験したことがある。」という経験に基づく意見が多数あり、そこには多くの共感の声が寄せられていました。

一方男性の意見では
「女性用だけあるから不平等だ。男のも作ってほしい。それなら平等だろう。」
という意見ばかりが目に付きました。

「男の私でも痴漢された経験があります。従って男性専用車両は必要です。なので実現に向けて男性も声を上げましょう!」
という意見は私が見た時点ではひとつもなかったんです。
勿論、男性が痴漢被害に遭うこともあるでしょう、それは否定しません。
しかし、恐らくそういったコメントがあったとしても多くの共感は得られないでしょう。

このコメント欄を見て、私も自分なりにこの話題について考えてみようと思いました。

私は「女性専用車両は男性差別か?」
という問題を考えるにあたって、私はまず日本の女性専用車両の歴史について少し調べてみました。

私はそもそも何故女性専用車両があるかを知りませんでした。

というわけでまず、ざっくりとした女性専用車両の歴史についてです。

まず、1912年に東京の中央線で初めて「婦人専用車両」として朝夕の通勤・通学ラッシュ時に導入されたのが女性専用車両の始まりとされています。
この車両が導入された理由は当時の新聞によると「女子生徒が電車に乗ると、男子が女子生徒の体に触れたがって困る」からだそうです。

要するに痴漢防止が理由だったんですね。

その後全国各地、様々な名前で女性専用車両は導入されては廃止されるということを繰り返していきました。

基本的に理由はどの時代でも「女性が男性から触れられるのを防ぐため」です。(一例だけデパートへの誘致を目的としたものもありましたが)

その後時代は進んでいき、1988年に起きた大阪府で痴漢を咎めた女性が、逆に性犯罪の被害者となる「地下鉄御堂筋事件」がきっかけとなり、多くの人々が性犯罪防止を鉄道各社に訴え、アナウンスや啓発広告がなされたことが、現在の女性専用車両導入への大きな流れを作ることとなりました。

そして同時に、その頃から車内での痴漢行為や迷惑行為が社会問題として多く取り上げられるようになっていたため、明瞭な犯罪として世間に認識されるようになっていったそうです。(それまで犯罪という認識がなかったことに驚きですが。)

このような背景もあり、2000年12月京王電鉄京王線で試験的に導入された後、2001年3月のダイヤ改正の際「女性専用車両」の名で本格導入されることになりました。

2001年は私が一歳になった年なので、女性専用車両導入の経緯について私が知らなくても当たり前ですね。

と、まぁここまでが女性専用車両の歴史、成り立ちです。

ここまで調べてみて、「私の周りの友達はどう考えているんだろう?」と思ったので、私のInstagram、Twitterのアカウントを用いてアンケートを取りました。

①【男性専用車両は必要だと思うか】→はい:いいえ

②【女性専用車両は必要だと思うか】→はい:いいえ

③【女性専用車両があるのに対し男性専用車両が存在しないことは男性に対する差別だと思うか】→はい:いいえ
※この質問には任意でそう考える理由を書いて頂きました。

の3項目でアンケートを取り、約90名以上の方に回答を頂きました。
私の個人的興味に対し、ここまで多くの人に反応して頂けたことに本当に感謝しています。
ありがとうございます!

以下がアンケート結果です。
 はい いいえ
① 34人 41人
② 68人 10人
③ 31人 45人

通う大学は圧倒的に女性の方が多いので、私のフォロワーも女性が多いんですよね。
そのためアンケートに答えて頂いた方のうち約7割が女性でした。
そのため性別で比較することは難しかったのですが、私が最も意外だと思ったのは【男性専用車両は必要でだと思う】と答えた女性が多かった点です。

何故女性達は男性専用車両が必要だと考えるのでしょうか?

これについて個別に意見をくれた方が多数いらっしゃいました。
男性車両の必要性について殆どの人は「女性と比べて必要性が低いが」という前置きをつけており、その上で「女性専用車両があることに対して論争が起きることを避けるため」に作るべきだと考えているようでした。

なるほど。
確かに女性にだけ専用車両があると、最初に述べたTikTokのコメント欄のように「不平等だ!」と男性から言われてしまいますよね。
実際に、個別に来た意見の中には男性から「女性専用車両は男性差別だと思う」というものもありましたし。

そしてそのように、女性専用車両が不平等なものだと感じている男性達の中には、集団で女性専用車両に乗り込む取り組みをしている方々もいるようです。

しかし、女性専用車両は男性利用者の“任意”協力のもと成り立っているものです。男性の乗車を禁止する法的根拠を持ちません。
男性も乗ろうと思えば乗れるわけですね。
つまり、男性が集団で女性専用車両に乗り込む行為は犯罪でも規則違反でもないんです。

法的な意味において、責めることはできません。

ここで女性専用車両が存在する意味に再び立ち返ってみましょう。

“公共交通機関に乗る権利”は如何なる性別において誰もが持っている権利ですよね?
これに議論の余地はないでしょう。

しかし、もし女性専用車両がなければ女性はラッシュ時にできるだけ壁を背にできるよう乗車し、背後に男性が立てば身を固めて自分の降りるべき駅を待ちます。もしくはカバンの位置を工夫したりして、そんな風にやり過ごすでしょう。
きっと、多くの女性は同じ経験があるはずです。
私も車内が混雑している時、男性にも囲まれると身が固まります。 

もうこの時点で男女“平等”ではないのです。

男性には、恐らくこの経験はないでしょう。
そして共感もできないはずです。


これらの防衛本能は、女性の自意識過剰でしょうか?
当たり前のように日々ニュースで女性に対する「痴漢」や「強制わいせつ」について報道されているのに?

これは女性にとっては本当にごく自然に、
女性として生きていく中で刷り込まれた防衛本能なんです。

女性にとってはあまりにも日常的な防衛本能なので、それが当たり前になっている方も多いと思います。
しかし、それは本来感じなくていいはずの恐怖です。

勿論、普通車両にみんなが何の心配も無く乗車できればそれは素晴らしいことです。
女性専用車両なんて、当然ない方がいいに決まってます。
ですが、残念ながらそれが叶わないのが現状です。

“安心して公共交通機関に乗る”という如何なる性別においても平等に与えられるべき権利は“女性専用車両”が用意されることによって初めて成立するのです。

つまり「女性専用車両」は女性の人権が蹂躙されていることの象徴そのものです。本来であれば「女性専用車両」は存在しなくていいはずなんです。

そこで「男性専用車両」を作ったとしても男女間の理解を妨げる結果になるでしょう。
それが女性専用車両が“任意”協力である理由だと思うのです。
男性専用車両を作る取り組みをするならば、女性専用車両が存在しなくていい世の中を作る取り組みをした方がよっぽど「男女平等」でしょう。


従って、私はこれらの理由から「女性専用車両は男性差別か」という質問に、「いいえ」と答えます。


※全て主観です。異論は認めます。
※むしろ多様な意見を求めます、反論がある方は勿論賛成の意見もお待ちしております。
※超自己満足の文章なので大して文献も調べてないですし素人文章なのでお手柔らかに。

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