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留学26日目 "日常に付箋を。"

オーストラリア最後の日曜日が終わった。とても早い。そろそろお土産を買い始めている。

しみじみとホストファミリーと会話など。

デパートでお土産を買うというなんの工夫もない休日を過ごした。

今日は隣人が夜ご飯を食べに家に来るということで、ブライアンがお話をしに夜に来てくれた。日本語がとても上手でなんの障害もなく私と話ができるのだ。

彼は哲学を専攻していて、虚無主義について語ってくれた。既成の宗教・道徳・倫理・社会的慣習、さらには世界そのものや人間存在までをも無価値とする、哲学上の世界観のことだ。

「なんで人は自殺しないと思う?」

そんな問いをホームステイ先で聞かれることなど思ってもみなかった。

大切な人がいるから?死ぬ意味が無いから?楽しいことをしたいから?後悔が残っているから?この手の問いは考えないようにしていたのでいざ聞かれると何も答えられない。

「答えはないよ〜」

安心した。そりゃそうだ。鋭利な刃物を突きつけられたような感覚に陥ったのもつかの間、それはマジシャンが使うようなカシャカシャ持ち手に刃が収まるやつだった。

愉快な隣人、ブライアン。彼はアニメやゲームが好きで、私と話がとてもあった。私の中のその部分を全力で引き出して会話ができる数少ない友人だ。

こちらに来てからたくさん外国人の友人ができた。皆、気さくに話しかけてくれるし、日本のことがとても好きだし、兄弟!と本当に呼んでくれる。

なんと言っても嬉しいのは、私の名前を覚えてくれていることだ。人に忘れられることは死だと前も書いたが、人に覚えられていることは生だ。生死に人が関わっている、死は生とは対極ではなく、この場合は死が生を内包している、そんな感覚だ。

人が離れてしまうと、声が死んでしまう。会わないと、いずれ顔も死んでしまう。好きな物や好きなこと、逆に2人しか知らないこと、みんなも知っていることそれらも死んでいく。

そうならないように、日常に写真という付箋を貼っていくのだ。


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