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シゲオのばか

これ2007年3月の日記。
今はシゲオもスングールも天国に行ってしまった。
写真はうちのスングール。かわいいなあ。

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アルバイトのNが急遽出張に行く事になり、愛犬、ミニチュアピンシャーの シゲオを2晩ほど預かる事になった。

シゲオは保護犬の団体から紹介された犬で、うちで飼っているスングールと兄妹。2年間のゲージの中で繁殖犬として飼われていたそうだ。そのせいだろう、足腰が弱い上に、著しく社会性に欠け、全ての物事に対して臆病。森羅万象が恐怖の対象。ある時いたずらで後ろから、わっとおどか したら、空中に飛び上がり一回転して背中からもんどりうって落ちたこともある。

この犬の名前をNが決める時にふざけて、
僕の名前の茂夫から一文字あげよう
と言ったら、本当にそのままシゲオという名前をつけてしまった。

出張の朝、シゲオを引き取りにNの家に行き、ノックをするとなにやら慌ている。
今、目が覚めました。すぐ支度します。
時間がない。
駅まで送るため、荷物を車に積み込んでシゲオを車に乗せようとしたら電信柱に向かいシゲオの小便が始まった。
長い。
シゲオ何してるの。早くして。
Nが叫ぶが、延々と続く。

なんとか新幹線に間に合う様にNを駅に送り届け、家に帰る。
おろおろと落ち着かないシゲオを抱きかかえ、車のドアを明けた瞬間、耳に痛みが。
噛まれた。しかしここで離す訳にはいかない。
気を取り直して歩き出す。
臭い。なんか臭い。
大量のうんこを僕の腕の中でしている。
思わずシゲオを取り落とした。

車の下に隠れるシゲオ。
シゲ シゲ 出ておいで
犬なで声で差し出す手に歯を剥き出すシゲオ。
完全にパニック状態に陥っている。
駐車場から駆け出して近所のアパートの庭に入り込んだ。再び脱糞。
すみませんすみません。
謝りながら糞を回収している間に山の方に逃げる。
応援で駆けつけた妻とともに追いかけるが、らちがあかない。近づく事が出来てもうなり 声を上げて噛みつこうとする。
バカ犬。

むなしい追いかけっこは数十分続いただろうか。
本当にこのままバカ犬を放置して帰ろうかと思った時、シゲオが袋小路に入って行った。
ここしかない。
路地の奥に追いつめる。
一瞬の隙をついて、着ていた分厚いウールリッチのコートをかぶせて抱き上げた。もんどり暴れ、噛もうとするシゲオ。
離すも んか。
大丈夫だシゲ、シゲ。
しっかり抱きしめ、話しかけながら歩いているうちにようやくシゲオも落ち着いてきた。
よしよし。
家について部屋に離すと、我が家の犬と挨拶をはじめてい る。
とりあえずはよかった。仲良くしろよ。

はて、持っていたコートから水が滴り床を濡らしている。
小便に間違いなし。

シゲオの馬鹿。

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