【ネタばれあり】来栖夏芽先生著 『人外教室の人間嫌い教室』感想

Vtuberとしてご活躍されている来栖夏芽さんのデビュー作、「人外教室」が手元に届き読了。感想をツイッターに書こうと思いましたが、どう考えても文字数が足りないのとネタバレに配慮の意味でこちらに書き込み。ガッツリ内容に触れるわけではありませんが、読んでいる前提で感想を書いていくのでもしこの感想を見てみようとされる方は作品を読まれてから見るのを推奨します。

・全体的な感想

一言で表すなら「感動」、かなぁと。…といっても今日使われがちな狭義的な方の意味ではなく、文字通り「感情が動く」といった形で使わせていただきたいです。

各登場人物が個性的かつその描写が丁寧なので、読んでいて物語に没入しやすくキャラの心情に寄り添いやすいため、それぞれの喜怒哀楽にこちらも同じ感情を抱きやすく涙したりくすっときたりとても楽しく読ませていただきました。

正直な話、読み進めていく中で残りページ数が少なくなるのを感じる度に「なんで物語終わってしまうん…?」という気持ちでいっぱいでした…続編…でないかなぁ…でてほしいなぁ…一生続編待ってます…!!!

以下は各章ごとや個人個人についての感想。

・尾々守一咲ちゃん編の感想

「いさき」ちゃんになって初遭遇のときの絡みはとてもよかったですね…なんというかこう、オタクに優しいギャル感とても良いと思います。挿絵がえちちでちょっとドキドキしました、ええ。泉彩先生ありがとうございます。

…個人の好みはともかくとしまして。ちょっとしたすれ違いで最も近くにいるのに最も遠い距離感になってしまった二人は斯くして本音を伝えあって悩みを乗り越えるに至ったわけですが、長らくお互いに想い合っていたことがわかってお互いを大事にしようとするというのはとても尊いですね…!

その後の登場機会に若干恵まれなかった感じがあるので、ぜひ続編があればこのお話の後それぞれの関係性はどうなっていったのかを知りたいかなと思います。

話は逸れますが、個人的にビジュアルが全キャラクタ中No.1で好きです…!水着イラストとかでもそうでしたがメリハリのある体つき、かわいらしい犬耳、そしてメガネなどもうたまらんですね。はい。一等賞!!

・右左美彗ちゃん編の感想

本作屈指の泣き所!病院で二人がお話しているシーンからはもう涙なしには見られませんでした…!長年愛着をもって接してきたぬいぐるみとお話ができるというのはそりゃもう嬉しいでしょうね…挿絵の右左美ちゃん涙を浮かべながらの笑顔はベストシーンといっても過言ではないと思います。

お医者さんになるという新しい目標も、ちみっこ先生として将来色んな病気に立ち向かっていくんだろうなぁと想像しています。

ヒトマ先生の勇気活躍も褒め称えたいところ!病院で看護師さんたちに奇怪な目で見られたんだろうなぁ…というか病院までの道のりでもそういう目で見られたんだろうなぁ…通報されなくてよかったなぁ…

口は悪くともなんだかんだ面倒見のよい右左美ちゃんの素敵な想いが詰まった、とっても素敵なお話でした…!!!

・水月鏡花ちゃん編の感想

すっごい前向きで努力家な鏡花ちゃん、その奥にある確かな覚悟がとても魅力的で、その魅力がたくさん伝わってくるお話だったなぁという印象。自分の力だけで頑張ろうとする美徳のなかで頑張ろうとする鏡花ちゃんも、課題のなかで他の人に頼るということを覚えた鏡花ちゃんもどちらも素敵だなぁと思います。

不完全だということを認める、というのもとても勇気がいったと思うのですがそれを自分のなかでしっかりと飲み込んで前に進んでいく姿はとても美しい…!!

対人関係の潤滑油的な活躍で、物語全体を通して一番「楽しい」を感じられる子だったなぁという印象の鏡花ちゃんですが、唯一の卒業ということで今後も周りの人を楽しい気持ちにさせながら成長していくんだなぁと思うと、その成長記録を見てみたいな、と思いました。

・羽根田トバリちゃん編の感想

一回目に読んだ時もいいお話だと思いましたが、最後まで読んでからもう一度読むとまた違った楽しみがあるお話でした…!

ヒトマ先生の悩みを受け止めて聞いてくれるトバリちゃん、とてもいい子だなぁと思っていたら最後の衝撃…!実はというと大人になった姿のトバリちゃんを見てみたい気持ちがとても強かったりします。

不死の存在がたる彼女が「生きるための意味」というのを見出すために、今までに色んなたくさんの子たちを見守って、そして見送ってきて…いつの日か彼女もニンゲンになって幸せに暮らして、最期に見送られる日が来るといいなぁと思います。

・主人公、人間零の感想

アラサーそしてゲーマー、寝癖を整えていないかのようなアホ毛と外っぱねを兼ね備えた髪型のヒトマ先生、個人的に年齢が近いので親近感がすごい。

本作では生徒側にスポットライトがたくさん当たっているため仕方ないといえば仕方ないのですが、トラウマ描写はもう少し深く知りたかったかなぁという気持ちがあるので続編に期待したいところ…!

主人公にしてはわりかしモブというかあれなのですが、でもモブってある意味「日常」に一番近いのかな、と。それこそとてつもない特徴を持った彼女たちが「人間」を知るという意味ではとても適任なのかも。

特別目立つわけじゃないけど主人公してる、とてもバランスが難しい存在だなと思いますが、そこを描ききっているのは個人的に最も夏芽先生すごい!となったポイントです。

・最後に

著者 来栖夏芽先生、そしてイラストの泉彩先生、ならびに担当編集様や関係者の皆様にはこのような素敵な本を世に出していただいて誠に感謝の言葉しかございません。本当にありがとうございます!!!

つらつらと思いを書きなぐっただけで読ませるような文章もなく構成もめちゃくちゃな感想文ではございますが、最後まで読んでくださった方はありがとうございました。

追記:重版誠におめでとうございます!!と思ってたら2回目の重版も…!!すごい!!おめでとうございます!!

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