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嘲笑する人々

稽古でヘンな演技をする役者がいる。それを見て、周りの役者が嘲笑っている。よく見かける風景だ。そして、アイツはちょっと変わったヘンな奴なんだと、上から目線で言ったりする。

駆け出しの役者は基本的な誤解をしている人が多いが、ヘンなことを嘲笑う役者よりも、みんなの前でヘンな演技をできる役者の方が素質がある

中にはただふざけて内輪の笑いをとる役者も存在するので、それはまたちょっと種類が違うが、それにしても、馬鹿なことをやる、ヘンなことをやる、ということは、大してみる目のない大勢の人間からの「アイツは馬鹿だから、馬鹿なことをやっている」という思い込みを引き受けることができる人間である。

舞台の稽古は「試してみる」ことが肝心だし、そのための稽古だ。そして重要なのは、誰が見てもこう演じるのが正しいだろうなあという「模範解答」を出すことではない。替えのきかないオンリーワンになろうとするなら、自分だけの答えが必要だし、稽古でカッコ悪くても恥をかいても、自分だけの演技に向かって挑戦している人間が必ず最後に勝ちます。

逆に、稽古で恥をかけない人間は、考え方を変えない限り大成しない。


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